番外編 涙を打ち消す方法
私が、目を覚ますと辺りは、白くて何もない病室だった。
そこで、はっとフラッシュバックしてしまう。
奈央と一緒に登校していたら、突然奈央に押されたと思ったら、奈央は車に轢かれてしまった。
奈央は私のせいで、、、、
私のせいで、、、、
思い出すと、体が小刻みに震えてきた。
罪悪感と後悔と懺悔とで、苛まれそうだった。
「咲姫ちゃん、あなたは悪くないから落ち着いてね。」
ふと、横を見ると腫れぼったい目をした奈央の両親とお父さんとお母さんがいた。
私は、いつだったか覚えていないが、そのときに奈央が死んでしまったことを伝えられた。
警察の事情聴取を受けている時に、パニックになってしまい、足を滑らせ、頭を打ったとのことだった。
時間が経つにつれ、ほんの少しだけ気が落ち着いてきた。
奈央の両親の希望で、3人で話すことになった。
「あ、あの、ごめんなさい。
わ、私のせ、せいで奈央が、、、」
「ごめんね、そんなことになっちゃって。
あの子がそうしておくべきだと思ったから、そうしたんだと思う。
確かに私たちも奈央が死んでしまったことは悲しい。
けど、最期にやったことを否定したくはないし、私たちはあの子の行動を勇敢に思うわ」
そう優しく投げかけてくれた奈央のお母さん。
そんな対応されるなんて思ってもいなかったから、涙が溢れてくる。
正直、あなたのせいじゃないから気に留めないでみたいな感じで言われると思ってたから想定外ではあった。
奈央にとって、私は助けるべき対象だったのかな?
自分が助かるべきだったんじゃないかな?
私が、あんな能天気なこと言わなければ二人で助かってたのに。
私のせいで。
子供のように泣きじゃくっている私を、奈央のお母さんはそっと抱きしめてくれた。
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何か月間かカウンセラーとの会話で少しばかりトラウマのようなものは消え去った。
けれども、心の奥深くに眠っているだけかもしれない。
それが、何がきっかけでまた目を覚ますかはわからない。
そんななかでも、学校生活に復帰した。
クラスに入ると、
「咲姫、大丈夫だった?」
とか
「咲姫、安心して一緒に過ごそ」
ってみんな言ってくれるけど、正直あんまり落ち着けなかった。
今まで、苦しんできたものを軽く見ているようにしかみえなかった。
考え方が今までと変わったせいか、みんなは私から離れていった。
ある日の夢の中でこんなのを見た。
「相変わらず無愛想だねぇ」
突然、真後ろからそんな声が聞こえた。
聞き馴染みのある、久し振りに聞く声。
まさか、と振り返ってみると、そこには奈央がいた。
「あ、ちょっと待てい、泣くんじゃない」
私の心を見透かしているのか、そんなことも言ってくれた。
「最近はどうよ?うまくやってる?」
「うーん、まぁぼちぼちって言いたいとこだけど、まぁミスったかな-」
「はは、なんか予想つくな-。咲姫がボッチなの想像しただけで面白いな」
同じ世界にいないからなのか、共通の話題になったりすることはなかった。
けど、適当に話しているだけでも充分楽しい。
「あ、そうだ!
奈央さ、内藤くんのこと今も好き?」
「まあね。咲姫は、念願の彼氏できた?」
「できるとでも?いいなぁ、奈央は。」
「こうやって話すの楽しいわ、やっぱり。」
「なんか奈央変わった?」
「なんかさー、意外といつも通りの生活ってなんか特別だったんだなって感じるんだよね。
確かに、今まで私、そんな哲学みたいなこと考えたりできる頭じゃなかったもんね」
そういいながら、笑い出した奈央。
いつもこんな風に、話して笑ってたな。
最近そんなこともしなくなってたから、懐かしい気がするな。
いつぶりだろ?
ていうか、私も変わったな。
こんなことにも気づくようになってさ。
今まで私なんか毎日を適当に過ごしてたんだからそんなことに見向きもしなかったからな。
「咲姫さ、なんか毎日っていいよ?」
「何?突然、哲学にでも目覚めたの?」
「違うけどさー、なんか当たり前って当たり前じゃないじゃん?」
「矛盾発言いいってもうー。
日本語喋ってよぉ」
「咲姫さ、あんま気負いし過ぎないでね。
もっと肩の力抜いてさ、リラックス、リラックスー、だよ?
分かった?せーのっ!」
「スマイル、スマイルー」
「ああ、もうちゃんとやってよぉ。
大丈夫だからさ、私が見ててあげるからさ。
どんな時でも、ずっとずっと。」
「どんな時もかぁ、なんかやだなあ。」
「はははは、なんでよぉ」
私は夢から覚めた。
夢であったくせして、起きたあとも、意外と鮮明に覚えていた。
夢に出てきた奈央は、私がつくった虚像だったのかもしれないし、本当に奈央が降りてきてくれたのかも、よくわからない。
でも、どうであろう奈央が私を守ってくれている気がしたのは、しているのは嘘ではないから。
禁断の恋を死からをご愛読いただきありがとうございました。
31話に及ぶ作品を継続して、読んでいただいたこと深く感謝いたします。
私自身今作品を完走することができて、大変感慨深い気持ちでいっぱいです。
今後も、新作の執筆などをしっかり頑張っていきたいと思いますので、新作もよろしくお願いします。
また、再びとなってしまいますが、新作は6月23日初投稿となりますので、宜しくお願い致します。
最後になりますが、今作を愛していただき誠に感謝申し上げます。




