三十話 禁断の恋を死から
こうなってしまったのはなぜだったのか。
咲姫を助けて、そっから色々あったらしく天国Nにやってきた。
淀という場所で、死神をしていた鷹夜と会って、仲良くやってたけど、鷹夜が死神の規約違反を犯してしまって、それを庇って、私の淀での記憶が全部なくなって、ここに来たっていう話らしい。
そんなことできるほど、肝が据わってるわけでもないし、本当に私がやったのかな?
鷹夜のためになれたんだったらよかったのかもな。
天国に来てからまだ4か月くらいしか経ってないけど、正直やりたいこと全部やったし何やろうかなってくらいになっちゃった。
いうなら、遊び疲れたみたいな。
適度な苦痛がないから、辛さがないから、刺激がないから正直楽しくないんだよな。
現世にいた時は天国に居れば、何もやんなくていいし、自由だから最高じゃんとかって思ってたけど、案外そんなこともなかったな。
鷹夜も
「つまんねえなあ」
とかって言ってた。
私といるのは楽しくないのかな?
最近は黙々と、FPSをやることに私も鷹夜もハマっている。
でも、最近やり過ぎた。
鷹夜とパーティーを組んで8時間とかを毎日やっているとさすがに廃人化してしまう。
てか、もうもはやしかけているのかもしれない。
しているかもしれないし。
何かに追われるってことがなくなってしまったから、時間にもルーズになってしまった。
テストに追われたり、待ち合わせに追われたり、部活の練習に追われたり。
今考えると、すっごく生き急いでいたように見えるけど、今よりは幾ばくかマシな方だろう。
退屈を極めていた。
やってもすべて上手い方向に行ってしまう。
何かに苦労することがない。
それでも、ゲームだけはまあ、苦労して勝てるぐらいには調節されているらしい。
挫折することの大切さとか、苦労することの大切さに今更だけど気付いてしまった。
正直、もう天国にはうんざりだ。
鷹夜と一緒にいられるからまだいいけど、いなかったらホントに鬱になるかもしれない。
生前に美化しすぎた、天国というものを。
怒られたり、泣きたくなったり、嬉しくなったり、感情を分かち合ったり。
そんなことが、あのときはすっごいしょうもなかったことが今ではすべて取られてしまった気分だ。
なんなら、もしかしたら取られてしまったのかもしれない。
「鷹夜~、今日は何するー?」
え~、と言わんばかりの顔をしながら、唇を尖らせている。
「え、なんかあるかなー?
だって、特段やりたいこともないし。
ここって刺激ないしさー。
なんかおもしろ、、、、、、、」
いじっていたスマホの手を突然止めた。
呆気に取られているってより驚いているのかな?
口、開いてるけど、、、、、
「おい、これ見てみろよ。」
そう声を荒げながら言った。
荒げているってよりなんだろう。
喜んでるのかな?
ていうか、なににそんなに言ってるんだろう?
不思議に思いながら、鷹夜が見せてきたスマホの画面を覗き込んでみる。
すると、そこには輪廻転生者応募中と書いてあった。
輪廻転生者、つまり、現世に生まれ変わりたい人、
の募集が来たらしい。
噂ではあるとか聞いてたけど、実在するとは。。。。。
私たちは目を光らせながら、顔を見合わせた。
「行っちゃう?」
もともとあったら行ってみたいね、とかって話してたから、こんなに都合いい事ってあるんだ。
ここの人間は、ここのなんの苦痛もない生活に慣れてしまったせいで、輪廻転生なんぞものに興味がないとかって聞いた気がするな。
募集人数も25人だし、たぶん二人とも輪廻転生できるな。
応募してみるか!
一週間後、通知が来た。
『佐々井奈央様、内藤鷹夜様の輪廻転生が決定いたしました。』
なんとも想像通りだなぁ。
こんなにうまくいくもんなのか?
よかった。
でも、一緒の国とか、地域とかに生まれ変わる可能性って低そうだよな。
どっちがいいんだろうな?
鷹夜とずっとここで楽しくない生活を送るか、刺激のある楽しい生活をもしかしたら鷹夜と違うところで暮らすの。
どっちがいいのかな?
でも、もう、後には引けないな。
「ああ、ここで奈央ともお別れになっちゃうのかなあ?」
なんて能天気に抜かしてるけど、ほんとにそれでいいのかな?鷹夜は。
私がそう思ってるだけなのかな?
なんか寂しいな。
「もう、鷹夜と会えないのかな?」
「そんなことないだろ、どっかで会えるわ。
そん時まで俺のこと覚えてろよ!」
忘れるわけないじゃん。。。。
私は涙がこぼれそうになったから、輪廻転生用の眩しい光を放つドアに手をかけた。
「鷹夜、楽しかったよ!
また会おうね!」
悲観的な言葉は言いたくなかったから言わなかった。
さよならはまだ早いからさ。
まだ、一緒に居たいんだからさ。。。。
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今日もめんどくさいな、学校なんて勉強する意味ないじゃん。
なんで毎日行かないといけないのかな?
まあ、転校生来るって言ってたからな。
まあ、行くだけ行ってみるか。
「おはよう、澪」
「おぉ、おはよーハム」
「ハムじゃないじゃん、なんでハムなの?」
「可愛いからって言ってんじゃん。
ハムスターの略だよー」
「はい、早く座ってください。
転校生待ってるから」
私と澪の会話を遮るように担任が声を張り上げた。
「高山君、入ってきて」
転校生として、入って来たのはまあまあのイケメンだった。
こういう展開あるんだな。
挨拶終わりに澪と話しかけに行ってみると、高山君はこう呟いた。
「なおってなんだっけな?」
なお?
「たかやま。。。。。」
私も思わず口からそう出てしまった。
たかやま?
たかや、ま?
はっとした。
何かが分かったかのように、電流が走ったのかのように。
何がわかったかもわからないのに。
私と高山君は顔を見合わせていた。
「なお?」
「たかや?」
知らない人物の名前を口に出して、見つめ合っていた。
今回が最終話となります。
スピンオフで咲姫の話を書いて、本当の完結となります。
新作は6月23日を予定していますので、何卒よろしくお願い申し上げます。




