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第61話 学園探偵部爆誕!?

 新年度が始まり、最初の一週間は学内でのオリエンテーションや役員委員の選出、部活動の見学などにあてられる。


 ここ、ゲーラ模も例外ではなかった。

「失礼しまー……」教室のドアから小さなノック音が聞こえ、震動を受けてはめ込まれた磨りガラスがビビり音をだす。少しだけ立て付けが悪いドアがスライドされ、グループでやってきた数名のうちの一人がひょっこりと顔を覗かせる。

 教室内を端からゆっくりと見回した後、教室内にいる先輩たちが見向きもしない空気感に堪えられずドアがそっ閉じされる。

「なんかやばそう」「やめといた方がいいって」「雰囲気良くなかったよ」等々、廊下から聞こえてくる会話の断片がゲーラ模の活動教室内まで届く。

 口にバツ印の書かれたマスクをした陽キャ系オタクの彼方(かなた)が新入生たちの会話を聞いて、身振り手振りでゲーラ模の三幹部(模型部部長・寺西、ゲーム愛好会会長・高橋、ラジオ研究会会長・宮土)に抗議している。

 しょうがないなと言った表情で寺西が彼方に話しかける。

「カナちゃん。うちは基本的に社交的じゃないメンツばかりなんだよ。ていうか雰囲気で諦めるようなぬるい趣味人(オタク)はこっちから願い下げというか」

「※ー!」ふくれっ面の彼方が声にならない声を上げる。

「それに刹那(せつな)ちゃんと永遠(とわ)の学園探偵の仕事の関係であんまり大所帯になるのもちょっとね」とゲーム愛好会の会長が付け加えた。

 パっと見の可愛さだけではなく、誰にでも明るく気さくに話しかけるキャラクターの彼方が勧誘を行えば零細部活のゲーラ模にも新入生が大勢押し掛けてくるだろう。それを懸念して本日の彼方には発言権が与えられていない様子。

 教室の奥の方では、那由多(なゆた)が週刊少年漫画誌を読みながら、無言でも騒がしい彼方の様子を静観。真理は的部(まとべ)の勉強を観てやっている。

 そんな折。

 ガラピシャーン! とノックも無く教室のドアが勢いよく開けられた。

 ゲーラ模の部活動教室にこんな入室の仕方をするのは刹那と彼方しかいない。全員がそう確信をもった表情(かお)で入り口の方を見たり見なかったりしていたが、その内の視線を送った面子はそこに立っている女の子二人の姿に思わず声を漏らす。

(せっ)……(ニセ)ツナちゃん?」

 入り口に立っているのは、小柄な女子二人。その内の一人、後ろに立っているのが黒髪ショートカットバージョンにアップグレードされたであろう偽刹那(ニセツナ)こと一期(いちご)であった。事前に話を聞いていたゲーラ模のメンバー達ですらそのコスプレメイクの完成度には戸惑いを隠せなかった。

 先頭に立つもう一人の少女は肩胛骨(けんこうこつ)の辺りまで伸びている黒髪を首の後ろと毛先側との二箇所をヘアゴムで縛った奇妙な髪型をしている。スカートの下から覗くのは、膝下まで丈のあるプラスチック製脛当て付いた黒いブーツとスカートよりも丈が長く膝下までもカバーされたロングスパッツに守られた絶対領域僅か二センチの両脚。歩く度にゴッゴッと足音を響かせるその少女が一番手前に座っていたラジオ研究会の会長に歩み寄り声をかける。一期はその後ろを子鴨の様についていく。

「すいません、私たち二人入部希望です。学園探偵部ですよね? ここ?」

 少女は手書きっぽい派手なチラシを彼の目に映るように見せた。


「『学園探偵部、諜報員募集!!』ぅ?」横からチラシを覗き込んだ寺西が驚いた様子で大きく書かれたポップな文字を読み上げた。

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