表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HINA-死神の系譜-  作者: 竜堂さくら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/102

第27話 勉強会


 期末テストが近付いていた。


 放課後。


 教室で参考書を眺めながら、美玲が盛大にため息を吐く。


「あー……」


「終わった」


 雛が顔を上げた。


「まだ始まってないよ?」


「始まる前から終わってるの!」


 美玲は机に突っ伏す。


「雛は余裕なんでしょ?」


「たぶん」


「たぶんって何よ……」


 美玲は半眼になった。


「じゃあ今度うち来てよ」


「勉強教えて」


「いいよ」


 雛はあっさり頷いた。



 帰宅後。


 雛はリビングにいた紫亜へ声を掛けた。


「紫亜さん」


「はい」


「今度、美玲の家に行くことになった」


 紫亜は微笑む。


「お友達のお家ですか」


「うん」


「それでしたら、手土産のひとつも持って行かないと失礼に当たりますね」


「そういうもの?」


「そういうものです」


 紫亜は即答した。



 数日後。


 美玲の家。


 インターホンが鳴る。


 玄関を開けた美玲は固まった。


「雛?」


「お邪魔します」


 雛の手には綺麗に包装された箱。


 嫌な予感がした。


「それ何?」


「手土産」


「何も持って来なくていいって言ったのに……」


 箱を受け取る。


 重い。


 そして高級感が凄い。


 母親も出てきた。


「あら」


「初めまして」


 雛は頭を下げる。


「哀沢雛です」


 礼儀正しい。


 母親は微笑んだ。


「いらっしゃい」


 そして手土産を見る。


 開ける。


 沈黙。


「美玲」


「うん」


「これ本当に手作り?」


「たぶん……」


 宝石みたいな焼き菓子が並んでいた。


 美玲母は恐縮した。



 美玲の部屋は女の子らしい部屋だった。


 可愛らしい小物。


 ぬいぐるみ。


 本棚には小説や漫画が並んでいる。


 机の上には参考書と問題集。


 だが、その隣には雑誌も積まれていた。


「なるほど」


 雛が呟く。


「何が?」


「テストの点数」


「失礼だな!?」


 美玲が抗議した。


 そんなやり取りをしながら勉強会が始まる。


「ここ分かんない」


「ここ?」


 雛は問題を見る。


「これはこう」


「なんで?」


「こう考えるから」


「あー!」


 美玲が声を上げた。


「分かった!」


 雛は頷く。


 説明が異常に上手かった。


 一時間後。


 美玲は感動していた。


「なんでこんなに教えるの上手いの?」


 雛は少し考える。


「おじさんの方がもっと上手い」


「おじさん?」


「うん」


「教師とか?」


 雛は首を傾げた。


 少し考える。


「なんか、王様って言われてた気がする」


 美玲は黙った。


(あだ名かな……?)


 そう結論付けた。



 夕食の時間になった。


「雛ちゃんも食べていきなさい」


 美玲母が言う。


「ありがとうございます」


 食卓には家庭料理が並んでいた。


 雛は箸を動かす。


 そして。


「美味しいです」


 素直に言った。


 美玲が吹き出す。


「紫亜さんの料理の方が美味しいでしょ!?」


「お母さんの料理って初めてだし」


 食卓が少し静かになった。


 美玲母は雛を見る。


 事情は分からない。


 だが何かを感じた。


「いっぱい食べてね」


 優しく言う。


 雛は笑った。


「はい!」



 食事も終わり、時計を見る。


「そろそろお父さん帰ってくる時間だね」


 美玲が言った。


 雛は立ち上がる。


「私、そろそろ帰るね」


「えー」


「お父さん紹介するよ?」


「紫亜さんが心配するし」


「あー」


 美玲は納得した。


 確かにしそうだった。


 二人は玄関へ向かう。


「またおいでよね」


「うん」


「いつでも遊びにいらっしゃい」


 美玲母も微笑む。


 雛は深く頭を下げた。


「ありがとうございます」


 そして帰っていく。



 その背中を見送りながら、美玲母が呟いた。


「いい子ね」


 美玲は頷く。


「うん」


 少し笑った。


「ちょっと変わってるけど」


「私の親友」



 帰り道。


 雛の足が止まる。


 超人的な聴力は、その言葉をしっかり拾っていた。


「親友……か」


 少しだけ嬉しそうに呟く。


 いつもより軽い足取りで家へ向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ