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幸せにしたいのは主人公じゃない!  作者: いたちのしっぽ
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「は!?え!えぇ!?」

「な、な、な、ななん!?」

「二人とも久しぶり」

「こちら、今回の依頼人のルークです」

フレイザーの元へ向かい、廃城のリビングへと戻ってきたシュンはなぜかルークを連れておりグレンとニノは思ってもいなかった事態に驚愕した。

一体なぜ、何がどうなってルークがここにいるのか。

事情を問いただす前にルークは二人に謝罪した。

「ごめん。二人にはずっと謝らないとって思ってて…。あの時は事情が事情だから話すわけにはいかなかったんだ…」

「…今は話せるのか?」

「…うん、そのために来た」

暫く3人だけにしようと、シュンは応接間へと案内した後リビングに戻ると不機嫌な様子のシンが空になったチョコレートの噴水だった物を睨み付けていた。

「…え?空にしたの?あの量を?マジで?」

ムスッした表情のままシンは動かない。

「シュン、あのルークとか言うやつ大丈夫なのか?」

侯爵殺しの犯人と考えていた人物が現れたらそう考えるのも無理はない。

「大丈夫。それについても今から話すよ。グレンとニノは多分ルークから話を聞くと思うから」

侯爵殺しの犯人やヘルオキア連邦国内で起きている事、ルーズランス国と戦争になるかも知れないという事などをシュンが知る限り説明する。

ではそれをどう解決するのか、そのあとはルークからもっと詳しく話を聞く必要がある。

暫くするとグレンとニノがルークを引き連れて戻ってきた。

存分に話し合ったのか、3人とも表情がすっきりとしている。

「シュン、2人と話をさせてくれてありがとう。友人として2人とも大事だから分かってもらえて良かった」

そう言うルークの後ろでグレンとニノは少し照れていた。

「うん。和解できて良かったよ。じゃぁ今後の予定を説明しようか。ルークも座って」

「…それは黒の一団のだろう?僕が聞いても良いことなの?」

「ルークの故郷の人たちを助けるんだから勿論だよ」

ルークが用意された椅子に遠慮がちに座ると、シュンは一つ頷いてルークに向きなおった。

「ルークの住んでるところが圧政に遭ってるのは戦争の敗北が原因て事でいいの?」

「それもあるけど、もっと違う理由がある」

「と言うと?」

「鉱山が目的なんだと思ってる」

「鉱山?」

ヘルオキア連邦国となる前の僅か3000と少しの人口で成り立っていた小国時代。

鉄を掘り周辺諸国へと売っていた。

しかし、ヘルオキア連邦国に加わってからと言うもの、各国の代表らに鉄ではなく作物を税として納めよと言われてしまい、鉱山を閉鎖し作物を育てる事に切り替えた。

しかし、土地柄豊作とはならず貧しくなる一方だった。

周りからは慣れない事で大変だろうと支援を申し出る代表が多数おりなんとかやってこれた。

しかし、短期間による度重なる戦争でその支援も打ち切られ、戦争で疲弊し、各地からこれまでの支援分を返せと迫られてしまったのだ。

何とか努力するが追いつかず、ついにルーズランス国へ戦争を仕掛けヘルオキア連邦国を潰そうと考えた。

「そのヘルオキア連邦国の元々の狙いは鉱山と言うわけか」

「僕はそう考えてる」

その土地の者たちを疲弊させ、始末した後土地だけを貰おうという魂胆なのだろう。

「よし!今夜ルーズランス国の国王に夜襲をかけよう!」

「「「「「「「は!?」」」」」」」

夜襲は言いすぎた。

一国の王に会うとなれば、正式な手続きが必要になるし、それがどれだけの時間がかかるか分からない。

何せ、正式な手続きを踏んだことがないからだ。

それにできれば自白魔法をかけて嘘をついていないかも知りたいのだ。

ルーズランス国の国王がヘルオキア連邦で起きている事を万が一知っていて知らぬふりをしていたとしたら、協力は期待できないので、一から考え直さないといけない。

周囲に護衛の兵士や魔法使いが居ては魔法をかけるだけで大騒ぎだ。

だから寝静まった後に忍び込みひっそりと会いたいのだ。

「不法侵入でお縄になる可能性もあるけどな」

「私がそんなミスすると思う?」

「完全犯罪でもするつもりか」

「大丈夫。一国の王の部屋に侵入するのは慣れてるから」

「慣れるな」

慣れたように繰り返すシュンとレイルのやり取りに感心するルーク。

他のメンバーもいつものことだと苦笑いしている。

(本当に…大丈夫みたいだ…)

ルークは廃城に来る前に黒の一団の事を聞いていた。

漫画の世界とは程遠い黒の一団の英雄譚に半信半疑であったが、そこには憎しみや恨みなどなくただ普通に人生を楽しんでいる一団が居た。

(あんな結末、僕も見たくない…。シュンは読者が望んでいた未来を作ろうとしているんだ)

無意識にシュンをジッと見ていたようだ。

それに気づいたシンは面白くなさそうに眉をひそめた。


「ルーズランス国の国王にこの事を知らせる」

「同盟国から戦争をしかけられるとなれば黙ってないだろうな」

ルーズランス国側はひたすら守りをかためさせ、ヘルオキア連邦の弾切れを誘う。ヘルオキア連邦は戦い慣れた兵士は多少居るだろうが殆どは平民だ。

そこは魔法でチョチョイっと細工して捕らえる。

領地の反乱としてヘルオキア連邦に責任を取らせようとするだろうけど、その原因を作ったのはヘルオキア連邦。

連邦側は無闇に死罪にすることもできない。

落とし所としてルーズランス国側から連邦脱退を提案してもらう。

きっとヘルオキア連邦はその提案に飛びつくはずだ。

ルーズランス国から本気で攻め込まれたり、国全体で責任取るよりずっと楽だ。

「そしてその連邦を脱退した小国は、連邦を裏切ったとして周辺諸国から白い目で見られるだろうけど、私に多大な貸しのあるロザリール国の国王と大公にうしろだてとなってもらう!」

「………楽しそうだな」

「楽しい!」

学校での無茶振り…面倒な王子の子守と、魔物の群れ&魔人の討伐に比べたら可愛いものだ。

かの有名なフレイザー・アーリッシュにここまでする人間は、世界広しといえどシュンだけだろう。

そこまで話したところでお開きとなった。

それまでにエクシャの魔物に国王の寝室などを探ってもらう事にする。

「承知しました」

サッと姿を消すエクシャを見て、ルークは目を輝かせた。

「さっきこのお城に来る時もそうだったけど、魔法陣使わないんだね」

興味津々でシュンに尋ねるルークは、自分は本に魔法陣を描いて使っていると、その本を見せた。

1ページに一つの魔法陣が描かれており、その厚さは国語辞典並みだ。

「わっ!凄い!こんなに魔法が使えるんだ!」

パラパラとめくるルークの手元を覗き込むと、最初のページは初級から始まり段々とレベルが上がっていくのが分かった。

真ん中を少し過ぎたくらいに移動魔法のページがあった。

「凄いねー。魔法の辞書みたいで面白い」

「これを見て面白いなんて言ったのシュンだけだよ」

大体はドン引きされると遠い目をするルークの向こう側で、サッと視線を逸らしたのはグレンとニノだ。

ドン引きした者たちの側なのだろう。

「俺も見ていいか?」

ついで食いついたのはレイルであった。

快く手渡すとレイルもまた面白そうにページをめくっていった。

「お!?超上級魔法!こんなのも使えるのか!?」

「え!?見せて見せて!」

自分の本をこんなにも見られる事などなかったので、少し恥ずかしい。

「ほら!シン!凄いよ!」

シュンがシンの名を呼んだ瞬間、ドキリとした。

あの闇の魔法使いに自分の本はどのように映るのだろうと、興味や好奇心がわいた。

「…ふん、興味ない」

「え」

ガタリと乱暴に席を立ち、シンは魔法で自室へと戻った。

「…機嫌悪いね…そんなにチョコが無くなったの残念だったのかな?」

「……」

シンの機嫌が急降下したのはシュンがルークを連れて戻ってきた時からだ。

シュンはすっかりチョコレートが無くなったので拗ねていると思っていたが、他の者達は違う。

いきなり見知らぬ人間を連れてきた事に、苛立っていたのだ。

そんな事を言うとルークが気を使うため、口にする事はないし、シン自身もそんな心の狭い事を言ってシュンに嫌な顔をされたく無かったため口を噤んだ。



(気に入らない!初対面のはずなのにシュンもルークも距離感おかしくないか!?)

自室に戻ったシンは乱暴にベッドへと身を沈め、そして先程の光景を思い出していた。

ルークの本を開いた時、覗き込むようにしてルークに引っ付くシュン。

自分の方がもっと凄い魔法を沢山使えるし、それをシュンだって分かっているはずだ。

何がそんなに面白いのかまるで理解できなかった。

(話をして和解したらみんなオトモダチかよ!それにあの違和感なんなんだ!?)

ルークとシュンが話しているとなんだか線を引かれた気がした。

間に入れない何かを感じたのだ。

それは前にも覚えがあった。

「クーの時と似ている」

シンがアスベルの相手をしていると、自然とクーとシュンが共に居ることが多くなる。

その時二人で話して笑い合って懐かしむ表情を遠目で何度も見た。

それに似ている。

「何があるって言うんだ」

ボフッと顔を枕に突っ込み、楽しそうなシュンとルークの表情を思い出さないようにと眠る事にした。


「僕、シンに嫌われてるみたいだ…」

「ただ拗ねてるだけだよ」

ルークがシュンの研究室を見たいと言った所で、二人は地下へとやって来ていた。

シンの研究室程ではないが中々の散らかり様だ。

先程のシンの態度が気になったのかルークの表情は暗い。

「反抗期だからねー。おばちゃんは見守ることしかできないんだよー」

「反抗期か…それは大変だ…。僕も前世で覚えがある」

精神的にはすっかりいい年になっているため今生での反抗期は存在せず、ただの好青年だったルークだが、前世では無闇に腹を立てていたと言う。

「何もかもが気に入らない年頃なんだよ」

「私、お父さんに加齢臭の事散々言っちゃったよー」

「僕もお母さんが作ったお弁当が可愛すぎて学校に持って行けなくて、捨てたりわざと家に置いてった事が何度もある」

「……」

「……」

突然の沈黙。

思い出される前世の家族が懐かしくて、声が詰まったが、そんな思いをしているのは自分だけじゃないと言う安心感にお互いに視線が重なり、ふっと息を吐いた。

「さて、あまり思い出話してるとしんみりするから…何か気になるものとかある?」

「…そうだな…アレは何?」

シュンの研究室にはシュンが作った魔法道具なんかもあったりする。

それを物珍しげに見ては説明を求める。

「通話ができるインカム…へぇー…」

「距離に制限があるけどね。距離が延びるように今はまだ改良中」

「この魔力の塊みたいな水晶玉達は?」

「この前魔人とやらを封印したやつ。魔力が多くて一つじゃ収まらなかったから分散して封印したの。今はただの魔力の塊だけどねー」

「魔人?もしかしてエターナルローズガーデンも関係してる?」

「え?知ってるの!?」

「え…うん…妹がハマってたゲームで、隠れ攻略対象にシンとアスベルがいるって。魔人はゲーム内だけのキャラクターだったと思うんだけど……シュン?」

両手両膝を床につき、それは悔しそうにだんだんと拳を打ち付けるシュンに、ルークは何かいけない事でも言ってしまっただろうかとオロオロとしだした。

「もっと早くルークと出逢いたかった!!」

つい先日の出来事を話すと、ルークも苦笑いで

「お疲れ様」

と返してくれた。

ルークが居てくれればもっと早く片付いたかもしれないと脱力するシュン。

それほどまでに面倒な仕事だったのだ。

「ゲームは専門外なんだよねー。今後私の知らない設定やスピンオフなんかの話が出てきたら手に負えない」

「…もしかして、今回の戦争が“ビショップ”の過去の話って気付いてない?」

「……え?」

突如出たビショップの名前。

その名はもちろん知っている。

しかし、今回の戦争はレイナードとウォルトが戦死しニノが闇落ちするきっかけの話のはず。

なぜ“ビショップ”の名が出るのか。

「ビショップはアスベルの仲間の一人で、凄腕の魔法使い…。何で絡んでくるの?」

思いもよらない話にシュンは息をのんだ。

ルークは少し思案した後、魔法陣の描かれた本を取り出すとあるページを開いた。

手をかざすとルークが光に包まれる。

「!?」

光が止み現れたのは、シュンもよく知っているキャラクター。

アスベルの仲間の一人、ビショップだった。

「…変身魔法…?」

「うん。ビショップはルークが変身した姿。そして、レイナード団長とウォルト副団長を殺すのは、僕なんだ」

「っ!?」

シュンはずっと疑問だった事がある。

あの強い二人の騎士は、その辺の兵士や民が倒せる相手じゃない。

それを一体誰が倒すと言うのか。

それがビショップなら、納得だ。

ビショップは、漫画ではレイルとぶつかり、レイルを倒す、レイルを凌ぐ魔法使いだからだ。

「あ!じゃぁもしかして、ニノがルーズランス国を出る本当の理由って…」

「…うん、最愛の人を殺した友人を許せなかったんだよ…」

魔法を解いてルークに戻ると、ほっと息を吐く。

「この姿は情報収集の時に使ってたけど、そっか…今後は使う機会は無さそうで良かった」

「!…そうだよ。死ぬはずの人が生きてる。出会うはずのなかった人たちが出会って絆を紡いでる。原作補正が掛かる事があるけど、全部潰す。ここは私たちが生きてる現実だから、原作通りになんかさせないよ!」

「うん」

「ルーク!」

「うん?」

「もう一回ビショップ見せて!」

「…え?」

「ごめん。ビショップのビジュアル好きなんだ」

「……うん、まぁいいけどね」

せっかくの感動が台無しである。


「さぁ!いざルーズランス国へ!」

「本当に王様に突撃する気か?」

「するよ!」

シュンとレイル、昼間のうちに色々探ってきた案内役のエクシャの3人は黒い衣装に身を包み、準備万端だ。

大人数で押しかけて怯えさせないために少人数で向かう事にし、シンも、と考えていたが未だふて腐れて部屋から出てこないため放置した。

「じゃぁみんな留守番お願いね!」

「行ってらっしゃーい」

手を振る面々を見た後、3人は移動魔法で姿を消した。


次に姿を現したのは、王城の屋根。

辺りは真っ暗で、星がよく見える。

「王の寝室はこちらです」

エクシャの案内ですぐに忍び込む事ができた。

部屋は真っ暗で、ベッドには二人の人間の気配がある。

「王と王妃です」

声を潜めるエクシャに一つ頷き、パチンとシュンは遠慮なく指を鳴らした。

室内に結界が張られ、全ての生き物の出入りや全ての音や声を遮断する。

国王と王妃にも自白魔法を掛ける。

「…結構な音だったと思うけど起きないね」

「昼間は結構な激務の様でしたので、お疲れなのかもです」

「そう言われると起こすの申し訳ないね」

と言いつつ、ズカズカとベッドへと歩み寄ると遠慮なく

「もしもーし!ちょっといいですかー?!」

と一国の王を揺らし起こした。

「やり方!」

ついついツッコムレイルを無視し、更にばふばふと高級そうな布団を叩いた。

「!?何者!!?」

ようやく起きた国王は王妃を守る様に背に庇い、王妃も何事かと「誰か!」と声を荒らげるが勿論来るはずの護衛の反応はない。

「夜分遅くに申し訳ありません。お疲れのところすみませんが、ご相談がありまして…」

「怪しい侵入者に貸す耳は無い!!衛兵!!侵入者だ!!」

枕下に隠した剣を取り出し、鞘を抜くとシュンは一先ず距離を取った。

「音は全部遮断してます」

「なに!?」

王妃を守ろうと剣を構える姿は好感が持てる。

人によっては妻を囮にして逃げる輩もいる。

「…我らは黒の一団と申す者です」

「なに!?義賊だ英雄だと呼ばれている者たちだろう!?なぜこの様な事を!」

どんなに声を張り上げても誰もこない。

本当に助けは来ない様だ。

この黒の一団を名乗る者達に斬りかかろうかと、思案しているとずっと話しかけていた少女が膝をついた。

それに倣い、後ろの男女も膝をつく。

「この様な夜分に不躾とは思いますが、どうしてもリュルス・ハイルラント国王陛下並びにマリス・ハイルラント王妃のお耳に入れておかなければならない事があります。決してお二人に危害を加える事は致しません。もしそのつもりならば、既にお二人はもう…」

そこまで言うと、国王、リュルスは剣を下ろした。

「……そこから話せ」

近づく事は許さないと。

「単刀直入に言うとヘルオキア連邦の一部の民が、このルーズランス国へ攻め入ろうとしております」

「なに!?」

三度の戦で漸く和解したと言うのにまたかと、リュルスは頭を抱えて、マリスはリュルスを支える様に寄り添った。

「その原因となる、今ヘルオキア連邦内で起きている事をお話しさせて頂いても?」

「原因があるのか…。良い、話せ」

シュンは水晶を取り出すと昼間のうちに録画しておいたヘルオキア連邦のあの領内の風景を見せた。

連邦内で一部の領地が圧政を受け、それに我慢できずにヘルオキア連邦自体を解体させようと、ルーズランス国へ攻め入ろうと言う作戦があると言うことを話した。

「この様な事が……なぜ黒の一団がこの話を?」

「ギルドに依頼があったのです。助けて欲しいと。町や村には子供と年寄りしかいませんでした。男どころか女も参戦します。この事を陛下はご存じでしたか?」

「いや、初耳だ。私とてこの様な後味の悪い戦など御免被る」

自白魔法が使われているため、リュルスは嘘を吐けない。

ならばこの国王は信用できると判断した。

「…恐れながら、我ら黒の一団から提案があります」

「?」

黒の一団が陰ながらヘルオキア連邦を敗北へと導き、ルーズランス国が彼らを捕らえる。

「ヘルオキア連邦に責任を取らせる際に、捕らえた者達の国を連邦から脱退させる様に進言してもらいたいのです。彼らがこのままヘルオキア連邦に留まっても不幸になるだけ。その後のことは我ら黒の一団が責任を持って彼らのためのうしろだてを探します」

「探すと言っても…一体どうやって…?」

「そこはツテがあります」

問題ないと言い切る少女に目を丸くした。

「その後にヘルオキア連邦で同じような事が起き、被害がまた出ては元も子もありません。この戦争を機に、ルーズランス国が主導権を握れるよう尽力いたします」

「…だから協力せよと…」

「誠に勝手と存じますが、無闇に血が流れるのは…」

「皆まで言うな。我が騎士団の強さは私がよく知っている。相手が平民ならば赤子の手を捻るようなもの…。分かった協力しよう」

「感謝します」

「…黒の一団には我が元騎士もいるのだ。彼らに故郷の王が浅慮だとは思われたくはないからな」

「ご存じでしたか」

「当たり前だ。世間に吹聴するようなことはせんが、私は英雄と名高い黒の一団に我が国民が居る事を誇りに思っている」

「…恐れ入ります。国王陛下からのそのお言葉、きっと彼らも喜びます」

思いの外話がスムーズに進み、お互いにこれからの事を近々“正式”に面会し話し合う事となった。

夜分に押し掛けた詫びにと、シュンは疲れた表情のリュルスとマリスに安眠魔法と回復魔法を掛けた。

すると直ぐに目蓋が重たくなってきたようで、3人は結界や遮音の魔法を解除し礼をし消え去ったのだった。





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