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学校イチの美少女が実は残念系ガンマニアな学園探偵物語〜Mild〜  作者: 笹岡 悠起
学園探偵VS喫煙マナー
32/90

第32話 ハンバーガー屋騒動顛末記!

「このガキっ!」

 刹那(せつな)の笑い声に激昂したチンピラが一直線に拳を振り上げ襲ってくる。

 立ち上がった刹那は既に臨戦態勢。

 しかし先手を取るために半歩踏み出した刹那と向かってくる男の間に永遠(とわ)が割り込んだ為、顔面を思いっきり殴られたのは永遠だった。がむしゃらに飛び込んだノーガードの永遠は隣のテーブルまでふっ飛ばされた。

「きゃーっ!」那由多(なゆた)の叫び声が店内に響く。

 刹那はまるで永遠が自分を守るのは当然だと言わんばかりに吹っ飛ばされた永遠の方を見向きもしない。相手(てき)を見据えたまま、無駄のない最小限の動きで男の側面に回り、右手を突き出したままガラ空きの脇腹目掛けて左フックをねじ込んだ。

 堪らず脇腹を押さえ身体をくの字に曲げて苦しそうに下がってきた顎先に左フックのモーションから上半身を一回転させて放たれた右エルボーが見事にヒット! 激しく脳を揺さぶられた男の目が裏返り、膝から崩れるように前屈みで倒れ、ゴツリと鈍い音をさせて床に額を打ち付けた。

 バックステップを踏んで半歩下がった刹那が右足を振りかぶり男の頭をサッカーボールに見立てたトーキックを放とうとするが、地面を這ってきた永遠が両手で彼女の脚にしがみついてフィニッシュブローを間一髪で止めた。そしてゆっくりと目を閉じ意識を失った。

 刹那の脚にしがみついている永遠は殴られた頬っぺたが膨れあがって輪郭を保っていない。那由多は床にへたり込みずっと泣き叫んでいる。ほぼ無意識に動いていた刹那も彼女の泣き声でやっと我を取り戻し、脚にしがみついたままの永遠の腕を振りほどいた。


「ファーン」というサイレンの音と車の停車音が同時に聞こえゆっくりと落ち着いた様子で店内に入ってきたのはたまたま近隣にいたのか、制服姿の警官ではなく私服の刑事二人組。

 若手と見受けられる刑事が形式通りの逮捕劇を繰り広げ、ベテランと言うよりは〝不良〟や〝悪徳〟といった通り名が似合いそうな刑事が刹那に話しかける。

「嬢ちゃん、見る奴が見たらわかるぜ」

 そう言ってオタマジャクシのような黒い弾を拾って刹那の方へ放る。

 刹那が空中でキャッチしてスカートのポケットに仕舞った。


 次いで、伸びている永遠の横にしゃがみ込み上半身を起こすと、裏手でぺちりと頬を叩いた。薄ら目を開けた永遠は「なんだアンタか」と表情で語る。

「坊主どうする? 今回もまた不起訴か?」と刑事が問いかける。

「いつもどおり。刹那(こっち)が先に手ぇ出してんだし」と永遠が口を開く。

「嬢ちゃんのは目ぇつぶるってんだけどな」

「それは正義じゃねーよ」

「相変わらずかわいくねーガキだな……」

 立ち上がった刑事が「よっぽどお前の方が向いてんぜ」と小さくぼやくように言った台詞は永遠まで届かなかった。あるいは届かないように言ったのかも知れない。


 目を覚ましたチンピラが覆面パトカーに連れて行かれた後、そのまま席に着いている刹那たちに店長が近づいてきた。

「別に礼には及びませんよ!」と言いながらドヤ顔で立ち上がった刹那に会釈をした店長が封筒を渡す。

「この度のご注文分の代金です。既にご提供させて頂いているものにつきましても、お代は結構ですので、どうかお引き取りください」

「え、だって悪いのはあの男で……」と自分たちの正当性を訴えようとしている刹那の腕を引き、席を立ち店長に会釈する永遠。那由多も刹那の荷物を持って同じく丁寧に会釈して店を後にした。

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