第62話 刹那VS一期、永遠VS一重
「いやー、マイッタ参った、隣の神社」
相変わらずのガラピシャ入室の刹那の第一声は総スルーされ、沈黙が彼女たちを迎える。
「あれ? いつも通りだけどナンカ若干暗くなーい?」
「刹那ちゃんコレ」寺西が刹那の眼前に謎部活の勧誘用ビラを突きつける。
「おーっ! さすがローリー! サンキュー! ヨッシ、あと三枚っ」
「じゃなくってさ、コレって一体? 詳細はゲーム・ラジオ・模型部の部室にてって?」
「刹那が一年生たちに勝手にビラ配ってたんだよ。そんでそもそもそんな部活はないだろって、生活指導の鎌田先生に回収命令出されて。虫の居所が悪かったのか一枚残らず回収してこいってカンカンで。さっきまで捜索してたんだよ」
寺西の問いに、制服や靴に所々砂埃のついた格好の永遠が答えた。
「その娘たちは? ……って一期じゃない! 入部希望? 言っとくけど、うちの入部試験は厳しいわよーっ。覚悟して……」
腕を組んだ姿勢で仰け反りながら語る刹那の頭を手に持っていたチラシの束でバサりと後ろから永遠が叩く。
「入部試験とかそもそもねーだろっ!」
ほっ、といった柔らかい表情になる一期だったが、隣に立っている少女は勝ち気な表情で刹那に食い付いた。
「上等ですよ、先輩っ! 私と一期で受けて立ちますよっ!」と言って刹那を指さす。
「ちょ、ちょっと一重さん」
「いーじゃん一期。あんただって一生懸命練習してたじゃない?」
「練習ぅ? なんの練習してたの、一期?」一歩、一期に近付いて目線を合わせるように少しだけかがんで顔を覗き込む刹那。
顔見知りには極端に距離感の近い内弁慶な刹那に諦め顔の永遠。対照的に顔を真っ赤にした一期が答える。
「し、射撃の練習デスッ!」
「ふーん、いい心掛けよ一期。それなら私と射撃勝負かそれともあの電動キックボードで永遠とレース勝負でもする?」
「先パーイ、なんで上から目線なんですかぁ? そういう事なら永遠さんとの勝負は私が受けますよ!」一期に一重と呼ばれた少女が刹那に食って掛かる。スカートのポケットに手を突っ込んで革製のキーホルダーがついた四角い頭の鍵を刹那の目に映るように手で摘んでぶら下げて見せた。
「何ソレ?」といって首を傾げる刹那とは対照的に興奮気味に永遠が食い付く。
「Kマーク? kawasakiか?」
「さすがバイク担当の先輩、わかってますね。私の相棒のケセラちゃんこと、KSR-1で受けて立ちますよ」
「いや受けて立つもなにも……」
「あなたもバイク乗ってるの? じゃあ話が早いわね。一期と私がシューティングマッチで勝負して、永遠とあなたがバイクレースで勝負して、あなたたちが勝ったら入部を認めてあげるわっ!」
「いやいや、そもそも入部もなにも学園探偵部なんてねーだろっ!!」
「え? 無いんですか?」驚いた一期が永遠の方を向く。
「それは刹那が勝手に作ったビラで、ここはゲーム愛好会とラジオ研究会と模型部が放課後共同で使ってる教室。そこに俺たちが勝手に入り浸ってるだけだよ。それにゲームとラジオと模型合わせたって全部で五人の零細部活だし」
「零細て!」とラジ研会長が突っ込みを入れる。




