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暇って危険

うーん…。


やることがないわ…。



この前義賊で辺境伯の人身売買を明るみにして、辺境伯の隠し財産を適当に街の人に分配した。


街の人は大喜びで、辺境伯は辺境に駐屯している騎士団で現在取り調べをうけている。



よく考えたら、お金も十分以上にあるし、わざわざ危険を冒す必要ないのよね…。


暇って危険だわ。




「フィオラー、暇だよぉ」




リリアはベッドにゴロゴロしながら言った。




「心配しないで。私もよ」


「もう帝国行こうよー」


「でも、少しだけ面白いことになってるし、約束の7日目の明日までは待ってみるわ」


「えー! フィオラの王子様遅いー!」


「そ、そんなんじゃないって!」




私はリリアにそう言いながら窓の外を見た。


先日城から発表された内容には驚いた。



なんとカイエン殿下が回復して、王太子になったらしい。


本当かしら?


カイエン殿下は毒など盛られていないと発表されたが、流石にそれは嘘だ。


それに、解毒する方法がなかったはず。


私がリリアとアリオンを動員しても無理だと思ったほどだ。




そうすると影武者か何かかしら?




でも、セルジュ殿下の思惑通りにならなかったことは少し予想外だわ。


だってほとんどできることなかったと思うのだけれど…。



更に、城からそれは発表されたが、私のことについては一切触れられていない。


流石にこれはルイン殿下がなんかしたとしか思えない。




そして更にその翌日、今度はウィルオス伯爵家とジョルト子爵家の取り崩しと処遇が発表された。


ジョルト子爵は打ち首で、奥様とアマレーヌは修道院みたい。


奥様とアマレーヌは、人に悪いことはしていないのだけれども、理由は貴族文化を貶めたためだそうだ。




んー、詳細は分からないけど恐らく貞操問題よね。


奥様もなんだか領地の男の人となんかあるみたいだったし。




そしてウィルオス伯爵家は、一家全員打ち首だそうだ。


ここ最近の王国で最も厳しい処遇じゃないかしら。


一家全員なんて見たこともない。


そしてウィルオス伯爵本人はなんと毒杯だ。




本でしか読んだことがない。


それも極悪な魔女を処刑するときに使われていた。



なんでも、7日7晩苦しみ続けて確実に死ぬらしい。


7日7晩苦しみ続け死ねないと思うと、よほど打ち首の方がよかったとすら思える。




「でも、ルイン殿下が王太子じゃないんだねー」




リリアは起き上がってベッドに腰かけて言った。




「そうね。本人もやる気ないって言ってたし」


「そうだねー。でも暇だなぁ。早く帝国行きたいなぁ」


「本当ね…」




リリアとそう話していると、洗濯物を持ったセリアが部屋に入ってきた。




「本当、やることがないって、逆に困りますねぇ。私さっき普通の水で、化粧肌専用水作って洗濯しちゃいましたよー」


「それ意味あるの?」


「いえ、もちろんないですよ?」


「…」




もう皆暇を持て余してるわね…。




「ねーフィオラー、義賊やろうよー」




リリアが足をぶらぶらさせながら言った。




「義賊やるほどの大きいのがもうないのと、わざわざ危険を冒す必要がないじゃない…」


「そうだけどさぁ」





すると部屋がノックされたので、返事をした。




「あーお前等も暇なようだな」




ライールさんがそう言いながら部屋に入ってきた。




「ライールさん達男子は毎日飲みに行って楽しそうじゃない」


「そうですそうです! 娼館に行くところ見かけましたよ!」




セリスが人差し指で指さして言うと、




「な、ま、まぁそんなこともあったか? とりあえずだ! まだ出ないんだろフィオラ?」


「えぇ、一応ここまで待ったらあと1日待つわ」


「そうか。それじゃあ今日は少し遠出でもしようぜ!」


「どこに行くの?」


「アルバの泉。見に行こうぜ? 結構神秘的らしいぞ」


「あ、いいわね。確かにそういう楽しみ方もあるわ」


「お前等暇だからって義賊やる方が普通じゃねーからな?」


「だって他に思いつかなかったのだもの」


「しかし、辺境伯もこいつらの暇つぶしで悪事をさらされたと思うと、少しかわいそうだなぁ」


「悪いことしている奴が悪いのよ」


「まぁそりゃそうだけどな。まぁそういうわけでアルバの泉へピクニックだ!」


「わかったわ」

「りょうかーい!」

「楽しそうです!」




そうして私達は外出の準備をして、二日酔いのアリオンとオフィールを叩き起こし、辺境の更に辺境にあるというアルバの泉に向かった。




途中までは道を進めるのだが、途中からは道なき道を行くことになり、馬で向かうことになる。


私はライールさんの前に乗り、アリオンの前にリリア、オフィールの前にセリスがのって二人乗りで進む。



男子はライールさんに教えてもらって乗れるけど、女子誰も馬乗れないのよね…。




「ねぇライールさん」


「なんだ」


「馬ってどれぐらい早く走れるの?」


「んー今の倍ぐらいか?」


「じゃああの大きな一本木まで競争しましょうよ!」


「いいぜ。アリオン、オフィールそう言うことだ」


「おさきー!!!」




とアリオンがスピードを上げる。


それを見てオフィールもライールさんもスピードを上げる。




そして、ライールさんが1着でゴールした。


しかも大差をつけて。




「ライールさん早すぎだろ!」


「大人が本気になって大人気ない!」




後からゴールしたアリオンとオフィールがそう言うと、




「なんだよお前等二人だってもう成人したんだから大人だろうが」


「「ぐ…」」




毎晩こんな感じで飲んでるんでしょうね…。




「じゃあ、負けたオフィールとセリスがお昼ご飯係ね」


「はーい!」


「セリスなんでそんなに嬉しそうなのよ…」


「えー、だって! セリス謹製水でスープでも作ろうかなって!」


「それは怖いからやめて頂戴…。ライールさんがつやっとしちゃったりしたら…ほら…」




私がセリスに想像してみてと言う感じで言うと、




「ちょ、ちょっと気持ち悪いですね……」


「そうよ…」


「お前等勝手に人を想像の中で気持ち悪くするなよーー」




とライールさんが呆れたように言って、私達は笑った。

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