第十話 新たな闇
#第十話 新たな闇
新たに表れた闇の地面に落ちた首の目が見開かれる。
兵士がハンマーで闇の頭を叩き砕く。
だが何度か聞いた金属音は聞こえない。
闇の反撃が始まる。
兵士の足は黒い闇に取り憑かれ、息を吐くよりも早く全身を覆う。
そして五人はほんの数秒で無力化された。
地面に転がった闇の頭から身体が湧き出るように盛り上がり全身を現した。
『相変わらず聖女以外は弱いな』
こいつがラスボスか。
どっちにしても時間稼ぎするか。
「お前は何者だ」
これで十秒くらい稼げるだろう。
『我が記憶によれば、騎士は闘いの前に名乗り合う』
なるほど、失礼だった。
「俺はナオトだ。お前を斃すためにここへ来た」
わけではないと思う。
『我が名はジル。進化の果てに得た名だ』
ナイフでどこまでいけるのかはこいつ次第だ。
ゆっくりとナイフを構える。
構えたつもりだったが構えるよりも先に重たい蹴りが来た。
そのままふっ飛ばされる。
かろうじてスローモーションを発動し、不様な着地だけは避けられた。
肋骨が何本か折れたはずだ。
いや、ずるくない?
騎士って蹴りから入るもんなのか?
肋骨の痛みを無視して口の端に笑みを浮かべ立ち上がり再び構える。
こういう時は余裕のあるふりをするに限る。
つまりハッタリだ。




