協力者
リリア・フォルテナ。俺が以前在籍していた探索者パーティーの一員で、学生時代からの友人の1人だ。
おい、誰だ。友達いるんだとか言ったヤツ。
「友達、いたんですね」
「……」
1人でセルフツッコミをしていたら、まさかカイに刺されるとは思ってなかった。思わず項垂れる俺を見て、首を傾げるカイとゲラゲラと笑うリリア。
コイツ、後で覚えてろよ……。
「あはははは、君はなんでこの人に友達いないって思ったの?」
「え、えーっと。何と言うか、1人が好きなんだろうなぁって思うところがあったので……」
「だってさ。相変わらずぼっち癖は抜けないね、セイル?」
「そろそろ拳が出ますよ?」
拳を構える俺を見て、更にゲラゲラと笑うリリアを小突いてから、横にいた村長に頭を下げて、案内は大丈夫だと伝える。
ついでにお土産も渡しておく。こういう時に手土産を欠かさず持ってくるのが探索者として上手く行くコツの1つだ。
滞在先で良い顔をしておくってのは結構大事だからな。
手土産を渡した村長を見送り、俺はもう一度リリアに向き合う。文句の1つでも言ってやろうと思ったが、楽しそうに笑っているのを見ているとそんな気分も無くなって来た。
「久しぶりだな。ちょうど1年くらいか?」
「だね。セイルとレイジの大喧嘩からちょうど1年くらい。とりあえず、元気そうで良かった」
「まぁな」
村長もいなくなったので取り繕う必要もなくなったから素で対応する。パーティーが事実上の解散をしてからまだ1年か、もう1年か。
もうずっと前のような気もするし、ついこの間のことだった気もする。
何とも言えない、なんつーかモヤモヤとも違う。言語化の難しい感情が胸の中で渦巻いているのを感じながら口をもごもごとさせていると、リリアがバシッと背中を叩いて来る。
「全く、セイルだけだからね。ぜんっぜん連絡も寄こさなかったの。どこにいるのかもわからなくてどうしようかって思ってたら今回の話」
「悪かったよ。だけどまぁ、話を聞いたなら分かるだろ?」
「それはわかるけど、私からの連絡を全無視してたのは許さないから。しばらくご飯代はセイル持ちだからね」
「……それで許してくれるなら、安いもんだな」
マメというか真面目な性格のリリアはパーティーがバラバラになった後もギルドを通じて俺に連絡をしようとしていたのは知っていた。
それを俺はわざと無視していた。理由は単純。俺がパーティー崩壊の原因の1つだったのに、今更どうやって元メンバーに顔向けすれば良いのか分からなかったからだ。
リリアはそんなことを気にするタマじゃないことは分かっているが、それでもな。
わざと無視しているのはリリアも分かっていたハズだ。俺は連絡は返すタイプだしな。他2人は忘れていたり、そもそも返事する気が無かったりするから、その中で唯一まともに返信をするハズの俺が返事をしないのはつまりそういうことってワケにもなるし。
そんな奴をしばらくの飯代で許してくれるなら、安いもんだよホント。
「カイ。紹介する。コイツはリリア・フォルテナ。俺の古くからの友人で、腕の立つ魔法使いでもある」
「魔法使いって言っても強化術師だけどね。ま、よろしく、カイ君。君の話は上の人から聞いているよ」
「よ、よろしくお願いします。カイと言います」
懐かしむのもほどほどにカイにもリリアを紹介すると、ビビりながらも手を差し出して悪手をする。
リリアもそれを掴み、ぶんぶんと手を振ってからニコニコと笑っていた。
振り回されているカイは目を白黒とさせていたけどな。
「とりあえず、ご飯にしよっか」
同じ釜の飯を食えばなんとやら。距離を縮めるのに飯を一緒に食うのは古今東西、共通の手段だ。
ちょうど昼時だしな。




