17.5シンのご褒美のお話
短いです
シンは衝撃を受けた。
水晶録画を作り上げたご褒美として作って貰ったチョコレートとプリン。
卵が貴重で中々作ってもらえないプリンが二種類。
カラメルのかかった生成色のものと、黒いもの。
初めはなんだこの黒いものは?と思っていたが、スプーンで一口食べたその瞬間、身体中に衝撃が走った。
初めてプリンを食べた日以来の衝撃であった。
「…な、なんだこれは…食い物か?いや食い物だ……間違いなく…チョコレート!!」
チョコレート味のプリンであった。
あまりに大袈裟な反応にその場に居た一同はドン引きである。
シンだけでなくマール、エクシャ、シュンも同じものを食しており、味わいながらも楽しく会話を挟みながらのティータイムだ。
一口一口味わうようにゆっくりと口に運ぶシンだが、それでも終わりはやってくる。
最後の一口をスプーンで掬い、上げては下ろし、口元へ持っていっては遠ざけをかれこれ10分は繰り返している。
「…シン、これも食べる?」
先にチョコレートとノーマルプリンを食べ終え、残っていたチョコレートプリンをシュンは、シンの前に差し出した。
「!!!!!!!?」
「そんなに驚くか」
シンの心情を表すならば雷鳴轟く、だろう。
これをくれると言うのか!?とプルプル震える手を伸ばすが直ぐに引っ込めた。
どうしたと言うのだ?とシュンが首を傾げると
「妹の分を貰うのは兄として恥ずべき行為だっ!!」
「誰もそんな事気にして無いよ」
あまりのうざったさに真顔で吐き捨てたのは勘弁して欲しい。
「あーそう。残念だなぁーシンの口には合わなかったのかー残念だなぁー」
「!!?」
気をとりなおし、下手な芝居がかった棒読み口調でチョコレートプリンを引っ込めようとしたがピクリとも動かない。
その原因を探れば、シンが皿を摘み、自分の方へと引いていた。
「有り難く貰う」
「初めからそう言えば良いのに」
シュンが皿から手を離すと、チョコレートプリンはスススッとシンの方へと引き寄せられていった。
何度も言うが、本当にコレが将来、世界を恐怖に陥れる闇の魔法使いになるのだろうか?
「…美味い…」
自分の分の最後の一口を漸く飲み込み、いそいそとシュンの分に手を付けだした14歳の少年は、年齢よりも随分と幼く見えた…。




