奪う者と頼る者 其の七
長編を書くつもりが行き当たりばったりなせいでこんなことに...
「手短に作戦を伝える、上からぶん殴って剥離させる。そしたらアラク姐さん達の糸で即引き離してもらう!」
「で、でもそれってマズくない!?」
おぉ流石に臆病な小ルラウネはすぐ気づくか。
そう、引き離した後のスライムを処理する方法が現状ないのだ。
「一応ぶん殴ったときに麻痺系の毒を打ち込む予定だが、それが溶けた後どうするかはその時考えるって感じで?」
「それこっちが巻き込まれるかもじゃない!?」
「そしたら私達の糸で密封しちゃいましょうかぁ?」
「え、姐さん達の糸ってそんな気密性高いの?」
あぁでも今腰に付けてる編み込まれた糸は気密性高そうかも…森で逆さ吊りにされたときの糸はそこそこの強度の蜘蛛の糸って感じだったけど。
[補足...自我を獲得したスライムは完全液状化できない"核"が生成されます]
「成程...その”核”も含めて包み込めば捕獲は可能と」
「なんのお話かしらぁ?」
「んーこっちの話。あのスライムがもし自我を獲得してたら液状化できない"核"があるっぽいんだよね」
「そ、それなら!丸ごと包み込めちゃうってわけね!」
「そゆこと、まぁ今気づいたことだから作戦立案時に分かってたわけじゃないけどね」
あまりのアドリブ進行に小ルラウネが凄い顔してる...しょうがないだろ相手の素性もわからない状態で助太刀に来てるんだから。
「よしそれじゃさっさと済ませちまうぞ、姐さんは自分をあいつの頭上にぶん投げて!」
「あらぁ、それ落ちたら怪我しちゃわないかしらぁ?」
「最悪怪我は治せるけど、痛いの嫌だからこの糸で回収してもらいたいね。小ルラウネ頼める?」
「思いっきり引っ張ればいいのね!」
「落下中にあいつぶん殴ってくるから、その後に引っ張って」
きゅーちゃんはキャッチする係を頼んだ、尻尾キャッチは既にアラクネの里で習得済みだからね。
あとはさっき言ったとおりだから即作戦実行!
「それじゃ剥離剤投擲よろしく」
「その薬品が殴りに来るのねぇ」
「投げるのは姐さんですけどぉぉぉぉぉおおお!?!?」
会話中に投げるのは聞いてないんですけどぉぉ!!!??
でも流石姐さんだ、コース完璧スライム&獣人のちょうど頭上で落下に変わるように投げてくれた...っていうか地味にアンダースローだったな姐さんの投げ方。腰労わってる?
「よくわからんがそれ言ったら噛まれそうだから黙っていよう...ってわけで上から失礼!!」
初仕事だ「天運」!毒の生成はアドリブだが、何となく筋弛緩剤的なイメージでよろしく!
[思考補正...麻痺は神経毒系統のため、その方向性に思考誘導しておきます]
「AIさん流石!素晴らしいアシストだ…伊達に脳内アナウンスじゃないな」
[肯定…それはそれとして、着弾します!]
頭からチェストォォォ!!!示現流とか詳しくないけどこれどっちかというと唐竹割じゃねえかな!
あと多分衝撃が獣人の父親にまで伝わったっぽいな、頭抱えてるわ。
「...ん?頭抱えてるってことは動けてる?」
えーっと、支配が解けてるってことでいいかな?良さそうだね?よしアラク姐さん達に合図!
「確保ぉぉぉぉぉ!!!!!」
「「「オォォォォォ!!!!!」」」」
その合図が出た瞬間今まで怯えていたアルラウネ達とアラクネ達、そして遠巻きに行方を見守っていた他の獣人達が一斉に引きはがしにかかる。
そしてそれを俯瞰で見ながらものすごい勢いで引っ張られていく自分という...あれだ、こういうヨーヨーの技見たことある。
「でもこの回収の動き人間でやっちゃ駄目なやtツツツツツツツツツツツツ!!!!」
小ルラウネが全力で引っ張り、回収地点のきゅーちゃんがキャッチする。
はたから見れば綺麗な回収劇だが当の本人は「く」の字になりながら高速且つ空中で後方に引っ張られていただけだからすごく間抜けな気分だ。事実か、はっはっは!
「うおぉ...誰に怒ればいいのかわからんが、恐らくこの世界に呼んだ神のせいだな。おのれ神め」
「す、凄い...神にも喧嘩売るのね…?」
「まだ出会ってもない相手だが、まぁ恨みはそこそこにあるからねぇ」
そして時が経つにつれてその恨みは募っていく…正直基本一冊読みきりだったりすでに完結してたりだから問題ないが、それはそれとして新作の小説とか気になるんじゃこちとら!
あの作者の新刊出るの待ってたのに!みたいになりかねんぞ...いや能力取得の中にその手のもの取り出せる奴もあったけど...流石に現状他に優先するものが多すぎるから保留にしてる。
でも魅力的だよなぁ...現代の物取り寄せれるだけでかなりQOL上がる気がする。
「でもあれなぁ、「五穀豊穣」と同じタイプっぽかったんだよなぁ」
「な、何の話?」
「ナンデモナイヨー、コッチノハナシー」
「それ多いわね…」
いや一日の回数制限付き能力って考えるとなぁ、それで小説選び出すってよっぽど生活に余裕ないとな。
それはそれとして助けてくれた二人を撫でつつ、戦況を確認しなければ…。
「おぉ...なんと分かりやすい袋叩きだ」
「あ、アラクネさん達ってあんな風に動けるんだ...」
「地上機動力が高すぎる...あ、完全に分離した」
そしてすぐさま回収される獣人の父親、糸でぐるぐる巻きにされるスライムの完成と。
「小ルラウネ、あのスライム玉に名前つけるとしたら?」
「え、えーっと...名付けってこと?」
「どっちかというと料理の名前っぽく」
「難しすぎない!?」
お、回収したアラク姐さんがこっちに来た。
おーいここだよー!「あんたならなんて名付けるのよ!」え、うーん...スライムの球体:気苦労を添えてとか?
スライムの球体~気苦労を添えて~
えぇこちらは希少な変異種のスライムを捕獲した際に、協力してくださったアラクネの長である方が自身で生成し、それを束ねて気密性を高めた糸で球体状に編み込み閉じ込めるという...とても複雑かつ気の抜けない時間を経て完成された一品なんですね。
え、スライムは糸を抜け出すのでは?ハハハご冗談を、自我を持ったスライムは"固体化した核"を生成します、そこまで含めての「気苦労」ということですよ。




