運命を定めた枝に名を付けよう
筆が乗ったのでいつもの時間にも予約しておくという采配。
「そういえばデザインしてて思ったんだけど、それよく森に来てた人間たちの持ってた武器に見た目は似てるのよね」
「え、そうなの?」
マジか、これと似てるって結構珍しいのでは...?
「因みにどんな感じだった?」
「えっと...私が見たときはゴブリン?だったかな、あいつらを追い払うのに振り回してたけど、流石に木じゃなくて金属でできてたと思うよ」
「金属製かぁ…んー森の中じゃ流石に手に入らないか?」
「どうだろう、私達が住んでた場所には少なくとも無いと思うわ。私達金属苦手だし」
「アルラウネ達が金属苦手なのなんか凄い納得感あるわぁ」
「そう?」
創作物のエルフとか、森に棲む者って大抵自然を愛して金属とか人工物を嫌う設定あるよなぁ...あれ元ネタとかあるのかな。
そしてやっぱりアルラウネ達も金属嫌いと、マジで手に入れるには人里行かなきゃ無理そうだけど...別に他の人間にそこまで会いたいってこともないしなぁ。
「今が楽しい弊害だな」
「それ、弊害なの?」
金属が手に入ったら...あ、でも加工技術無いじゃん。弊害なんてなかった、いいね?
「何一人で納得した顔してるのよ?」
「いや、アルラウネ達とはこれからも仲良く暮らしていけそうだなぁと」
謎に照れてポカポカと叩かれながら、のんびりアラク姐さんの元へ向かう。
いや加工も強度もアルラウネ達がやってくれたしこれ以上何かしなくても...って感じはするんだけどね、如何せんこのまま振っても何も起こせなさそう感がひしひしと持ち手から伝わってくる...はっ、まさかアルラウネ達の弱者的エネルギーを受けて弱体化したとでもいうのか?!
「あらぁ、いらっしゃぁいなぁ?」
「アラク姐さん、ども」
「お、おはよう...ごじゃいます」
相変わらずビビってるのな...いやまぁ絶対敵わない相手にはそりゃビビるか。
「随分面白いものを持ってきたのねぇ?」
「昨日小ルラウネに頼んで加工依頼してたものでね、自分の武器にしようかなって」
「ふぅん...それで私にも何かお願いしに来たのかしらぁ」
「正解ですぅ」
お肉が出せるようになったり...なんてアホなお願いもそれはそれで面白そうだけども。いや実際生肉の出る杖とか作るか?っていうか作れるのか?
「ちょっと気になるな...」
「えぇ?」
「あ、いやこっちの話です。アラク姐さんに出来るかわからず聞くんですけど、こいつから毒とか出せるようにできたりします?」
「持ち手の部分は小ルラウネちゃんの蔦になってるのねぇ...そうねぇ、その持ち手を強く握ったら、毒が先端まで染み渡るようにしましょうかぁ?」
「え、そんな器用なこと出来るの?」
マジかよ能力の併用とはいえ大分技術特化してないかこの姐さん。
それなら話は早いとこいつを預けて、追加で元が木の枝だから火とかに弱そうだなぁと相談したところ「私達の毒はねぇ...捕食相手に打ち込んだりして使うことが多いのよぉ...相手の硬い外殻を溶かしたり、それこそ炎のように高温の生き物に撃ち込んだりねぇ?」とのことで、詰まるところ炎耐性付きの毒とか言う何とも奇妙なものを付与してくれるらしい。
「それ、定期的に姐さんに毒をもらいに行かなきゃいけないやつ?」
「そういう作りにもできるけどぉ、小ルラウネちゃんが協力してくれたら、この蔦が生成できるように出来るかもしれないわよぉ?」
「や、やってやろうじゃないの!」
「え、普通にありがとう...小ルラウネも姐さんも後で何かしらお礼するから言ってね?」
「わ、私はその...あとで一緒にご飯食べたりとかで...いいわよ!」
「それじゃあ私もそうしようかしらねぇ...折角なら色々話も聞いてみたいわぁ」
お昼までに終わるの?って疑問は物凄い速さで改良が進んでいく木の枝。
またの名を自分の新しい武器、運命を定めた木の枝から作られた木刀を見ながら「昼前に余裕で終わるな」なんて独り言をつぶやくのだった。
木刀の名前を「天運」に決めたタイミングで、小ルラウネにまた叩かれたのはなぜだろうか...皆目見当もつかないなぁ!
・木刀「天運」
主人公の運命を分けた奇跡の枝。ぶっちゃけただ拾って投げて落ちたときに向いてた方向に歩いたってだけのものだが、そのお陰で川の方に(偶然)歩いていたのと、その川の上流に古龍さんがいたことで捨てるに捨てれなくなり、薪にも使わず持っていた木の枝。
持ち手の部分が滑りそうだなぁと思っていたが、いざ目が覚めて小ルラウネの元に行ったら蔦を巻いてくれていたので最高の出来栄えと大喜び。
実際は小ルラウネ自身が加工にあまり関与できなかったのが嫌でつけたマーキング的なもの。
持ちやすいようにたびたび加工してくれるので結果オーライ。




