表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/90

第58話 セツナとニセツナ

「テメー今度と言う今度は許さねーぞ!」


 コーヒーショップのテラス席でタバコを吹かしていた男の怒号に永遠(とわ)たちだけでなく店内にいた他の客も店員も一斉にテラス側の歩道を見る。

 全員の視線が歩道からグロック18Cを構えている少女の方に注がれる。

刹那(せつな)?」驚いてそう言った士郎に続けて「……っぽいの?」と永遠が付け加える。

 そこには金髪で大きな胸ではあるが、永遠よりも小柄な少女がキックボードと一緒に立っていた。

 本物(?)の刹那は永遠(男子としては平均値よりやや低いのだが)よりも背が高く、決して小柄とはいえない。そして髪の毛も最近黒髪のショートヘアにしたばかり。教師から話を聞いた時の違和感がやっと腑に落ちる。

 良く見るとブレザーの制服も雰囲気が似ているだけで永遠達の高校のそれとは違っていた。永遠たち二年生の学年色は赤、彼方たち一年生の学年色は緑、三年生と来期に入学の新入生は黄色。目の前にいる金髪の少女はブラウスに黄色のリボンを付けている。……それにそもそも刹那はリボンを付けていない。

 一瞬の戸惑いから永遠たちはすぐに動き出せず、チンピラが少女に襲い掛かろうと向かっていくのをただ眺めるしか出来なかった。

 ワンアクション遅れて刹那っぽい少女を助けようと飛び出した永遠だが、彼の視界に入ったのは電動キックボードでチンピラから華麗に逃げて行く偽刹那の後ろ姿と数メートル走っただけで諦めて肩で息をしてヘタっているチンピラの情けない姿だった。

「お前! あのときの!」ゆっくり歩いてきて横に並んだ永遠をゼェゼェ言いながら恫喝するも迫力が足りない。

「いや、おっさん。とりあえず戻って話そうぜ」


 目の前で偽刹那に逃げられた二人に奇妙な共感のようなものが生まれ、コーヒーショップのテラスで話し込む事になった。

「じゃあさっきのはお前らの知り合いじゃねーんだな?」

「俺が聞きたいぐらいだよ。てかおっさんタバコ吸いすぎだよ、息上がるの早すぎだぜ」そうは言ったものの足の速い大人であっても昨今の電動キックボードには追いつけないだろう。ましてや堂々と公共の場でオモチャとは言え、エアソフトガンを人に乱射する様なタイプの人間だ。キックボードも改造して速度を上げている可能性だってある。そもそもまだ神奈川県内公道での使用はグレーゾーン。

「おじさん、マナー良い大人な方がボクは好きだなー♡」と首を傾げて微笑んだ彼方(かなた)がウインクする。

「まぁ、お前らにそこまで言われちゃー……」とデレデレ顔で一度取り出したタバコをしまい込むチンピラに呆れ顔の永遠たち。


「とりあえず、掲示板の中学でも当たってみるか。金髪の巨ny……、中学生なんてこんな田舎じゃ珍しいだろ。高校生ならいざ知らず」と切り出す永遠。

「うーん」

「だよねー」

 しかし那由多(なゆた)と彼方は顔を見合わせてその考えに難色を示した。

「あのね永遠くん、(いち)レイヤーとして言わせて貰うけど、いや、そもそもレイヤーじゃ無くても気付くと思うんだけど……」呆れ顔の那由多が諭す様な口調で話す。

 彼女は永遠にあんなきれいな金髪なんてまず最初にウィッグの可能性を考えないといけないと告げ、さらに妹の彼方と私の見立てではと付け加えつつ、先程の偽刹那は髪質からまずウィッグで間違いないだろうと説明した。

「あとこっから先は確信無いんだけど……、まぁいいや。とりあえず今からその中学行ってみようよ。学校近いし、もしかしたら戻ってるかも」と締めくくった。

 歯切れの悪い話し方が引っ掛かった永遠だったが、素直に那由多の提案に乗る事にした。このタイミングでバイトのある士郎と、バイトは無いが真理も彼と一緒に帰路に着いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ