協力者
小さな村に食堂やレストランの類は当然無い。そもそも店の類が殆ど無いだろうな。村人同士の物資のやり取りは物々交換が主流だろう。
そのくらい規模の小さい村ってワケだ。通貨は外から来る商人とやり取りするための物であって、積極的に自分達でやり取りするものじゃない。
田舎ってのはそういうもんだ。人と人の距離が近くて全員で協力して生きている。
「この雰囲気も久々ね」
「だな」
そうなると外から来た俺達は外で飯を作る他ない。家が周りにある場所で飯を作る光景はなんとも妙に映るかも知れないが、それはある程度発展した街や都市で生まれ育ったからこその感性だ。
こういうところだと外で火を焚いて、食事を作るなんてこともザラだ。さっきも言った通り、食堂もレストランも無ければ、なんなら家の中に台所や竃の類が無かったりもするからな。
共同の炊事場で食事を作って、村人全員で食べているようなところもあったな。アレはこの村より更に規模の小さな村だったが。
「なんか、変な感じですね」
「これからちょくちょくとあると思うから慣れておけ。必然的に人目を避けることが多くなるだろうからな」
こういう環境で飯を食うのが初めてのカイがそわそわとしているが、今後は何度もこういう機会が増えて来るだろうからさっさと慣れた方が良い。
というよりは嫌でも慣れることになるとは思う。
この村もそうだが、別に余所者を歓迎する理由が無いのなら、わざわざ村の人間ってのは干渉もして来なければ歓迎もすることも無いからな。
なんなら白い目で見て来る場合も多い。そういう時に辺りをきょろきょろしていると因縁を付けられる理由になることもあるから、素知らぬふりをしておくのが吉なのさ。
「そんなものなんですか?」
「そんなものさ。小さなコミュニティで生きている人からすれば、俺達はただの不審者。お互い上手く距離を取っておいた方が面倒が起きない」
「処世術ってやつよ。人って思っているよりドライだから」
そうなんですか、とカイが何だか残念そうな表情をしている。カイからすれば、仲良くしておくに越したことはないんじゃないかって思っているんだろう。
それ自体は間違ってない。仲良くできるのなら、仲良くしてた方が良いに決まっているし、その方が色々良いことが起こりそうな気配はあるのは当たり前だ。
ただ、人に近付くってのはリスクもある。相手が敵意を持っているかどうかは分からない。これがある程度大きな街なら、商売の中で愛想良くしていた方が良いことの方が多いが、小さな村では外敵の侵入は全滅に直結する。
だからって最初から村側も敵意剥き出しだと、逆に攻撃される可能性がある。
そうならないための不干渉だ。時にはお互い知らんぷりを決め込んでいた方が良いことってのもある。
世知辛い処世術ではあるがな。
まあ、俺達は勝手にこの村を集合場所に選んで、こうして勝手に集合してるわけだし、そういう意味では都合よく使っているのは俺らの方だ。
それなのに歓迎しろって言うのはそれこそ自分勝手な言い分だろう。
「そんなことより。ハイ、出来たよ」
「……わぁっ!!」
なんて話はほどほどに、リリアが作ってくれた食事が完成したらしい。カイに真っ先に手渡された器に分けられたのはシチューだな。探索者定番の料理だが、安定して美味いし簡単に出来るからパパっと作るのにはうってつけの料理だ。
「熱いから気を付けて食べなね」
「はーい」
受け取ったシチューをスプーンですくってはふはふと言いながら口に運ぶカイを見て、いると俺にもシチューが入った器がずいっと差し出される。
早よ受け取れと無言の圧を感じるそれを受け取って、俺も食い始める。
久しぶりの味だ。俺のいたパーティーの食事担当はリリアだったから、この味がやたらと懐かしい。
これを食いながら、メンバーで色々話をしていたなと感傷に浸ってしまいそうになるくらいには久しぶりの味で、馴染み深い味だった。
「黄昏てないでさっさと食いなさいよ」
「……わかってる」
それを一瞥もしないで見透かして来るリリアに苦笑いしながら、俺はシチューをかき込むように食べるのだった。
小さな村に食堂やレストランの類は当然無い。そもそも店の類が殆ど無いだろうな。村人同士の物資のやり取りは物々交換が主流だろう。
そのくらい規模の小さい村ってワケだ。通貨は外から来る商人とやり取りするための物であって、積極的に自分達でやり取りするものじゃない。
田舎ってのはそういうもんだ。人と人の距離が近くて全員で協力して生きている。
「この雰囲気も久々ね」
「だな」
そうなると外から来た俺達は外で飯を作る他ない。家が周りにある場所で飯を作る光景はなんとも妙に映るかも知れないが、それはある程度発展した街や都市で生まれ育ったからこその感性だ。
こういうところだと外で火を焚いて、食事を作るなんてこともザラだ。さっきも言った通り、食堂もレストランも無ければ、なんなら家の中に台所や竃の類が無かったりもするからな。
共同の炊事場で食事を作って、村人全員で食べているようなところもあったな。アレはこの村より更に規模の小さな村だったが。
「なんか、変な感じですね」
「これからちょくちょくとあると思うから慣れておけ。必然的に人目を避けることが多くなるだろうからな」
こういう環境で飯を食うのが初めてのカイがそわそわとしているが、今後は何度もこういう機会が増えて来るだろうからさっさと慣れた方が良い。
というよりは嫌でも慣れることになるとは思う。
この村もそうだが、別に余所者を歓迎する理由が無いのなら、わざわざ村の人間ってのは干渉もして来なければ歓迎もすることも無いからな。
なんなら白い目で見て来る場合も多い。そういう時に辺りをきょろきょろしていると因縁を付けられる理由になることもあるから、素知らぬふりをしておくのが吉なのさ。
「そんなものなんですか?」
「そんなものさ。小さなコミュニティで生きている人からすれば、俺達はただの不審者。お互い上手く距離を取っておいた方が面倒が起きない」
「処世術ってやつよ。人って思っているよりドライだから」
そうなんですか、とカイが何だか残念そうな表情をしている。カイからすれば、仲良くしておくに越したことはないんじゃないかって思っているんだろう。
それ自体は間違ってない。仲良くできるのなら、仲良くしてた方が良いに決まっているし、その方が色々良いことが起こりそうな気配はあるのは当たり前だ。
ただ、人に近付くってのはリスクもある。相手が敵意を持っているかどうかは分からない。これがある程度大きな街なら、商売の中で愛想良くしていた方が良いことの方が多いが、小さな村では外敵の侵入は全滅に直結する。
だからって最初から村側も敵意剥き出しだと、逆に攻撃される可能性がある。
そうならないための不干渉だ。時にはお互い知らんぷりを決め込んでいた方が良いことってのもある。
世知辛い処世術ではあるがな。
まあ、俺達は勝手にこの村を集合場所に選んで、こうして勝手に集合してるわけだし、そういう意味では都合よく使っているのは俺らの方だ。
それなのに歓迎しろって言うのはそれこそ自分勝手な言い分だろう。
「そんなことより。ハイ、出来たよ」
「……わぁっ!!」
なんて話はほどほどに、リリアが作ってくれた食事が完成したらしい。カイに真っ先に手渡された器に分けられたのはシチューだな。探索者定番の料理だが、安定して美味いし簡単に出来るからパパっと作るのにはうってつけの料理だ。
「熱いから気を付けて食べなね」
「はーい」
受け取ったシチューをスプーンですくってはふはふと言いながら口に運ぶカイを見て、いると俺にもシチューが入った器がずいっと差し出される。
早よ受け取れと無言の圧を感じるそれを受け取って、俺も食い始める。
久しぶりの味だ。俺のいたパーティーの食事担当はリリアだったから、この味がやたらと懐かしい。
これを食いながら、メンバーで色々話をしていたなと感傷に浸ってしまいそうになるくらいには久しぶりの味で、馴染み深い味だった。
「黄昏てないでさっさと食いなさいよ」
「……わかってる」
それを一瞥もしないで見透かして来るリリアに苦笑いしながら、俺はシチューをかき込むように食べるのだった。




