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第14話なぜここがわかったの?

前回のあらすじ:カルトナージュ王子のお姫様抱っこからウナギのように脱出したリリィーナ。野生の爆走で逃げ切った……と思いきや、迷い込んだ音楽室で待っていたのは、あの敬語マッドなキミラカーデ王子で――!?囚われの野生児、絶体絶命です!

私は上から、棚の隙間からそっと下の

様子を見つめていた。気配は完全に消している。実家の山で気難しい野ウサギを捕まえる時だって、この方法で百発百中だったのだから、いくら王子様とはいえ見つかるはずが――。

「そこにいることはわかっているよ?」「ひゃあ!?」頭のすぐ近くから声が

して、私はガタッと肩を跳ね上げた。

いつの間に近づいていたのか、

キミラカーデ王子が棚の隙間からひょっこりと顔を出して、メガネの奥の瞳を

怪しく光らせていたのだ。「し、仕掛けもバッチリだし、なんせここは表は音楽室で、裏は魔法を制御するところ

なんだ!あぁ、それとね――」

キミラカーデ王子は、意地悪く、けれどひどく楽しそうに口元を歪めた。

「『魔法禁止』は嘘だよ?」

(だって、この罠を考えたのは僕たち4人だからね? 念入りに練った甲斐が

あったよ)

楽しげな王子の本音が、デカデカとした音量で脳内に直接響いてくる。

「ひゃあ!? なんでバレてるの! だって気配なんも感じなかったよ!

あなた何者なの!?」私は棚の上で

縮こまりながら、半泣きで叫んだ。

(なんでバレたの! こっちは山の中で

逃げるの早かったし、誰にも見つからなかったのよ! しかも私に弱みはないし……! 強いて言うなら、早く走れるのに実は遅く走ってるように見える

だけだもん!!)

独自の野生スキル(※ただの勘違い)を誇る私だったけれど、王子たちの完璧な包囲網の前に、大ピンチを迎えていた。キミラカーデ王子は、まるで極上の実験成果を得たかのように楽しそうな微笑みが止まらない。するとその時、パカッと音楽室のドアが開く音がして、物陰からぞろぞろと残りの3人の王子たちが

入ってきた。

「お、野生のリリィーナが、俺たちが

仕掛けた罠にちゃんとハマって

やがる!」

オフィカール王子が棚の上の私を

見上げて、ニヤリと不敵に笑った。

(1つ目、野生は静かなところが好きなところだ。そこを狙い撃ちにしてやったぜ!)オレ様ツンデレな割に、

私の好みを大真面目に分析している本音が漏れていて、ちょっと複雑な気持ち

になる。

「へぇ、やっぱり仕掛けといて良かったじゃん! 僕が考えた罠も完璧ってこと

じゃん〜」

ミディティ王子は腕を組んで、これでもかってくらい誇らしげにドヤ顔をして

いる。

(2つ目、猫の鳴き声を入れてたんだ。あの子は動物には絶対に反応すると

思ってね?)

あざと腹黒ショタの可愛い見た目で、

私の優しさを利用するなんて本当に

策士すぎる!

「ふふふっ、こんなに簡単に捕まる

なんて。もっと逃げていいんだよ? その方が俺的には燃えるし」

最後に一歩前に出たカルトナージュ王子が、とろけるような、それでいて逃がさないという暗い熱を帯びた瞳で

見上げてくる。

(3つ目は、俺は君がどこにいるか魔法を発動して感知出来る魔法を使ったからね? もう少し逃げてもいいんだよ? まだ遊び足りないし)

(ひぃぃぃ! 全員の本音の音量がデカすぎて耳が痛いよー!!)

(くぅっ……私1人のためにこんな大掛かりなこと、したの!? どんな真剣な罠を仕掛けてるのよ……諦めしかないの? ――私は諦めない!!)4人の天才王子たちが、その頭脳と権力と魔法を、

たった一人の私を捕まえるためだけに全力投入したのだ。普通ならここで絶望して大人しくなるところだろう。

私はもうだめ?いや、まだ諦めない!

そう私は固く決心して、次の行動を

起こした。

仁王立ちする王子たちを見下ろし、

私はこれ以上ないくらい凛とした声を張り上げる。

「そう、簡単に捕まってやるもんでしゅか!! ……掴まて見なさい!!」「「「「……ぶふっ」」」」

カッコよく言い切るはずが、思いっきり噛んだ。自分で言っておいて猛烈に

恥ずかしくなり、顔から火が出そうだ。あああ、もうここに一秒だって居たくない!!恥ずかしさが限界突破した私は、棚を蹴ってひょろりと綺麗に

宙を飛んだ。「なっ……!?」

およそ令嬢とは思えない跳躍力で、王子たちの頭上を鮮やかに飛び越える。

そのまま重力を無視したような軽やかさで音楽室の扉の前に着地すると、私は鍵を開けて光の速さで廊下へと逃げ出たのだった。後ろから

「待てリリィーナ!」

「あはは、噛んじゃうお姉さんも

可愛いなぁ!」という叫び声が聞こえた気がするけれど、今の私は恥ずかしさで通常の3倍のスピードが出ている。

野生のキツネだって、今の私には追いつけないんだからねっ!!

第14話をお読みいただきありがとうございました!ここ一番のキメ台詞で思いっきり噛んでしまったリリィーナ。恥ずかしさパワーで通常の3倍のスピードを発揮しましたが、果たして肉食獣な王子様たちから逃げ切れるのでしょうか……!?次回、第15話もリリィーナの野生児っぷりが大炸裂します!面白いと思ってくださったら、ぜひブックマーク登録や評価(☆☆☆☆☆を★★★★★に!)で応援していただけると、執筆の励みになります!

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