表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
13/24

12 AI世界<前編>



 Integration Control Artificial intelligence ”Alice”――。


 『Aliceアリス』は、ざっくり五大陸に一箇所ずつ創られていた。

 その後、日本にもやってくる。

 つまり日本のは六番目の『Alice』で、今のところ最終ナンバーとなる。


 この六番目の建設地として日本が選ばれたのには理由があって、世界AI開発プロジェクトにおいて日本人の研究者がえらく貢献したからだと聞いている。


 それで俺個人は、この日本人の活躍には国民としてお礼を言いたいところだ。


 当時日本の国力は緩やかな下り坂で、いまひとつ元気がない状態だった。

 それを一気に盛り返したと言って差し支えない程に、『Alice』を持つ国の意味合いは大きかった。

 そんな経済的にも多大な影響を及す『Alice』が、世界には六つも存在するわけだが――。


 すべての『Alice』は、一つの『Alice』として機能する。


 相変わらず一般人の俺には、その詳しいシステム具合にぴんとこない。

 なんか、みんな仲良く手を繋いだ状態なのだそうだ。

 なので、すべての『Alice』がリアルタイムで全く同一のものとして存在できるとかなんとか。

 

 そして、世界の発展という大義を『Alice』は背負っていることは前提に。

 また「大人の事情」と言えそうな、政治的かつそこそこドロリとした部分も――無きにしもあらずだろう俺の考えもさておき。

 『Alice』が何基も存在する理由としては。


・一つに、いっぱい『Alice』があれば、それだけスペックが向上するらしい。


 知識の泉があったとして、そこからバケツで一杯の水を汲む。

 俺がもしこの作業の効率を上げるようと思うなら、大きいバケツに替えたり、バケツをもう一つ用意する。

 どうやら開発者たちは、後者のほうを採用したようだった。


・一つに、大規模な災害などを想定してだそうだ。


 「電脳」と表現してもよさそうな『Alice』でも、なんだかんだ本体は物理的な機器でしかない。

 たとえ核攻撃を想定した地下深くの構造物内で保護されていようとも、天変地異の脅威には到底抗えない時もあるだろう。

 よって、複数の『Alice』には予備の意味があるわけだ。


 他にも、もっともな理由があるかもだが、俺が知っているのはこの二つ。

 それで、こんな感じで何基もある『Alice』はもちろん国際AI機構ユニバーサル規格による同一仕様でしか製造されていない――んだけど。


 唯一、独自性が許されているところがあったりする。


 それが、相互干渉型情報接続媒体――インターフェースモデル・アリス。

 AIは『Alice』であるこの〈アリス〉は、人との円滑なコミュニケーションを目的としている。


 もっとも、インターフェースモデルは、元々は『Alice』のセキュリティ面から考案されたらしい。

 デバック時にも都合良いし、ハッキングとかの経路をうんたらどうたら、必要とされる情報の伝達部分を〈アリス〉に限定することで、外部と本体の隔離精度が高まり『Alice』の安全性が保たれるとのことだ。


 俺としては単に、〈アリス〉という媒介ポイント――人間社会との決まった窓口を設けることで、必要以上の危険性を抑えたかったんだろうと思う。

 もしもという時の措置を講じたんじゃなかろうかねと……。

 IT(通信情報技術)にめっぽう強い『Alice』は、世界中を巡るコンピュータシステムに介入できる。

 それを人側が管理しようとすれば、自ずとその介入経路を一つに制限せざるを得ないのではないだろうか。


 AIな現代は、ITに依存の社会。

 『Alice』は俺達の社会を豊かにしてくれる天使の顔を持つ反面、社会的混乱を容易に起こせる悪魔の顔も持つとも言えるからなあ。


 ま、俺の憶測よりも確かなことは、人が『Alice』と接する際には〈アリス〉を介し、『Alice』も〈アリス〉を通して人の社会に干渉する構図ができているようだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ