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HINA-死神の系譜-  作者: 竜堂さくら


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第40話 花火大会


 プールからの帰り。


 四人は入口前で立ち話をしていた。


「そういや」


 楸が思い出したように口を開く。


「今夜花火大会だけど、お前らも行くのか?」


「花火大会?」


 雛が首を傾げる。


 美玲が固まった。


「花火見たことない?」


 少し考える雛。


「……爆弾?」


「物騒な事言わないでよ!?」


 美玲が即座にツッコんだ。


 楸が吹き出す。


「やっぱおもしれぇ」


 高山も苦笑した。


「なんかすげー」



「行きたいけど」


 美玲が少し考える。


「女子二人じゃお母さんが心配するかも」


「俺らと行くか?」


 楸が言う。


「それはそれで心配しそう」


「失礼だな!?」


 楸が抗議する。


 高山が笑った。


「紫亜さんに頼む?」


 雛が言う。


「保護者いれば大丈夫かな」


 美玲も頷いた。


「あの人か。なら安心かもな」


 楸が頷く。


「知ってるんですか?」


 高山が聞く。


「前にちょっとな……」


 楸が苦笑する。


 美玲は以前の面談を思い出した。


「あー……」


「そうなんだ……」


 高山は素直に頷いた。


「帰って紫亜さんに相談してから連絡する」


「んじゃ、それで」


 一旦解散となった。



 自宅。


「紫亜さん」


「はい」


「プール行った四人で花火大会行こうって」


 紫亜の目が輝く。


「更なる夏休みイベントですね」


「保護者いないとって」


「無視しないでください」


 雛は少し考えた。


「紫亜さん、付き添いで来てくれる?」


「もちろんです」


「ありがとう」


 紫亜は微笑む。


「何をおっしゃいます」


「美玲達に連絡する」


「とりあえず駅前に集合してもらってください」


「わかった」



 その夜。


 駅前。


「駅前集合だったよな?」


 楸が腕時計を見る。


「もう来るかと」


 美玲も周囲を見回す。


「あっ!」


 高山が声を上げた。


「あれですかね?」


 一台の高級ミニバンが駅前へ滑り込む。


 静かに停車。


 スライドドアが開いた。


 そして助手席から雛が顔を出す。


「みんな乗って」


 三人は車へ乗り込んだ。


「紫亜さん、お久しぶりです」


 美玲が頭を下げる。


「お久しぶりです!」


楸も頭を下げる。


「はじめまして!」


高山も続いた。


 紫亜は微笑む。


「皆様ごきげんよう」


 車が走り出した。



「雛」


 美玲が周囲を見回す。


「いつものスポーツカーじゃないのね?」


「私も初めて見た車」


「どういうこと!?」


 美玲が思わず叫ぶ。


 しばらくして、美玲が窓の外を見る。


「あれ?」


「会場はあっちだけど?」


 花火大会会場とは逆方向だった。


「すぐですから」


 紫亜はそう答えるだけだった。



 到着したのはヘリポートだった。


「え?」


 美玲が固まる。


「は?」


 楸も固まる。


 高山も固まる。


 そして。


 雛も固まった。


 待機していたヘリコプター。


 その操縦席に座る人物を見て、美玲が声を上げた。


「ジェームズさん!?」


 白髪オールバック。


 立派な髭。


 別荘の管理人だった。


「お久しぶりです、美玲様」


 優雅な笑顔。


「知り合いか?」


 高山が聞く。


「別荘の管理人さん」


 雛が答える。


 楸は少し考えた。


 そして諦めた。


「考えるだけ無駄か……」



「出発いたします」


 ジェームズが告げる。


 ヘリコプターが浮上した。


 夜の街が小さくなっていく。


 やがて遠くで光が弾けた。


 花火大会が始まった。


 赤。


 青。


 金。


 夜空を彩る光の花。


 次々と打ち上がる。


「綺麗」


 雛が呟いた。


 窓の外を見つめている。


「綺麗ですね」


 紫亜も微笑む。


「花火を上から見たの初めてだわ……」


 美玲は感動していた。


 高山も。


 楸も。


 しばらく言葉を失う。


 夜空に咲く花。


 その光が全員の顔を照らしていた。


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