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勇者になるのを断ったら世界樹に転生した  作者: 央美音


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僕はずっと考えている

「それで、俺は内容を覚えていないが、なんでお前はあんな夢を見せたんだ?」


 サクが聞いてくる。長の突撃訪問と夢の内容の事ばかりで、何故ぼくのかんがえたさいきょうのぼうしさくを作ったのかは言ってなかったね。


「僕は、次代から続いていく世界樹たちの為に何をすればいいのか考えたんだ。それで、ヌシや第二の僕を出さない為の魔法を作ったんだ。あ、夢はおまけだから魔法の内容には含まれないよ」


 本当は夢がメインだったけど、いろいろ考えて変更したんだよね。ぼくのかんかえたさいきょうのぼくしさくはその名の通りじゃないと駄目なのだ。

 そしてサクからの質問に対する僕の答えがサクには理解できないようだ。


「意味が分からん」

「いやさ、僕という実例がいるわけ。ほら、人間が代替わりの日に異世界人を殺して、世界初の異世界人の世界樹が誕生してるよね」


 僕みたいな存在は続いてほしくない。


「しかし、いくらなんでもまた同じようなことが起きるとは限らないのでは?」


 アルの疑問は一言で一蹴できる悲しみ。


「ヌシ」

「ぐっ」

「一件だけなら、欲深い人間共がいた時代があったんだな。恐ろしい災害が頻発して人類は滅亡しかけたのだから絶対に歴史は繰り返さないぞがずっと続いているとなるけど、ヌシの世界樹で滅亡の危機とか何件あるの。ヌシが世界樹になった事例は三十八件だっけ? 人間はヌシの世界樹に何度も何度も滅亡されかけてるよね。魔王も出現してたよね。違ったっけ? 魔王がいない時でも滅亡の危機だったんだよね?」

「どんな時代にも欲に駆られた人間がいる事実は悲しいものです」

「そうだよね。今回の代替わりでもヌシ狩りしてそうだもん」

「あー、無いと言い切れないのがとても歯がゆい」

「もししてたら腹立つのでちょっと調べて嫌がらせしたい」

「できれば穏便に」

「ヌシ狩り、やってないといいね」


 この世界に、どれだけヌシと呼ばれる強者がいるのか知らないけど、皆んな生きてるといいな。

 ヌシの怒りは、自分を殺した相手に向けられてて世界に向けられる事はなかったけど、大地には深い傷跡を残した。

 僕の怒りはヌシと違って、怒りが沸き起こった時に殺した相手だけじゃなくこんな世界滅ぼすぞ! ってなってた。だけど結局できなかった。

 あの時がこの世界を完全に滅ぼせる最初で最後のチャンスだったと思う。

 今じゃ世界樹として生きる覚悟ができてしまったからね。多分無理だろうな。

 失敗した理由は、怒りで世界を滅ぼす前にバカの所業を広めようと考えたから。

 あの時の怒りは、異世界警察のヤルガヌさん達がやって来た事でその辺うやむやになった感じ。

 過去の出来事って人類には世界滅亡の危機だけど、ヌシ目線だとそこまで酷くは無かったんだろうね。

 魔王が出現する程の澱みが生まれた時もあるけど、元凶は人間だから自業自得だ。何で人間だけでも滅ぼせないんだろ?


「あ、それでさ、夢の話に戻るけど。いい加減、人間も代替わりの日には大人しくしてもらおうって話なんだよ」

「大人しくというと? 夢だけではあまり効果はないと思うのだが」


 サクの言うとおり、夢だけじゃ無理だろうね。僕的にいい考えだと思った時もあったけど、ちゃんと考えたら夢だけじゃ駄目だと気づいた。


「そもそも代替わりの日は家で大人しくしてるのが当たり前なのに、欲深な人間のせいでヌシ狩りなんて起きたわけじゃん? 人間だけだよ、今ならヌシも狩れるなんて考えるの。縄張り争いやヌシの座を狙う動物だってその日はちゃんと大人しくしてるのに」

「それを言われると辛いが、対策を考えるとなるとな」


 これは仕方ないとは思うよ。何百年に一回のイベントに全力で対策なんてできるかって話だよね。


「そう、だから僕が考えた魔法で大人しくなってもらうんだ。人間の善性に期待なんてしない」


 これでヌシや異世界人の世界樹が誕生しなくなる。なんて断言したいところだけど実際どうなるかは分からない。

 だって僕が死んだ後の話だから、この魔法がどんな風に人間に効果が出るのか未知数だというやつ。


「善性ときたか。それで、大人しくしてもらうとはどういう事だ? その日だけ人間は眠ったままになるとかか? 俺は覚えてないが、一日中ずっと夢を見続けるのか? しかし、夢はお前の作った魔法のおまけだったよな?」


 サクの質問にその手があったかと思ったけど、流石に全ての人間を眠らせるだけなんてつまらないし、それだとサク達の子孫が代替わりの日に木を切り倒せなくなる。まあ、それ用の対策はしてあるけどね。

 木は切り倒されて一度死ぬのが代替わりには必須項目なのだ。ほんと、この世界は物騒すぎる。

 だから、きちんと代替わりの日を無事に終わらせる為に、魔法の効果が出ない場所を指定している。


「そ、夢はおまけ。僕がかけた魔法は家から外へ出たら体が死ぬほど痛くなるってだけ」

「死ぬほどの痛み」

「痛みは世界樹になる前の僕たちが死ぬ時に受けたものを使ってるよ。あと最初から外にいる場合は、そこから一メートルくらい移動したら発動するよ。家にいた方が行動範囲は広くなるんじゃないかな?

「一メートル離れたら発動」

「あ、代替わりの日にサク達の子孫が動けなくなるのは困るから、次の世界樹に選ばれた木を切り倒す役目の人達は、その日の前日から切り倒す木の側にいるようにって代々伝えてね」

「代々伝える」


 なんかアルが変になってる。レンはだんまりだし、サクが慌てて返事してくれた。


「ああ、それは、切り倒す前に祈りを捧げる儀式をする関係で、代替わりが起きると分かった時点で待機しているから問題は無いが、きちんと伝わるようしておこう」


 サクの言葉にホッとする。伝え忘れて代替わりできなかったら困るからね。

 もしかしたら別の方法があるかもしれないけど、それは僕が知ってる情報の中にはないんだよね。

 まだ教わってない方にあるのかな。


「死ぬほどの痛みに襲われる? あの夢で見た時の感覚を受けると? 夢で痛みは感じませんでしたが、もし発動したら衝撃だけで死ぬのでは?」


 顔色が戻ってたのに、また顔が青くなってるアルが不安そうな顔してるけどなんでだろ?

 皆んなが痛みを受ける事はないのに。

 

「実際には死なないはずだよ、余程の病弱で寝たきりじゃなきゃ多分大丈夫だと思う。そんな人が代替わりの日に起き上がって外に出ようとはしないでしょ。あ、けど健康な人が外に出た時に倒れた場所が悪ければそれで死んじゃうかも。まあ最初から外に出なきゃいいだけだし問題ないよね」

「しかし、家が火事に遭うなど外に出ないと死ぬ状況なった場合はどうする? まだ幼い子供が衝動的に外に出ることもあるだろう?」


 レンが不安そうな顔になって聞いてくる?。サクは俯いてて表情が分からない。


「知らないけど? それこそ各自で対策すればいいだけでしょ? この魔法は代替わりの日だけしか効果がないようにしてるし、代替わりの日は皆んなが分かるんだからさ、大人しく家か安全な場所にいればいいだけ」

「そんな……」

「そんなって言われても、もう魔法は全ての人間にかけてるから、無効にはならないよ。言ったでしょ、大人しくしてもらうって。もしも死ぬほどの痛みの中でヌシを狩れた人間がいたらあの世で凄いって拍手するよ」

「それだとヌシ狩りを防ぐだけで、異世界人殺しは防げないのではないですか? 確かにヌシ狩りは殆どが外で行われていますが、異世界人は召喚場所が屋内だったらその場で殺害も可能ですよね」

 

 僕みたいに屋内で召喚して殺したり、その時代にすでにいる異世界人を探し出して、代替わりの日になったら殺すなんて事は簡単にできるよね。もちろん対処済み。


「異世界人を殺そうとした場合は自分自身に返るようにしてるよ」

「返るとは?」

「例えば、刃物で攻撃されてもその人は無傷で、攻撃した奴が持ってた刃物で死んでるってだけ」


 いっその事、その場にいる全員が死ぬようにしてみるかな。いや、条件とか考えるの面倒だしやめとこう。

 いきなり知らない世界に連れてこられたと思ったら、目の前で人が自滅する所を見せられる異世界人可哀想。異世界警察さん出番ですよ。


「違法行為ですが、もしも魔法で攻撃した場合でも自分に返るという事ですね」

「そうそう。あれ? 魔法で人を攻撃するのって違法なの?」

「はい。個人に対しての攻撃魔法は被害者の生死に関わらず、使用者は死刑となります。戦争で使われる攻撃魔法はどの国でも制限されているそうです」

「こわーい」

「そもそも攻撃魔法は上級魔法の分類で、使える人間の数は少ないんです。学校でも資格が無いと攻撃魔法の取得は出来ません」


 僕のいた世界のファンタジーものだと、攻撃魔法は子供でも使ってなんぼだったけどここでは違うみたいだ。この世界のことだし、きっと何かあったんだろうな。


「俺は村で教師となる前提で学校に入学したので、攻撃魔法を習うなど考えた事もありませんでした。学生の大半は俺と同じ考えだったと思います」

「そうなんだ、じゃあ攻撃魔法が使える人は貴重なんだね」

「そうですね。使える人には色々と制約が出来るとは聞いてますが、それでも学ぼうと努力する奴はいましたよ。実際に学べるかどうかはまた別の話でしたが」

「へー」


 じゃあ攻撃魔法での殺害は出来ないと見ていいのかな。僕は見れないけど、得意げに魔法使って自滅する奴を期待してたのにな。


「あとさ、奴隷にしたりする魔法とか、洗脳して意識を奪う魔法を使った後に殺して、世界樹に転生させて、世界樹を操って世界を手に入れようって考える権力者が出てきたら嫌だからこれも跳ね返るようにしてる。もちろん代替わりの日限定だよ」

「……世界樹になった異世界人がそのように操られるとは思えないのですが。……そもそも死んだ人間の魂に隷属魔法や洗脳など、流石に無効になると思いますよ? 隷属魔法も攻撃魔法と同じで使用が厳しく制限されているはずですし、いくら欲深い者でも割に合わないと思いそうですが」


 アルって結構魔法について詳しいな。学校で学べる事ってたくさんあるんだね。

 やっぱりあるんだ隷属魔法。けど、使える人間は少ないと。

 うーん、隷属魔法は使えなくても洗脳でどうとでもなるって考える人間はいつか出てきそうなんだよね。


「人間の欲って際限ないじゃん? 可能性があるなら洗脳できるように研究する国があってもおかしくないよね。自分達の代では出来なくても、何百年かけても惜しくはないって思う国ありそうだもん」

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