得た力は友のために
能力は取得した。
説明は軽く読んだがまぁ使ってみればわかるだろうってことで一旦放置している。
新しい能力の確認お披露目!ってしたい気分なのは山々だが、古竜さんへの挨拶を早めに済ませないと
小ルラウネどころかアルラウネ達全体がこっちの森での生活に怯えそうなので、一旦状況説明に向かうことにした。
さて、古竜さんの洞穴に向かいながら自問自答のお時間だ。
今既に当然のように受け入れているが、自分がこの世界で一番特殊に感じているのはMP、即ち魔力的な存在だ。
魔力があり、魔法がある...異世界なんだし当然と決めつけて脳死で使っていればそれはそれで幸せなんだろうが、元々日本で生まれ育った自分にそんなものは無いし、この世界に来る前後の記憶は神の存在含めて全くない。
「だから結局このMPが何なのかもよくわかってないんだよなぁ...」
「MPって?」
おぉ聞いてくれるか小ルラウネよ...!
「自分の能力を使うときに消費する概念?でいいのかな、その辺誰に教わったわけでもないから何にも知らないんだよねぇ...だから暫定的にMPって呼んでる」
魔力数値...的な感じで認識してる。
実際ファイアでじわじわ減ったりしてるし、消費と自動回復が当たり前のものなんだろうなぁ…程度の知識なんだよな?
「んーそれの名称は私も知らないけど、私達アルラウネも植物に関しての事が色々できるんだけどね?」
「蔦操るどころか生み出してたもんな、自分の体が植物性だからできるのか?」
植物性...タンパク質とかそんな雰囲気の言葉の綴りであった気がする、うろ覚えだけど。
大豆とか確か多かったんじゃなかったかな...五穀豊穣で豆も出せるし、発酵食品作れたら納豆とか味噌とか作りたいなぁ...。
「な、なんかすごい遠くを見つめてるけど...ともかく、その色々をするのにも限界があるの、だから何かを消費してるってのは合ってると思うわ?」
「おぉそうなのか、因みにしばらく休んだら少しは使えたりってのも同じか?」
「そうね、私たちの場合日光浴とか水分補給とかもそれに当てはまるわ」
つまり光合成と水ってことね、種族によってMP回復の手段が違う...というより多いって感じかな。
でもそれでいうと人間は三大欲求とかで回復しそうだな...たくさん寝て食べるか、性欲は現状どうしようもないし。
「さて、そうこう話してるうちに着いたぞ古竜さん宅」
「この洞穴に...こ、この森の主がいるってわけね」
小ルラウネさん冷や汗だらっだらじゃないっすか...きゅーちゃん式ドライヤー使う?
もれなく毛先が焦げるけど。
「ほれ、さっさと挨拶するぞ...っていうかちゃんと手土産持ってきたんだろうな?」
「も、持ってきてるわよ!」
それならばよし、そして初めて会ったときからお世話になりっぱなしの自分も今回は手土産があるのだ。
まぁ土産物といっても消耗品というより概念なんだが。
「というわけでこちら、川向こうから越してきたアルラウネさん...の代表(運悪く決まった)小ルラウネさんです」
「え、名前それで紹介するの!?」
いいだろ別にもう固定されたようなもんだし、種族名もじっただけなのは悪かったが他のアルラウネは読んで反応したのを見たときもう固定でいいやって思ったわ。
『植物族の代表者か...アルラウネはお主が名づけたのか?』
「あ、はいまぁ...アルラウネって種族名は昔読んだ本に載ってた種族と特徴が似てたからつけたので、私が考えたってわけじゃないですけど」
あの本なんだっけか、異種族大量に出てくるハーレム物の異世界小説...
そうだ思い出した、『異形種ハーレム冒険譚』だ!
人型どころか完全に異形の見た目の化け物とも、持ち前のコミュ力だけで平和的(R-18)解決に持ち込む
ハーレム小説、ただ描写が生々しいから複数回読んだりはしなかったなぁ…いや好きな本だったけど。
思い出に浸っていたら小ルラウネが土産を渡していた...あれなんだ、蔦で編まれた槍見たいだが、
古竜さんのサイズだと尺寸的に爪楊枝にしか見えねぇな。
「あ、それとアルラウネ達以外に蟻族の者とも出会いました。
ひとまず和解...なのかな?まぁそんな感じの関係になったので一応」
報告は大事だよね、忘れがちだけど思い出したからセーフセーフ。
おいなんだ小ルラウネその目は、まるで「今ギリギリ思い出したでしょ!」とでも言いたげな目は!
まぁ目だけで膝も腰も古竜さんにビビって震えてるから全く圧力ないがな。
『それなりの経験になったみたいだな、話し相手が死なずに何よりだわ』
古竜さん的にも及第点だったらしい、あと笑い方が相変わらず豪快なことで...洞穴揺れるし小ルラウネ
もう気絶寸前の白目だし控えめでお願いできませんかね?
「あ、そうだ古竜さん...自分もお土産あるんで受け取ってもらっていいですか?」
『む、お主が土産とは…話し相手で十分だが』
「いやいや、ここで出合ってから助けてもらいっぱなしですし、預かったきゅーちゃんも心強いですし、話し相手程度で返せてる気分には到底なりませんから」
そう、恩返しの意味も込めて。
ただ今の自分にこの弱った古竜へ出来ることなどない。
...そう思っていたが、直前でのLv上昇と能力の取得。
「お土産と言いつつ一部検証も兼ねてるのをお許しください...!」
ゆっくりと古竜さんへ近づき、そっと鱗の上から触れる。
書きたいことと以前書いたことがすれ違ってないか、メモ書きとかしてこなかったせいで
逐一過去の自分の書いた話を読みに行くという行動をとっている...間抜けか私は?




