91/92
孤独な帝国 其の十四
「申し訳ないお待たせしました...」
幾つか触りつつもひとまず気になるのを頭の片隅(AIさん在中)に入れておき、フェネクスさんの方を向く。
そこに立つフェネクスさんともう一人...この世界で初めて出会う人だったら良かったのに。
どうも自分は同族と出会う運命にないらしい。
「とりあえず初めましてと言えばいいのか…地上から来た者です」
「この人からアラク姐さんと呼ばれてるわぁ」
「回答…脳内で同居してるAIといいます」
こちら側の挨拶に反応して向こうも答えるが、どうしても絵面が違和感しかないんだよな。
「改めまして皆さまようこそお越しくださいました、案内役のフェネクスと申します。そしてこちらが…」
『初めまして…このような姿で申し訳ない。この地下で暮らしている者です』
うーん...台車の上に乗った培養液漬けの脳みそが喋ってる。
あれかな、容器と液体の振動周波をずらして喋ってるのかな?
その辺詳しくないけど科学の力って凄いんだなぁ!
「あー、えっと...勝手に入って色々物色したことを謝った方がいいですかね?」
『構いませんよ、久々のお客様。それも人間の方がいらっしゃったんですから』
喋り方が古龍さんに似てる、想像通りのご高齢ってことかな。
いったい何年前からこの地下で生きてるんだか...?




