12/21
よだかの許(もと)へ
いつか 星になりたいと願われたから
私は 一握の灰になった君を 瓶に詰め
朝一番のロケットで
大空へ飛び立った
夜明け前の 濃密な大気は
憐れみを込めて 私を送り出した
嘆きを轟に変えて
私は空を 駆け上がる
空が
薄闇から青へ 青からまた闇へと変わる
エンジンの轟音と キシキシという 機体の振動の中
私は 温度を返さない君を 握りしめる
君が好きだったよだかは
キシキシと鳴きながら
闇を裂く様に
宙を目指した
今も燃えているという
よだかの燐光
その近くに
君も在れたら 良いな
地球の重力を振り切って
君に思い出を語りながら 9ヶ月の旅をして
火星の重力に 触れるまで翔ぼう
そこならば 星に成れたと 胸を張って言えるだろう?
さよならを呟いて 君を納めた 小さな衛星を 宙へ手放す
発信機に 灯を入れたから
私が帰る前には
君の小さな歌声が 地球に 届いているだろう
遠ざかっていく 君の光に背を向けて
私は 地球に帰る
私は まだ 人だから
私は 星には なれないから
君は 星としての軌道を
歩み始めたのだから
私も 私としての軌道を
歩み続けよう
いつか再び 軌道が交わる その日まで




