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HINA-死神の系譜-  作者: 竜堂さくら


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第35話 リターンマッチ


「なんでトランプ!?」


 祥子の叫びが別荘に響いた。


 三人は不思議そうな顔をしている。


「やる?」


 雛がもう一度聞いた。


「やらないわよ!」


 即答だった。


「というか、何でそんな普通なのよ!」


「普通?」


 雛は首を傾げる。


 祥子は頭を抱えた。


 ダメだ。


 話が通じる気がしない。


「まあまあ」


 美玲が笑う。


「せっかくだし遊ぼうよ」


 そう言って鞄を持ち上げた。


「実は色々持ってきてるんだよねー」


 中から次々とゲームが出てくる。


 トランプ。


 オセロ。


 将棋。


 神経衰弱用カード。


 人生ゲーム。


 祥子が目を丸くした。


「旅行に何持ってきてんのよ……」


「備えあれば憂いなし!」


 美玲は胸を張った。



 最初は神経衰弱だった。


「よし!」


 美玲がカードをめくる。


「外れ!」


「また外れ!」


 次々と外していく。


 祥子も同じだった。


 だが。


 雛だけ違った。


「これ」


 取る。


「これ」


 また取る。


「これ」


 さらに取る。


 祥子が固まった。


「ちょっと待って」


「何でそんな当たるの?」


「覚えてるから」


 雛は当然のように答えた。


「全部?」


「うん」


 祥子は天井を見上げた。



 次はオセロ。


 祥子は自信があった。


 引導流道場の子供達相手なら負けたことがない。


「これは勝つわよ」


 十分後。


 盤面は真っ黒だった。


 祥子は固まっている。


「え?」


 雛が首を傾げた。


「終わり?」


「終わりじゃないわよ!」


 祥子が叫ぶ。


「何でこうなるのよ!?」


「勝てそうだったから」


 意味が分からない。



 次は将棋。


 祥子は開始十分で投了した。


「詰み」


 雛が言う。


 祥子は盤面を見る。


「いつから?」


「だいぶ前」


 祥子は静かに駒を倒した。



 そして人生ゲーム。


「これなら運だから!」


 美玲が言う。


「流石に勝てるでしょ!」


 結果。


 一位、雛。


 二位、ジェームズ。


 三位、祥子。


 最下位、美玲。


「何でぇぇぇ!?」


 美玲が机に突っ伏した。


 雛は首を傾げる。


「運じゃないの?」


「運よ!」


「じゃあ仕方ない」


「納得いかなーい!」



 夕方。


 ゲーム大会は続いていた。


 祥子は疲れ切っていた。


「おかしい……」


「何がおかしいの?」


 雛が聞く。


「全部よ!」


 祥子は叫んだ。


「拳法より強い!」


「ゲームも強い!」


「何なのよあんた!」


 美玲が苦笑する。


「雛は頭も良いのよ」


 祥子が止まった。


「マジで?」


「期末テスト全科目満点」


「マジで!?」


 祥子が立ち上がる。


「何それ!」


「反則じゃない!?」


 雛は少し考えた。


 そして答える。


「高校生」


「そういう意味じゃないのよ!」


 祥子が机を叩く。


 美玲が笑った。


 ジェームズも小さく笑う。


 雛だけが本気で分かっていなかった。


 その時。


 美玲が首を傾げた。


「ところで、何か用があったんじゃないの?」


 祥子は固まった。


「あ……」


 本来の目的を思い出す。


 不良五十人壊滅。


 その件を確かめるために来たのだった。


 だが。


 雛を見る。


 雛は平然としている。


 ジェームズは優雅に紅茶を飲んでいる。


 美玲はゲームを片付けている。


 祥子は少し考えた。


「……いや、もういいわ」


「そう?」


「そう」


 聞いたところで何も解決しない気がした。



 帰り際。


 祥子は玄関で振り返った。


「雛」


「ん?」


「今度は絶対勝つから」


 雛は少し考える。


「リターンマッチ?」


「そう!」


 祥子は力強く頷いた。


 雛も頷く。


「いいよ」


「賞状増える?」


「増えないわよ!」


 祥子の叫び声が別荘に響いた。


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