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便利屋セイルは女神にならない ~使うほど身体が侵食される女神変身スキルで、訳あり少年を守る話~  作者: 伊崎詩音
逃亡劇の始まり

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逃亡劇の始まり


その後もこのおっちゃんには色々な話を聞いた。どこに行っただの、どんな商売をしただの。面倒ごとが起こった時の対処法なんかも聞いた。

結論としてはとにかく人脈が大事って話だったわけだが、自慢話と身になる話が半々で意外と勉強になったのはなんだか悔しい気分にもなった。


もちろん、その間にも酒が進むおっちゃんだが、べろんべろんに酔っているように見えて、中々潰れることもない。

この酒豪っぷりも大事なんだろうな、なんて思っていると。


「そろそろお開きにしますか。坊ちゃんも眠そうだ」


「むにゃむにゃ……」


カイの方がお眠になっちまったらしい。しまった。カイの方に目をかけてなかった。何してんだか。一応、保護者なんだからシャキッとしねぇと。ただでさえ周りに敵が多いんだ。


とりあえずお眠のカイを抱えてフードを被せて顔を隠す。すると明かりと音が少し遮られて、更に眠り易くなったんだろう。

俺の肩に頭を預けて、すやすやと寝息を立て始めた。


「長居し過ぎてしまいましたな」


「ご迷惑ばかりで……」


「良いんですよ。子供は寝るのも仕事ですからな。ではでは行きましょう。会計は済ませてありますからな」


起こさないように立ち上がって財布を、と思ったら会計をされてると聞いてギョッとする。いやいや、飯までご馳走になるのはやり過ぎだろ、と思いつつもおっちゃんはウィンクをして満足げにしている。


俺もカイを抱えている手前、大きなリアクションを取る訳にもいかず、ぺこぺこと頭を下げてお礼を伝えるくらいしか出来なかった。


「さて、こちらですぞ」


店を出ると外はすっかり夜だ。思っていた以上に長居していたらしい。そりゃカイもお眠になるってもんだ。


先に外に出たおっちゃんは俺達を先導して歩き出す。てっきりここで別れるもんだと思っていた俺は驚く。

あんま良い流れじゃない予感が若干する。そういうおっちゃんじゃないと思っていたんだが、これは逃げておくべきか……?


「ど、どちらへ……?」


「ははは、何処へ行くかなど決まっておりましょう。――ギルドへ、そうでしょう? 『戦姫』セイル殿」


「……へ?」


一応、確認を取るとまさかの返事に変な声が出る。なんでこのおっちゃん、俺のこの姿の二つ名を知ってんだ……?!


ビビる俺に対しておっちゃんは楽しそうに笑みを浮かべるだけ。そのまま歩き出したおっちゃんに俺はその後ろを付いて行くしかなかった。









「少し、迂闊なんじゃないですか?」


そして、ギルドに着いた俺はそこで待ち構えていたミリアさんに正座させられていた。

理由は簡単。俺が安易に女の部分を使ったことについてだ。


「いざとなったらどうとでもなるし……」


「そうだとしても、避けるべきです。何がどうなるか分からないんですよ?」


「いや、でも」


「いやも、でももありませんよ。女性の身体で迂闊なことをするなら流石に見逃せません。アナタが思っているよりずっとずっと危険な行為ですよ」


こんこんと怒られて反論しようものなら拳骨の1つでも飛んできそうな気配だ。今まで、ミリアさんには散々説教されて来たが、一番キレてる気がする。


『ディバインシフター』を迂闊に使った時も相当怒っていると思っていたんだが、まさかその上があるとは。


「わははは、ミリア嬢。こってり絞っておけ。ワシに薬盛られてたら今頃良いようにされてる頃だぞ」


「えぇ、そうしておきます。課長」


そして、おっちゃんの正体はミリアさんの上司。ギルド本部の監査記録課・特殊スキル観察班。その課長、ガルド・ベイレンがおっちゃんの正体だと聞かされた時は流石に驚いた。



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ですよね~(笑)
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