美味しかったの一言が、疲れた心にじわじわ沁みる。
見守り旗振りきつねを想像してついついニヤけてしまう。
小さいながらもちょこまか動いて可愛いだろうなぁ。
「な〜にをニヤニヤしておる」
「おかおユルユル〜」
2匹からすかさずツッコまれたので、ゴホンと咳払いをひとつして顔の緩みを正す。
「見守り、子守りっていうけど一体誰を見守ってるの
?」
問いかけると、まさか?伝わってないの?と驚きを隠せないという風に2匹が顔を見合わせ、まっすぐにこちらを見て言った。
「お主に決まっておるじゃろう、他に誰がおるのじゃ」
「おぬし〜」
と決まり切っているのにわざわざ聞いてくるなよ野暮な奴、とでも言わんばかりの呆れた声が返ってきた。
「なんで?なんで私?一応成人してるし、お仕事だってしてるし、一人暮らしもしてるよ。。」
ちゃんとやってるよと言おうとしたけど、その言葉が出なかった。
自分で自分を必死に正当化してみるけど、自信が無いからか段々声が小さくなって俯いてしまう。
「いいか、お主は赤ん坊じゃ。人間に生まれたのは一回目。だから色々と不器用なのじゃ。」
「あちゃちゃん」
生まれたのが一回目?人間に?
このきつね達はどうしてそんな事を知っているのだろう。
もしかして霊能力きつねなのだろうか。
でも色々と不器用かぁ。
図星すぎて胸が痛い、心当たりしかないような。。
「じゃが、さっき馳走になっったお揚げさんは絶品であった。料理の腕は一級らしい。」
「またたべたい〜」
きつね達の言葉にパッと顔を上げると、真っ直ぐにこちらを見つめるキラキラとした眼差し。
「また食べたいの?あれはパパッと作った適当なやつだよ。」
「とても旨かった。他にも色々食うてみたい。」
「うまかった〜」
なんだか分からないけど、どうやらさっきの料理が気に入ったらしい。
色々と聞きたいことはあるのだけれど、今日はどっと疲れてしまった。
起こるはずの無いことばかり起きてびっくり疲れだよ。
続きは明日聞いてみる事にしよう。
話を聞いた感じ、あまり悪い奴らでは無さそうだしね。
「分かった。また今度何か作ってあげるね。」
そう言うと目をキラキラ輝かせ尻尾をパタパタ振って喜ぶ2匹。
分からない事は沢山あるけど、作った料理を美味しいと言って貰ったらちょっぴり嬉しい自分がいる。
お揚げじゃこネギチーズ焼きをもぐもぐ食べながら、今日も美味しく出来たななどと1人満足するのであった。
大人になったら、自動的にしっかりしてきて字も綺麗になっていくと子供の時は思っていました。
そんなはずもなく、いまだに大人の字は書けません汗
ペン習字しよかな。。




