さすがは卑怯の帝王無無ね
「準備はいいかな」
「先生、雪はおやつに入りますか?」
「ふむ…トリガーとしての配置を考えると前菜に値するからおやつには入らないかな」
「私の配置ヤバすぎないかしら?」
準備は終わっているからいつでもいいか。
準備と言っても私は持ち物とくに無いがな。
「じゃあ行こうか。朝月、後はよろしくね」
「分かったわ」
「!?」
い、いつの間に背後にいたんだこいつ…
いやいやいやおかしくないかこんな私も死線を潜るどころか死んできたんだぞ!なんで完全に気配が読めなかったんだ?
「細かいことはいいじゃない。全並行世界線時間軸において観察眼一番の使い手…今は物語的には雪梛のが上だっかしら、それはいいとして。あたしの名前は朝月よ。よろしく!」
「随分と元気そうな人ね。よろしく頼むわ朝月さん」
「さんは要らないわよ。じゃあ出発」
指を鳴らしたと思ったらどここここんな場所は知らんぞ?
「すごいわね。この個数が4個とか初めて見たわ読みづらい…」
「揃いも揃って文面を気にしますねあなた方は…」
「あら?お久しぶりですね朝月、そちらの方々は?」
なんか背の高いお姉さんキャラ出てきたぞ…
てか前にあるでかい建物は魔王城か?だとしたら絶対この人魔王じゃん。
「殺したいほど愛してるという新しい世界の人たちよ。私もまともに接触するのは初」
「ならばかなり新しいですね。初めまして、私はこの世界で魔王をやっている世無離と申すものです。あなた方のことは…今読ませていただきました。雪梛からの要点を抑えた記事を読んだだけなので情報不足ですがよろしくお願いします」
「ええ、よろしくお願いするわ。さてこの世界に来たのはいいのだけれども何すればいいのかしら?」
「とりあえずダンジョンに行かせる予定なのだけれどなにかいい場所はないかしら?」
「でしたら先日発見された上級程度のダンジョンがおすすめですね。もちろん人外ダンジョンじゃないですよ」
なんだその人外ダンジョンて。
「じゃあとりあえずそこ行ってくるわ。また後で会いましょうね」
「ええ、検討をお祈りしていますよ」
そうして流されるままにダンジョンに行く流れになってしまった…頼むからこっちにもわかるようにゆっくり進めてくれ…
ダンジョンとかいうと即死トラップとかあるのだろうか、まあいろいろと楽しそうなのでよし…
「方角は右斜め前、距離は…訳3kmといったところね。競争よ!」
「開幕から楽しそうじゃねぇか」
「その心意気やよしスターターは誰がやるのかしら?」
「じゃあ私がやるわ。雪にやらせるとせこいことしそうだもの」
「偏見が過ぎる」
相棒に勝てたら十分だ。
「よーい…ドン!」
いくぜって朝月はや!?
スタート直後に違和感を感じたと思うと突風も起こさず朝月が消えていた。
私たちの平行移動よりも圧倒的に早く格の違いを感じた。
多分私たちに攻略させようとしなかったらつく頃にはすでに攻略完了してるだろう、なんなら帰り際にすれ違うかもしれないというレベルじゃないか?
「やはりおかしい強さの方ですか、というか魔王の世無離さんもいかれてそうでしたし」
「同じ魔王として頑張ってほしいわ」
「さすがにきついです…」
「今がチャンスだ!!!」
うわなんだこいつ急に気をなぎ倒してきたぞ環境破壊だ!
「私にこの程度の小細工が効くと思うのか?」
「さすがは卑怯の帝王無無ね」
「小細工がちょっとうまいだけだ。それに卑怯卑劣は敗者の戯言だろ?心地いい音色にしかきこえんわはっはっは」
とか言いながらいつのまにか用意していた小石を雪の背中にぶん投げた。
かなりな小粒だったので小細工に忙しい雪は避けはしなかったものの当たってから振り向いた。
「お湯」
「!?」
なんか急にやかんを雪に至近距離で投げ渡したぞ!?
「ああっっつううう!!!!…?」
「あっはっはじゃあな」
どういうトリックだよ雪が熱がって減速したと思ったら急に止まったぞあいつ…
「あれはただの水入りのやかんだ。お湯って言って渡したから雪の脳が勝手に勘違いしたってだけ」
「なるほど?」
「楽しそうね。でもゆっくりしすぎよ」
「いや私たちはこれでも全力なのだけれども…」
やっぱり正面から戻ってきやがったぞこの変態…
「変態呼びはやめなさいただでさえ向こうの世界で呼ばれまくっているからイメージ定着したくないわ!」
それよりなんかに追われてないか?
ふと背後を振り返ると全力でこっちに逃げてくる雪がいた…いやなんかめっちゃ笑ってんだけど!?
「さっきはよくもやってくれたわね。私からのspecialなプレゼントよ」
「こちらの世界にもドラゴンがいるんですね」
すげぇすげぇ全長もしかしたら100mくらいあるんじゃないかあいつ。
今回のドラゴンは青いうろこに覆われていてところどころに傷がついていることから歴戦の個体である可能性が考えられる。
ちょっと待ってくれ火を噴いてこないか!?
「これはたぶんこっち側のミスだから今回はサポートするわ」
「助かる」
とりあえずこんなのに勝てる未来が見えないから私は相棒とともに先行かせてもらうぜ!
背後ではすさまじい音が鳴り響いていたがそれはいったい誰が発生源となっているのかわからなかった…




