第84話 真理
強姦未遂事件の翌日、彼方も加害者たる男子生徒たちも学校を欠席した。
那由多も学園探偵部に顔を出してはいるが心ここにあらずだ。
見えてこない犯人像に学園探偵部全体が焦りの色を隠せない。
今回新たに発覚した彼方の盗撮被害を受け、学園探偵部では緊急ブリーフィングが行われ、本日から技術部の面々と諜報員が一緒に動き盗撮現場の調査に乗り出した。
プールの女子更衣室や女子トイレでは技術部の二人から徹底的に指導を受けた、情報部の藤原百花が活躍した。
今回、男子部員は内容が内容だけに確認はさせて貰えていないが、彼方の盗撮写真は刹那のそれよりもかなり悪質なものであった。
刹那の写真については現在一期と一緒に学園探偵部と別行動中の刹那が持っているため、両方の内容を把握しているのは一重だけだ。
その一重によると、両者に被害内容の違いがあるのは、普段からの刹那の警戒心の強さによるものではないかとの事だった。
それでも、彼方の写真からわかった事は大きかった。ふじももの徹底した検証により、盗撮用カメラが仕掛けられていたであろう場所のほとんどが特定された。
位置的に撮影が可能と思われる箇所にあるドアノブの固定用ネジに付いていた傷をふじももが不審に感じ、最近取り外されたであろう形跡や周囲の汚れからノブの取り付け位置の微妙なズレを見つけたのだ。
しかし、残念ながらカメラは既に回収された後でもあった。
「寺西、これ完全にお手上げじゃねーか?」
「そもそも何で回収済みなんだ?」永遠の意見に寺西が渋い表情で返す。
「犯人も慎重なんだろ」
「無線で飛ばしてるんじゃなければメモリーの回収ってのが濃厚じゃないかな」元ラジオ研究会、現技術部所属の藤中佑(刹那命名:ふじゆう)も途中から会話に参加した。
「そうか、じゃあまた仕掛ける可能性があるかも……か?」という寺西の意見に永遠が少し考え込む。
「俺は無いと思う。盗撮した理由を考えたんだけど、もし販売目当てだとしたら目標の金額ってのがあったんじゃねーかな? そこに達成してたならもう尻尾は掴めないんじゃねーかな」
「だとすると表に出てないだけで、他にも被害者がいて写真は出回ってると考えられるね」
「あとさ、これはちょっと言いにくいんだけど。刹那にカナちゃんだろ? しかもカナちゃんの写真も最近じゃねーんだろ、半年前だっけ? 学内の可愛いどころは撮影済みって考えられないか?」永遠の意見には二人とも頷いたが寺西が質問を返す。
「おま、何でそれブリーフィングで言わなかったんだよ?」
寺西の抗議に対して無言で目線だけを士郎の方へと送る永遠は目線とその苦虫を噛み潰した様な表情だけで語った。
もし真理が盗撮の被害にあっているとなると、士郎が冷静さを失いかねない、と。
寺西も藤中も察した様子だ。
会話に参加こそしていなかったが、ぼんやりと聞いていた那由多が静かに席を立ち永遠たち三人のそばにやってきた。
「那由多……お前、その」
「永遠くん。もし学園内にその〝可愛いどころ〟って子が増えたらどうかな?」




