第10話:王国乗っ取りの算段
第9話をお読みいただきありがとうございます!
暗殺ギルドを掌握し、主婦の家計管理スキル(?)で王国の裏社会を完全に牛耳り始めた茜。第10話では、いよいよ腐敗した貴族たちを追い詰め、王国乗っ取りの最終段階へと突入します!
クタバレ王国の王都にそびえ立つ白亜の宮殿は、いまや内側から静かに崩壊しつつあった。
未来の救世主であるはずの勇者アルスを失い、国王は日毎に衰弱し、権力を失った貴族たちは我れ先にと利権を貪り合う。そんな混乱の極みにあった王国へ、暗殺ギルド『カナリア』が持つ圧倒的な情報網が牙を剥いていた。
「首領、主要な派閥の当主たちのスキャンダル、および裏帳簿の押収が完了しました」
かつての恐怖の責任者――いまや茜の有能な右腕となったミリアンダが、冷や汗を拭いながらそう報告した。
執務机に座る茜は、上品に淹れられた紅茶のカップを傾け、淡々と書類に目を通す。
「ご苦労様。……ふん、どこの家も表向きは清廉潔白ぶっているくせに、裏では私腹を肥やすことしか考えていないのね。主婦の目から見たら、こんな杜撰な家計管理、破産して当然だわ」
茜の手元にあるのは、王国の命運を握る致命的な弱みの数々だった。
脱税、密貿易、汚職、さらには隣国との癒着を示す証拠まで。これらを一斉に公表すれば、クタバレ王国の貴族社会は一晩で全滅する。だが、茜が選んだのは一気にすべてを破壊するような野暮な方法ではなかった。
「一気に潰す必要はないわ。家計の予算を削るように、一つずつ確実に息の根を止めていくの」
茜の指示のもと、カナリアの工作員たちは水面下で完璧な連係プレーを見せた。
ある日には有力貴族の不正の証拠を別の派閥へと匿名でリークし、またある日には王宮の主要な役職に忠実な傀儡を送り込む。
無駄な予算や腐敗した利権はすべて削ぎ落とされ、気づいた時には王国の主要な機関のすべてが、暗殺ギルド――実質的に茜の管理下に置かれていた。
もはや、クタバレ王国は外側から攻め落とす必要すらなかった。
熟れた果実が、自然に地面へと落ちるように。あるいは、家事を完璧にこなす主婦が、家中の無駄を綺麗に片付けるように。王国は音もなく、しかし絶対的な手際よさで、茜の掌中に収まりつつあったのだ。
「……さて、そろそろ最後の仕上げね」
茜は窓の外、夕日に染まる王城の尖塔を見上げながら、冷たく美しい笑みを浮かべた。
表向きは気高き淑女として貴族のサロンに君臨し、裏ではすべての権力を握る黒幕。
家族を奪われかけた怒りと、元の世界へ帰るという執念が、今や一つの国を丸ごと乗っ取ろうとしていた。
最強の元主婦による王国の完全掌握劇は、いよいよ最終幕へと雪崩れ込んでいく――。
第10話「王国乗っ取りの算段」をお読みいただきありがとうございました!
主婦目線(?)の徹底的な無駄排除と家計管理スキルによって、王国が静かに、そして着実に乗っ取られていく爽快な政治(?)回でした。
次回、第11話もお楽しみに!よろしければブックマークや評価、感想をよろしくお願いいたします!




