シーズン3 第4話:黒い霧の来訪者
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住民が忽然と消え去ったオリーブ村を調査し、それが次元の裂け目を介した外部からの干渉であることを突き止めた茜。第4話では、北方山頂の裂け目にて、ついにこの世界の理の外側から来た「異界の使者」と直接遭遇する緊迫の展開をお届けします!
クタバレ王国北方、険しい岩肌が剥き出しとなった『忘れられた谷』の山頂。
冷たい風が吹き抜けるその荒涼とした空間に、宮内茜は単身で立っていた。周囲には国家情報局のエージェントたちを遠くの安全圏に待機させ、彼女自身が「先遣調査」として最前線に身を置いている。
目の前の空気が、グニャリと不気味に歪んでいた。
それは肉眼でもはっきりとわかるほど巨大な、空間の裂け目――次元のノイズが一点に集中し、そこからドロドロとした黒い霧がまるで生き物のように這い出している。
「……ここが、村人たちを連れ去った『出入り口』ってわけね」
茜は愛用の魔導銃をしっかりと握り締め、冷ややかな瞳でその黒い霧を睨みつけた。
その時、空間の裂け目から異様な重低音とともに、周囲の魔力が一気に凍りつくような圧力が放たれた。
『――検知。この座標に、認可外の「異物」を確認』
耳障りな金属音と機械的な合成音が混ざり合ったような、気味の悪い声が空間そのものから直接脳内に響いてきた。
黒い霧が渦を巻き、その中心から、人間のかたちをしていながらも肉体を持たず、幾重もの光る幾何学模様のリングで構成された異形の存在――「外界の使者」が姿現した。
「ほう、人間のおしゃべりじゃなくて、なんだか随分と味気ない電子音声ね。どこの無機質な自動音声よ」
茜は微動だにせず、冷ややかにクスリと笑ってみせた。
異形の使者は、冷たい光を放つ無数のセンサーのような眼を茜に向け、威圧的な波動を放った。
『低位世界の居住者よ。このセクターは、我が上位管理機構による「不要データの全消去」の対象に指定された。貴様らの存続は無効である。直ちに消去を受け入れろ』
「消去、ねぇ……」
茜の眉間に、わずかに不愉快なシワが寄った。
「勝手に人の家に上がり込んできた挙句、そこに住んでいる可愛い子供たちや村人たちをごっそり連れ去って、挙句の果てには『不要だから消す』だなんて……それ、どこの頭の狂った不法投棄業者よ」
『……異議申し立てはシステムに組み込まれていない。排除する』
使者の周囲に展開された無数の魔導砲塔が一斉に展開し、この世界の物理法則を無視した高威力の消滅ビームが茜めがけて放たれた。それは一瞬で山肌を削り飛ばすほどの圧倒的な破壊力だった。
だが――。
茜はその場から一歩も動かなかった。
彼女の周囲に展開された特殊な「主婦式・多重防壁フィールド」が、放たれたビームをまるで夕立の雨粒のように綺麗に弾き返し、無害な光の粒子へと変えていく。
「おやおや、挨拶代わりにいきなりゴミをぶつけてくるなんて、本当に出どころの知れない躾のなっていない子ね」
茜はスッと銃口を構え、冷徹で美しい殺気をその瞳に宿した。
「我が家(世界)の平和を乱し、勝手に部屋を汚す厄介な訪問者には、ちゃんとした『お仕置き』を教えてあげないとね」
次元の裂け目の前で繰り広げられる、最強の元主婦と異界の使者による最初のガチンコ戦闘。
物語はいよいよ、スケールを異次元へと広げた本格的な激突へと突入する。
シーズン3第4話「黒い霧の来訪者」をお読みいただきありがとうございました!
次元外から現れた無機質な侵略者と、茜の初遭遇&戦闘を描いた迫力の回でした。理不尽な「クレンジング」を宣告する敵に対し、最強の主婦がどのように言い放ち、叩きのめすのか――?
次回、第5話「家族会議と新たな決意」もお楽しみに!よろしければブックマークや評価、感想をよろしくお願いいたします!




