前王の一人息子
女神様と国王から、説明を受けたのは翌日の馬車の中だった。
あまりの気持ち悪さに通訳中に気を失い、宿で目を覚ました失態に泣きそうになった。
神官長失格だよ。腕輪がある限り、変更ないけど。
前王とはとこは恋仲だったが、王妃の座を狙った王太后一派により、はとこは南の領主へ政略結婚という形で引き離された。南の地に魔物が出た時、前王が命をかけたのも当然。問題はその時に無理やりいたしてしまったこと。領主は寡婦になっていたからいいとして、前王は不倫だよね。
不倫って言えば、王太后なんだけど、前王との間に1人の子もできなかったと。現国王の兄弟全員宰相との子供。女神様との面会で顔色悪くなるはずだよ。慌てて逃げ出したってわけ。
それでも、国王と宰相は仕事を投げ出す訳にも行かなかったという話。宰相の怪我は本当は自殺未遂だったらしい。死にきれず、これは責任を全うしろってことだと一念発起して立て直しに奔走してる状態。歩けないけど。
というわけで、王族が国王ではなかったから加護が無い状態が続いていたんだ。
で、だ。問題はこれから。
はとこである領主は亡くなった前王の一回きりの関係で妊娠しちゃった。夫が亡くなって半年以上、計算が合わない。前王との関係がバレるのも時間の問題。女神様の加護があるから生まれてくる子供は殺されないだろうと思っても王太后が何をするからわからない。
子供を王都近くで安全に守るところとして神殿に目をつけた。身重で旅をして生まれてすぐに前神官長に預けたってわけ。
…………つまり…俺?
俺が前王の一人息子?
マジでぇっ!
王族であり、前王の息子って昨日思った国王に相応しい条件。それに合うのが俺?
はぁ?
『我が愛し子はなかなか可愛いだろ?』
『はい。もっと固い方だと思ってましたが、魅力的ですね。慕われる王になりそうで何よりです』
なんで馴染んでんだよ。
ってか、俺はいつまでこのこっ恥ずかしい通訳を続けなきゃいけないんだよ。
もしかして、王都に着くまでずっと?
ムリ!マジムリ!
俺の繊細な心はもう折れそうだよ!




