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HINA-死神の系譜-  作者: 竜堂さくら


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45/102

第45話 新学期


 夏休みが終わった。


 久しぶりの教室。


 クラスの雰囲気は少し変わっていた。


 派手なメイクをした女子。


 茶髪になった男子。


 あちこちで夏休みの思い出話に花が咲いている。



 雛と美玲も話していた。


「なんとか宿題終わったよー!」


 美玲が大きく伸びをする。


「よかった」


「雛のおかげだけどね!」


「ううん、美玲頑張った」


 美玲は照れ笑いを浮かべた。


「雛は何してたの?」


「皆伝もらいに行ってきた」


「マジ?」


 雛は持ってきた筒を見せる。


「免許皆伝証」


「ほんとにもらえたんだ!?」


「夏休みの目標達成」


「祥子ちゃん、よくくれたねー」


「道場主の、祥子ちゃんのお父さんからもらった」


 美玲は嫌な予感がした。


「もしかして……」


「うん、お父さんと闘ったらもらえた」


 道場の光景を想像する。


 思わず額を押さえた。


「これからは、流派を聞かれたら引導流って言える」


「それだけのために!?」


「お父さんとおじさん流って言ったら、みんな不思議そうにするし」


「祥子ちゃんに同情するわ……」



 教室の扉が開く。


 担任の黒崎が入ってきた。


「ホームルームやるぞー」


 教室を見渡す。


「夏休み明けで浮かれてるお前らの、目が覚めることを言ってやる」


「明後日、実力テストだ!」


「えーーー!?」


 教室中から悲鳴が上がる。


 黒崎は笑った。


「今回の実力テストは全国順位も出るから、しっかり勉強しとくようにな!」


「科目は国数英だぞ」


 雛が呟く。


「勉強で戦うのか」


 美玲は苦笑した。


「なんかズレてる気もするけど、認識は間違ってないわね」



 少し離れた席。


 女子数人のグループが雛と美玲を見つめていた。



 放課後。


 帰る準備をする雛と美玲の前へ、そのグループがやって来た。


 先頭の女子が声を掛ける。


「哀沢さん」


 雛は首を傾げた。


「……誰?」


 美玲が小声で教える。


「同じクラスの島原さんよ」


「そっか」


 島原は少しだけ眉をひそめた。


「哀沢さん、お願いがあるんだけど」


「何?」


「私達にも勉強教えてくれない?」


 美玲が笑う。


「雛、頭良いしね!」


 島原も頷いた。


「そう。神崎さんみたいな子でも学力上がったんだから、私達ならもっと上がると思ってね」


 美玲は乾いた笑いを浮かべた。


「あはは……」


 雛は島原を見た。


「やだ」


 島原達が固まる。


「え?」


「自分で頑張れば?」


 雛は席を立つ。


「美玲、帰ろ」


「あ、待ってー!」


 二人は教室を出ていった。



 教室に残る島原達。


「何あれ?」


「島原さんにあの態度って!」


 取巻き達が口々に言う。


 島原は悔しそうに二人の背中を見つめた。


「いいわ」


「そのうち思い知らせてやるわよ」



 廊下。


 美玲が雛を追いかける。


「待ってよー!」


 雛が立ち止まる。


「どうしたの雛?」


 雛は前を向いたまま答えた。


「許せない」


「え?」


「私の友達を馬鹿にした」


 美玲は目を丸くした。


 そして嬉しそうに笑う。


「雛……」


「アイス食べて帰ろっか!」


「うん」


 二人は並んで歩き出した。



 その日の夜。


 豪華な邸宅。


 広いリビングで島原は父親と話していた。


「でね、腹立つと思わない?」


 父親は静かに頷く。


「頭が良いだけで、お前を馬鹿にしたのか」


「そうなのよ!」


「お父さんの力で目に物見せてやってよ!」


 父親はソファにもたれた。


「お父さんに任せなさい」


「……まずは家庭環境からだな」


 近くに控えていた秘書へ目を向ける。


「おい」


「かしこまりました」


 秘書は一礼した。


「調べさせます」


 島原は笑みを浮かべる。


「見てなさいよ、哀沢雛……」


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