孤独な帝国 其の四
いや長い…最初に来た時も思ったがこの上り坂地味に長いんだ。
そりゃ地上まで続いてると思って前回は上ってたし、実際天窓から空が見えたから地上すれすれまで続いてた。
ただ今回はそれを分かってる状態で上っているんだ。
つまり...前回以上に暇だ。
「さて道中暇だぞ、アラク姐さんとAIさん...何話す?」
「話振ってくれるわけじゃないのねぇ」
「回答…ご主人の話などは如何ですか?」
あぁこっちに振ってくるのね。
って言ってもなぁ...現状自分が話せる話題ってなるとこの世界に来てからか来る前かの二択になるわけで。
そしてこの世界に来てからの記憶はほぼAIさんに見られてるので必然的に来る前の記憶で話すことになるぞ?
「そしたら自分が今まで読んできた最高の小説を話すか...」
「気になるわぁ」
「待機...閲覧外の記憶を所望します」
では話そうじゃないか...妖達が平凡に生きている世界でその姿を見ることのできない主人公が出鱈目な人生を生きる二者間視点のギャグストーリーを.........
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「ってな形で、主人公は一切妖が見えずに生きていくってお話だ」
「興味が惹かれるわねぇ…続きは?」
「要求…続編」
「残念ながら続きは知らん、知る前にこの世界に落とされたからな」
おのれ神め…続編が気になる被害者を増やしやがって、いや増やしたのは自分だけども。
「そういう作品が貴方の世界には沢山あったのねぇ?」
「そうだな、人の一生で全て読める量ではないな」
「質疑…せめて作品名だけでもお教えいただけませんか?」
「あぁあれは覚えてる、確か『妖驚天動地物語』って作品だ」
正直自分もあれの続きは気になっていた、主人公側と妖側の視点が別で進んでいくのが読んでて楽しかったんだよなぁ。
「どうしましょ...これからの人型よりその作品の続きが気になるわぁ...」
「え、ちょっとこれのせいで集中切れるとかやめてくださいよ?」
「回答…難しいかと、かくいう私も続きの自動生成を開始しようと好奇心と理性がせめぎあっています」
「小説の生成をAIがやるのか...字面がちょっと怖いな、できれば冷静さを取り戻してやめておいてくれ。今度別の作品の話してやるから」
アラク姐さんとAIさんがどっちも自分たちの世界に入りそうになるのを止めつつ、外からの向かい風を確かに近く感じていた。
でもこれあの奥の部屋に空いてる通気口からの風なんだよな。
「まぁいいか、一先ず天窓の素材が生成可能か調べたい...ついでに人型の奴の正体も確かめたい」
「いろいろな知識を得られそうねぇ…それと今度私達の里の近くで心優しい人間と話す機会があったら本でも仕入れてもらおうかしらぁ」
「うん、出来るだけ優しくね?」
おぉ微笑んでいる、慈悲ある笑顔にも無慈悲な聖母にも見えるな。
次にアラクネの里近くを通る商人や冒険者たちにはその、うん...同情はするよ。
多分責任の一端は自分だと思うから。
AIさんが(興味を持った)作品の続きを自分で作る。
あ、そこAI生成とか言わない。




