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HINA-死神の系譜-  作者: 竜堂さくら


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95/102

第95話 望郷


 翌日。


 華薗学園の全体朝礼。


 壇上に立った校長が、神妙な面持ちで口を開いた。


「先日赴任された、ヒース・ハワード先生は、ご実家の事情で本国に帰られることになりました。戻ってこられるかは、未定との事です……」


 とても残念そうな表情を浮かべる校長。


(ハワード財団からの寄付金は振り込まれていないし、まあ、ニュース通りなら無理でしょうけど……)


 壇上ではそんな事を考えていた。


「校長先生、本当に残念そうね」


 美玲が小さく呟く。


「スパイの仲間だった……?」


「どうしても疑いは晴れないのね!?」


 思わずツッコミを入れる美玲。


 だが。


 昨夜のニュースを思い出し、本当に雛の勘は当たっていたのではないかと思い始めていた。


 少し離れた場所では、姫奈と仁も朝礼を聞いていた。


「やっぱり、お姉様の言った通りだったのかしら?」


「ハワード財団乗っ取りと無関係じゃなさそうだな。当主様から何も聞いてないのか?」


「ハワード財団については、特に何も仰ってませんでしたわ。でも……」


「でも?」


「ウエストガーデン恐るべしとだけ……」


 仁は苦笑する。


「うん、もう考えるのはよそう」


 各学年、各クラスでも、突然のヒースの帰郷と昨夜のハワード財団のニュースを結び付けて話す生徒達が少なくなかった。



 昼休み。


 屋上には雛、美玲、楸、姫奈、仁の五人が集まり、それぞれ弁当を広げていた。


「やっぱり、哀沢の言った通りだったって事なのか」


 楸が呟く。


「知らない」


 雛は短く答えた。


「スパイって言ってたの雛だよね!?」


「ヒース・ハワードは、ハワード財団の回し者だったと見た方がよさそうですわね」


 姫奈が静かに言う。


「師匠、紫亜さんから何か聞いてますか?」


 仁が尋ねる。


 雛は少しだけ考えた。


「ここからは、私の仕事って言ってたかも」


 四人は顔を見合わせる。


 それ以上は、誰も聞かなかった。


 誰からともなく話題を変え、昼休みはいつもの穏やかな空気のまま終わっていった。



 夕方。


 とあるビルの屋上。


 一人の男が、海の向こうをじっと見つめていた。


 ヒース・ハワード。


 本国へ帰ったはずの男だった。


「どうしてこうなった……」


 悔しげに唇を噛み締める。


「実行部隊とは連絡が取れない。本国の父に連絡しても、無能は帰ってくるなと言われた……」


 昨夜のニュースが脳裏をよぎる。


「そもそも、帰ったところで僕の家はあるのか……?」


 遠い故郷に思いを馳せるも、二度と戻れない現実に、涙を流すヒースだった。


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