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馬車の旅

実は俺は馬車の旅は初めてだ。前神官長に拾われてからずーっと神殿育ち。そのまま神官長になったから旅の機会は無かった。

神官長は女神様のそばを長期間離れることはない。女神様が眠っていようと起きていようといつでも駆けつけられるところに居る。

人生最初の旅が女神様とドラゴン騎乗で……思い出したくない。と言うかほとんど記憶に無い。


前王は馬を乗り継いで3日3晩で駆け抜けたらしい。護衛が1人しかついていけなかったとのことだ。


いくら何でも無謀すぎるだろ。で、結局、魔物にやられちゃ世話ないわ。


今回の旅は女神様と国王が居るので、日程的には比較的ゆったりとしたものらしい。明るくなってから出発して、途中で身体を伸ばしたり軽く食事を取ったりしても、夕方早くには宿に着いてしまう。

食料の不安が減って治安が安定し始めたとはいえ、暗い時間の移動にはかなりの危険が伴うとのこと。


女神様は馬車でもゴロゴロしている。


『乗り慣れない馬車に座りっ放しで疲れたろう』


ニヤニヤしながら女神様がこちらを見た。女神様の世話役は別の馬車なので、この箱の中は女神様と俺だけである。


やべえ。俺つらそうな顔でもしてたかな。女神様が平気そうなのに俺が弱音を吐いたら益々やべえよな。


あちこちが痛くなっていたが、平気な振りをした。


『いつもと違って眉間にシワが寄りっぱなしなのに無理するな。私も乗り心地がいい方が好きだぞ』


次の瞬間、それまでガタガタと言っていた揺れが収まった。


えっ何?止まった?

止まる時っていつも超揺れたよな?


窓の外を見ると景色は先ほどまでと変わらず俺の前方、つまりは馬車の後方へと流れているので走っているようだ。


この馬車だけ?

国王とかより楽な旅とかマジヤバくない?


他の馬車も同様に出来ないかと聞いたところ、女神様の返事は自分が乗ってない馬車は知らんとにべもない。


マジ?マジ?国王より好待遇って不敬罪とか問われなくない?国王と馬車替わった方がいいの?ってか、国王の馬車に乗るのもやべえよな。


『この馬車に乗っていいのは神官長であるお前だけだぞ』


うわっ、追い討ちっ!

女神様マジ怖っ!

もしかして考えてること読まれてる?

ええっ今、女神様怖って思っちゃったよ!

マジヤバすぎ。俺の人生終わりかよ。



ところでそもそも、この国って女神様が一番だけど、女神様に直接仕える神官長と国主である国王と実はどっちが偉いの?

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