シーズン2 第11話:神殿大掃除、開始
シーズン2第10話をお読みいただきありがとうございます!
徹底的な『神殿大掃除計画』を立案し、反撃の準備を整えた茜。第11話では、いよいよ神殿の本丸へと潜入した彼女が、待ち構えていた神官長たちを相手に、容赦ない「更生」の鉄槌を下す痛快なバトル&交渉劇をお届けします!
聖域の中枢、白亜の大聖堂。
天井から差し込む月光が、黄金に飾られた祭壇を冷たく照らし出している。その神聖であるはずの空間は今、異様な緊張感と凍りつくような殺気に包まれていた。
「――侵入者だと?」
玉座のような高坏に腰掛けていた最高神官長ガレリアスは、血相を変えて駆け込んできた側近の報告を受け、信じられないものを見る目で目を剥いた。
「馬鹿な! 幾重もの結界と、歴代の最高傑作である戦闘人形の群れが配置されているこの聖域に、どうやって……!」
「お静かに。そんな大声を出したら、喉が枯れちゃうわよ」
静寂を切り裂くように、軽やかで、しかし底知れぬ威圧感を放つ声が響き渡った。
大聖堂の巨大な大理石の柱の上。そこに腰掛け、優雅に足を組んでいたのは――純黒の潜入服に身を包んだ宮内茜その人だった。彼女の足元には、数分前まで最強の守護者として恐れられていたはずの戦闘人形たちが、まるでゴミのようにスクラップの山となって転がっている。
「なっ……お前は……! 確か、地下牢に幽閉されていたはずの異世界人の女……!」
ガレリアスは冷や汗を流しながら立ち上がり、杖を茜に向けて震わせた。
「我が神殿の理を冒涜し、聖域を汚す者め! 異端者としてその魂を消滅させてくれるわ!」
「神殿の理、ねえ……」
茜はふっと冷ややかな笑みを浮かべ、ヒラリと音もなく床へと降り立った。彼女の手には、手入れの行き届いた愛用の魔導銃が握られている。
「散々、別の世界から人間を勝手に引きずり出し、その人生をメチャクチャにしておいて、自分たちは安全な場所で高みの見物? そんな身勝手な振る舞い、私の辞書では『人間のクズ』って言うのよ。……いい歳をして、誰にもきちんとしつけをされてこなかった証拠ね」
「ふ、ふざけるな! 我々は世界の秩序を保つ神の代弁者だ! お前ごとき素人の主婦に何がわかる!」
ガレリアスが絶叫と共に杖を振るうと、大聖堂全体が轟音を立てて震え、無数の雷撃の魔術が茜めがけて放たれた。それは一瞬で人間を灰にするほどの、神殿が誇る最強の破壊魔法だった。
だが――。
茜は一歩も動かず、ただ冷ややかな瞳でその魔法を見据えた。
「――やっぱり、構造が雑ね」
彼女が指先をわずかに動かした瞬間、空間に展開された特殊な魔導干渉フィールドが、放たれた雷撃のエネルギーを綺麗に相殺し、無害な光の粒子へと変えてしまった。
「なっ……馬鹿な!? 我が神殿の秘術が、一瞬で無効化されただと……!?」
「魔法なんてね、結局は魔力の回路と出力のバランスよ。あなたたちが何百年もかけてありがたがってきたシステムも、根っこの配線が間違っていれば、ただの電気の無駄遣いにすぎないの」
茜は氷のような冷徹さを湛えた足取りで、ガレリアスへとゆっくり歩み寄った。
その一歩一歩が、最高神官長の心を直接締め付けるような重圧となって重く響く。
「さあ、ガレリアス最高神官長。これ以上、あなたたちの勝手気ままな『お遊び』を続けるわけにはいかないわ」
茜は銃口をガレリアスの鼻先にピタリと突きつけ、優しく、しかし容赦のない声音で言い放った。
「ここから先は、私がすべてを徹底的に管理し、あなたたちの脳みそから組織の隅々まで……綺麗に『更生(お片付け)』してあげるから覚悟しなさい」
帝国の闇を司る神殿の本丸で、最強の元主婦による「大掃除」は、いよいよ最高潮のフィナーレへと突入する。
シーズン2第11話「神殿大掃除、開始」をお読みいただきありがとうございました!
ついに神殿の本丸へと乗り込み、最高神官長ガレリアスを圧倒的な魔導技術と知性で追い詰める茜の無双ぶりが描かれた痛快な回となりました。理不尽なシステムを根本から叩き直す「お片付け」の結末はいかに――!?
次回、シーズン2クライマックス第12話もお楽しみに!よろしければブックマークや評価、感想をよろしくお願いいたします!




