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元主婦、異世界で暗殺者となり世界を救う ~裏切られたので暗殺ギルドごと王国を乗っ取りました~  作者: 凪塩 未来


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第11話:無血開城と女王の誕生

第10話をお読みいただきありがとうございます!


家計管理の如き徹底的な無駄排除と情報工作で、王国の裏社会を完全に牛耳ってきた茜。第11話では、いよいよ腐敗した王宮の中枢へ乗り込み、王国の無血開城(乗っ取り)を果たすクライマックスをお届けします!

クタバレ王国の王宮、その最も奥深くにある絢爛豪華な大謁見の間。

かつては栄華を誇ったその場所は、いまや異様な静寂と、逃げ場のない絶望的な空気に支配されていた。


「な、なんだこれは……! 一体どういうことだ……っ!」


玉座の前に立つ老いた国王が、震える手で大量の書類の束を床へとばら撒いた。

そこに記されていたのは、王国を牛耳る貴族たちすべての脱税、不正蓄財、汚職、そして国家機密を売り渡していた裏切り行為の数々。言い逃れのできない決定的な証拠の山だった。国王を支えるべき有力な大臣たちは、すでに顔面蒼白で床に崩れ落ち、声を上げる者すらいない。


勇者アルスを失い、ただでさえ崩壊寸前だった王国の心臓部は、暗殺ギルド『カナリア』が仕掛けた完璧な情報工作によって、音を立てずに完全に内部から腐り落ちていたのだ。


「……お気づきになりませんか、陛下」


静まり返った謁見の間に、ヒールが石畳を鳴らす澄んだ足音が響いた。

扉が開き、ゆっくりと姿を現したのは、純白のドレスを纏った一人の女性――宮内茜だった。

その佇まいは気高き淑女のそれでありながら、瞳の奥にはすべてを射抜くような冷徹で絶対的な光が宿っている。


「き、貴様は……! 王宮の乳母であったセーラ……いや、違う! お前はいったい何者だ……!」

国王が恐怖に顔を引きつらせながら叫ぶ。


茜は優雅にドレスの裾をつまみ、クスリと冷ややかな笑みを浮かべた。

「ただのお母さんよ。……と言っても、あなたたちのような散らかり放題の家を綺麗に片付けるだけの、ね」


茜が軽く手を叩くと、背後の重厚な扉から屈強な衛兵ではなく、影のようにおずおずと控えていた王国軍の高官や、カナリアの精鋭たちが一斉になだれ込んできた。もはや王宮の警備網すら、茜の裏工作によって完全に買収・掌握されていたのだ。


「無駄な抵抗はやめなさい。軍も、貴族派閥も、すでにすべて私の手の中にあるわ」


茜は一歩、また一歩と玉座へと歩み寄る。

誰も彼女を止めることはできない。かつて世界を救うために召喚され、そして組織に裏切られた平凡な主婦は、いまやこの国の頂点へと手を伸ばそうとしていた。


「国を……国を乗る気か……! 一国の王たる私をどうするつもりだ……!」

「乗っ取る? 人聞きが悪いわね」


茜は冷たく一蹴した。

「あなたたちは、自分たちの私腹を肥やすことばかりに夢中になって、この国の家計を完全に破綻させた。主婦の目から見たら、こんな杜撰な国政、経営不振で即クビよ。――安心しなさい。命までは取らないわ。今すぐ退位の署名をしなさい。これ以上、無駄な血を流したくないならね」


その圧倒的な迫力と、微塵の隙もない王者の気概に、国王はもはや抗う気力を完全に奪われていた。

震える手で羽ペンを掴み、国王は退位の布告書に署名する。


ガチャン、と。

ペンが床に落ちる乾いた音が、静まり返った謁見の間に響いた。

クタバレ王国の実権は、ここに完全に、一滴の血も流さず――無血開城の形で茜の手に落ちたのだった。


数日後。

新しく生まれ変わった王宮の執務室、あるいはかつての王の間。

豪華絢爛な玉座に深く腰掛けた茜は、手元の分厚い国家予算の書類に目を通していた。


「首領(ドン)……いえ、陛下。本日の民政改革のスケジュールですが、腐敗した貴族領の没収と、平民層への減税および食料支援の予算配分案がまとまりました」

かつての恐るべき暗殺者・ミリアンダが、すっかり有能な宰相の如き面持ちで恭しく頭を下げて報告する。


茜は書類から目を離し、ふうと小さく息をついた。

「いいわね。予算の配分は絶対に妥協しないで。一文の無駄も出さず、すべての家庭に行き渡るようにしなさい。まるで、一ヶ月の限られた生活費をやり繰りするように、この国を立て直すのよ」

「はっ、心得ております」


ミリアンダが部屋を退出すると、執務室には静寂が戻った。

茜はスッと立ち上がり、大きな窓辺へと歩み寄る。

窓の外には、王国の美しい街並みと、そこで平和に暮らす人々、そして笑い合う子供たちの姿が広がっていた。かつては勇者が生まれ、世界を滅ぼす災厄の地になると言われていた場所だ。


茜はそっと窓ガラスに触れ、遠くの空を見上げる。

(――健太、元気でやっているかしら)


家族の温かなリビングルーム。夕食のハンバーグの匂い。

あの世界へいつか必ず帰るため、そしてこの世界の子供たちの日常をも守るため。

最強の元主婦は、新たな女王として、今日も静かに微笑むのだった。


「お母さんは、強いのよ」


――主婦の戦いは、まだまだ終わらない。家族のために、そして世界のために。

第11話「無血開城と女王の誕生」をお読みいただきありがとうございました!


ついに王国の実権を完全に掌握し、女王(?)として国を家計の如く切り盛りし始めた茜。圧倒的なカタルシスとスカッとする無双展開をお楽しみいただけましたでしょうか?

ここまでご愛読いただき本当にありがとうございます!よろしければブックマークや評価、感想をよろしくお願いいたします!

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