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13話王子から逃げ切れるか?鬼こっこ

みなさんこんにちは!第13話です。特製隔離教室(3年間監禁確定)から逃れるため、まさかの「山育ちの野生パワー」でお姫様抱っこを強制解除したリリィーナ!王子たちにピースサインを煽って全力疾走しますが、置いていかれた王子たちの反応は……!?本格的な命がけの鬼ごっこ、スタートです!

一度足を踏い入れたら二度と出られな

そうな、あの不気味で頑丈な鉄の扉の

教室。あんなところに行くなんて、

絶対に嫌だ!恐怖が限界を迎えた瞬間、それまでショックでガチガチに固まっていた私の身体の緊張が、ふっと解けた。よし、自由に動く!カルトナージュ王子のホールドはがっちりしているけれど、人間、コツさえ掴めばお姫様抱っこから抜け出すなんてわけはないのだ。

なんせ、私はこの歳になるまで、普通の女の子とはちょっと違う育ち方を

してきている。

「(舐めないでよね! 私は山で動物

たちと毎日鬼ごっこをして育ったんだ

から! 野生仕込みで感覚は超鋭いし、逃げ足の早さなら誰にも負けないん

だからねっ!!)」

野生の血が騒ぐ。

カルトナージュ王子がほんの一瞬、力の入れ加減を変えた隙を見逃さず、私は

ウナギのようにするりとその腕から

抜け出した。トッと軽く床に着地した

私は、即座に猛ダッシュの

体勢に入る。だけど、ただ逃げるだけ

じゃあつまらない。私は振り返り、

唖然として固まっている4人の王子様

たちに向けて、これ以上ないくらいの

ドヤ顔でビシッとピースサインを突きつけてやった!

「じゃあね、王子様たち! 捕まえられるもんなら捕まえてみなさーい!」

「なっ……!?」

「おい、待てッ!」驚愕に目を見開く

王子たちをその場に置き去りにして、

私は廊下を風のように駆け出した。

「な、なぁ……!? リリィーナって

いう女は、まだこんな得体の知れない力を隠してやがったのか……!?

 お、おいしっかりしろ! カルト!」オフィカール王子は、ショックで魂が抜けかけたカルトナージュ王子の肩を激しく揺さぶって、現実逃避から無理やり

目を覚まさせようとしていた。

そんな中、ミディティ王子が頬を上気させ、じっと自分の手のひらを見つめながら「うずうず」と身体を震わせ始める。「ぼ、僕、もう走って追いかけちゃっていいかな? ……あはは、なんだか凄く興奮してきちゃった! 

考えるのはあとでいいじゃん!」

(リリィーナ、リリィーナ、リリィーナ……! あんなに素早く僕たちの元から逃げるなんて。あぁ、やっぱり首輪だけじゃ足りないや。僕の部屋のベッドに鎖で繋いじゃおうかなぁ)

「(ひぃぃぃ! 遠くに逃げてるのに、ミディティ王子のヤバすぎる本音の音量がデカくなって聞こえる気

がするぅぅーー!)」

私は猛ダッシュで廊下を曲がりながら、背筋に走る極上の寒気に身震いした。

一方、鉄の扉の前では、キミラカーデ王子が至って冷静に、人差し指でメガネのブリッジをクイッと押し上げていた。

「リリィーナさんはまだこの学園に来たばかりです。校内の道も満足に分からないでしょう。この広い敷地をただ闇雲に探すのは、少々骨が折れそうですね」

そう言いながら、キミラカーデ王子は胸元から学園の詳細な立体地図を

取り出し、素早く視線を走らせる。「……ふむ。彼女の移動速度と、野生の習性を計算すると……あの子なら、おそらく『ここ』に行くかもしれない

ですねぇ」

キミラカーデ王子が地図の一点を

トントンと指差すと、残りの3人の王子たちもフッと獰猛な肉食獣の笑みを

浮かべた。「よし、行くぞ」

私の逃走ルートを見抜いた4人の恐ろしい王子様たちは、一斉に、ある決めた場所へと向かって動き始めたのだった。

「はぁっ、はぁ……! ふっ、ふぅ……っ! こ、ここまで来たら、流石に

大丈夫かな……?」

私は壁に背中を預け、激しく上下する

呼吸を整えた。それにしても、この学園は広すぎる! 自分では野生の動物並みに爆走したつもりだったけれど、敷地が広大すぎて、なんだかあまり遠くまで

逃げ切れた実感が湧かなかった。

「……っていうか、ここどこ?」きょろきょろと辺りを見回す。どうやら、どこかの特別教室に迷い込んでしまった

らしい。部屋の真ん中には立派な

グランドピアノがあり、その隣には

ギターが置かれている。音楽室だろうか?だが異様なのは、壁に大きく

デカデカと書かれた文字だった。

――『※注意! 室内での魔法発動

絶対禁止!!』――

「(魔法発動禁止? なんで音楽室に

そんな張り紙が……?)」

不思議に思いながら、トコトコと部屋の奥へ歩きながら見て回っていた、その時だった。

『ミィー、ミィー……』

「えっ?」

どこからか、微かに愛らしい鳴き声が聞こえてきた。間違いない、この声は猫ちゃんだ! 山育ちの私にとって、動物の声は絶対に聞き逃せない。

「どこだろう? どこかに挟まっちゃったのかな?」

心配になった私は、声がする方向へと向かい、声に辿り着いた――その瞬間。

頭上から、冷徹で、けれどどこか楽しげな声が降ってきた。

「ふっふふふ。……やっぱり、ここに来ましたね? リリィーナさん」

「ひゃあ!?」ガタッと肩を跳ね上げて見上げると、そこには腕を組み、メガネの奥の瞳を怪しく光らせたキミラカーデ王子が、まるで全てを見通していたかのような笑みを浮かべて

立っていたのだった。

第13話をお読みいただきありがとうございました!野生パワーで逃亡したリリィーナでしたが、迷い込んだ音楽室でまさかのキミラカーデ王子に先回りされてしまいました……!猫ちゃんの声にホイホイ釣られてしまうリリィーナ、山育ちのさがが出ていて可愛いですね。しかも、部屋の壁にあった「魔法発動禁止」という不穏な文字の意味とは一体……!?次回、第14話は「音楽室の罠と、残りの王子たちの合流(仮)」です。果たしてリリィーナはここからまた逃げられるのか!?お楽しみに!

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