蜘蛛の森は無音 其の二
頭に血が上ってきた...いや長時間吊るされたわけじゃないけど。
「あのーこれってなんで吊るされてるんですかね?」
「それはぁ...貴方が何の目的でここに来たか確認するためよぉ」
「ご挨拶(そのままの意味)なんですけどねぇ?」
「ご挨拶(見敵必殺)かもしれないでしょぉ?」
うーん誤解されてしまったらしい。
地上ではきゅーちゃんがどうにか火を吐こうとしてるが相変わらず着火が苦手なようだ。
家の竈も未だに「ファイア」と併用しないと上手く火が維持できないみたいだし、いやまぁそれが可愛いんだけど今はそれどころじゃなく...。
「えっと、きゅーちゃん...下にいる竜の子には手は出さないでね?」
「あらぁ、優しいのねぇ...でも私たちも無駄に竜と敵対するつもりはないわよぉ?」
そらそうだ、この森で竜と敵対するってかなりの自殺行為的な認識らしいし。
さてそれはそれとして話をするにしてもいい加減逆さは疲れた。ひっくり返してと頼んでもちょっと話を聞いてもらえなさそうだし...うん、仕方ない正当防衛だな!
「ところでアラクネ...えーっとそちらの種族って固有の名前在ったりする?」
「んー特にそういう話は聞いたことないわぁ?蜘蛛の奴って呼ばれたのは聞いたことあるけどぉ?」
「そのまんまなのね、じゃあ暫定的にアラクネの子たちって呼ぶけど...怒らないでね?」
「?」
指先に血が溜まるイメージ。
「只の回復」と同時に覚えたもう一つの能力...自衛目的で覚えたけど流石に人型の子たちに向かって撃つ練習はしてないから今回も足の先、蜘蛛の糸で縛られて吊るされた木の枝に向けて指先を向ける。
「覚えたままの名前で失礼...「魔弾」!!」
能力取得の時に読んだ説明書きには、MPを消費して指先から「魔弾」を射出する。
それしか書いてなかったから検証をコソコソとやる羽目になったが、予想通りかなり応用の効く能力ってことが判明したこの力。
初任務が蜘蛛の糸からの脱出なのは大目に見てほしい。
「ナイスキャッチきゅーちゃん!」
下で落ちてくるのを待っていたかの如く尾で巻き取るように捕まえてくれたきゅーちゃんのお陰でダメージ無し。いややっぱ嘘、あの高さから落ちて鱗のある尾で巻き取られたから多少痛いわ畜生。
「あらぁ、簡単には逃げられないと思っていたのだけれどねぇ?」
「生憎古龍さんの威を借りてるもんでね、そう簡単に捕らえられないのさ!」
「でも吊るされてたわよねぇ?」
「アラクネさん可愛くて油断したってことで?」
「あらぁお上手ー」
いや嘘じゃないよ?話し合いでどうにかなりそうかなーって考えてる段階だったから油断しまくってたのも事実だけど。
「んでどうする?一応こっちはまだ話し合いしたい気分ではあるけど...逃げるためなら多少痛い思いさせることになるんだけど...個人的にあんまりそういうことしたくないんだよね?」
可愛い子が痛い思いするのは創作物の中でも好ましくない...いやまぁモノによるといったらそれまでだけど、この世界で異種族とは仲良くしたい。
というかすでにアルラウネ達とかと仲良くなってしまったから、人型ってだけで攻撃したくないんだよなぁ、情が湧いたというべきか。
「そうねぇ...その撃ちだす能力も当たったら痛そうだしぃ...ひとまず休戦ってことでどうかしらぁ?」
「うーん賛成ー」
というわけでアラクネお姉さんについて行き、木の上にある球体状の蜘蛛の巣みたいな、蜘蛛の糸で作られた丸いおうちというか住処に案内された。
これでまた簀巻きにされたら人体発火(物理)で蜘蛛の巣ごときゅーちゃんと放火しまくってやるからな?
主人公が新たに覚えた能力その二!
「魔弾」
魔力を消費し、指先から圧縮した魔を撃ちだす。
その性質は無色...あらゆる属性を纏う性質を持つ。
所謂属性付与が出来るタイプの能力です...主人公が使えそうな属性...?
あと現状、大体一発でMPが1/4ぐらい消費する...これは消費量を抑えつつ、威力と両立させた結果。
MP全損で特大の魔弾撃てるけどガス欠になるし隙はデカいしよっぽどじゃなきゃ節約運用。




