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殺したいほど愛してる  作者: 雪梛


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簡単に死なれたら、悔しいじゃないですか

あれから私たちは頑張った、いや本当によく頑張った、感動した。


全員身体ボロボロだからフライパン振ると激痛だし冷蔵庫すら開けると痛いし。


そんなこんなでもう既に辺りは真っ暗だ。


人工的な光が差すのは魔王城のみなので煌めいている星がよく見える。


まあ星が見たかったわけじゃなくて単にゆっくり話す口実が欲しかっただけなんだけどね。


周囲に魔物の気配はないしもし来たとしてもこのメンツに勝てると思うか?


傷まみれとはいえ全員がかなり強くなっている。


魔物程度では相手にならないだろうな。



「今日は新月だな。月が見当たらない」


「そうね。これじゃあ月見団子が食べれないじゃない」


「時期的にはまだ花見のほうじゃないかしら?」


「あら?そうだっけ?」


「適当な空間でいいじゃないですか。私は人生初なんで非常に良い体験となってます」



なんか繋がりおかしくね?


多分死んでまで戦ったから疲れてんだよなそうだよな。


そう思いつつ私も夜空を見る。


これは確か大晦日の山頂以来だ。


あのときも楽しかったよなぁ寒いからやめろとか話してたっけ。



「私たちは…何してんだろうな」



突然無無が呟いたが誰も茶化すどころか声も発さなかった。


多分今回の一件で全員が思ったのだろう。


なぜ私たちは強くならねばいけないのか、一体どこから歯車が欠けて空回りし始めたのか。


多分世界が崩壊したあのときより後に私たちが自主的に壊したのだろうけれども。


わかってはいるが、分からない。


これは決して矛盾的な内容ではないだろう。


もっとわかりやすい…例えるならば生きる意味を思考するときと似ているだろう。



「いろいろ考えたくなるわよね。でも思考というのはよくできている。解答を模索するほど新たなる疑問が倍数的に増えてしまう。ツリーのような特性を保有しながらも親ディレクトリは非表示。だからこちらで親元に新規作成をしなければならないわ」


「だから私たちは考えなければならない、考え続けなければならない、かな?」


「そういうことよ。単一な複雑回路を読み解くのではなく複数の簡易的な回路を読み解くか壊していけばいい」



なるほどな、その点でいくと雪梛という少女がいかに異質な存在家がよくわかるな。


確か世界が崩壊した際にもここは価値ある場所へと変化したとか言ってたな。


つまり雪梛は破壊どころか永遠的に作成を続けているわけか。


世界と総括者ともなればそのぐらいのスペックは必須かもな。



「難しい話は分からないけれどせっかく大ごとに一段落ついたのよ!もっと気楽にenjoyしましょうよ!」



いつの間にか雪が飯の支度を終えていた。


まあそうだよな、息抜きは必要だもんな。


とりあえず当たり前みたいに張り付いてきた相棒をよそに円形に囲む。



「ほんじゃあみんなお疲れちゃん。なんか20話?ぐらい来ないとか言ってたから多分1、2ヶ月はゆったりできるだろうよ。死ねない生き地獄を巻き添えで楽しもうぜ!それじゃあコッブ持って〜」


「「「「「かんぱーい」」」」」



あーやっぱこいつに限るぜ…炭酸水。



「ここ最近負けすぎてまじでしんどかったわ」


「な。あんなバケモンが他世界は大量とか」


「私はいい体験だったと思いますよ。ようやく中途半端な立ち位置から弱者になれましたので」


「あーうまい、うますぎる!死んだ後に食う飯は美味いな」


「私というメインディッシュを食べたのにまだ食べるのね」


「妙な言い回しするな!?あれは…そう!娯楽…ではなく…なんて言えばいいんだ?」


「満たされた、とかでしょうか?」


「それだ!ナイスだ梛木」



ん?結局おかしくね?


これまでの常識どころか知識がほとんど通用しなかった日々もカンマが付けられたようだ。


でも魔法かぁ、ロマンは感じるけど使い始めたらいよいよ終わりなんだよなぁ。


人が減って核となる人間が消失した色の無い世界。


鮮やかさを感じないからこそ感情に色がつかない。


ついたとしたらそれは…気味が悪い色だろう。




任せなさい今だぁ!


左前脚切り取り成功!


これは凄いわ、見える見える。


前方の木裏から左ね背後1メートルからは飛びかかりだから回転斬りで下方向からの飛び出しは飛び上がって空気弾あはははははははははははは…


凄まじい勢いでの殺害を行いどんどん気分が良くなっていく。



「ほら、立ち上がりなさいよ前足がなかったり手がなかったりするだけよね。もっと足掻いて苦しみなさい!」



これだから群れにとつるのはやめらんないのよ。


もう少しまともにやりたいなら変異の大型でも連れてきなさい!


ん?あらもうこんな時間。


話し込んだ主婦さんみたいな反応しながらも流石に昼の時間になるから特別サービスするしかないわね。


獲物が狩人の言葉を信じるなというのもあるしいいか。


少々名残惜しいが…近づいて心臓にナイフを刺して出血多量、次は肺を破裂させて呼吸困難、口にナイフ突っ込んで血で窒息狙い、胃に穴を空けて胃液で死になさい、あら窒息は無理なのね新しい発見のお礼として首を飛ばしてあげるわ。 



「さすがと言わざるおえない手際だな。瞬殺時でも即死はさせないんだな」


「簡単に死なれたら、悔しいじゃないですか」 


「知らんがな」



そろそろあの子の方も終わった頃ね。



「あれから一ヶ月…私たちは頑張ったわ」


「あほかまだ初日だろ。こっちも終わったところ」



噂をすればなんとやらね。


梛木はなんか自室で麻雀ソリティア極めますとか言って引きこもってたし帰るとしようか。


赤く染まった私と相棒はさっさとシャワー入りたいものね。


自宅になってしまった魔王城に帰り飯を食って雑談をする。


そんな日々が始まって一週間ほどの時間が経過した。



「なあ、ちょっといいか?」


「奇遇ね。私も言いたいことがあったのよ」


「「暇だな」」



そうよ本当に暇なのよ。


暇というかなんというか今までの戦闘のせいで私たちは思っていた以上に強くなってしまったようなのよ。


まるで世界が変わったかのように魔物との戦いが面白くなくなってしまった。


あれだけ脅威だった変異個体も今では雑魚もいいところ。



「なんかあれよね…異世界行きたいわよね…」


「そう、それはそうなんだがそれこそ雪梛の思惑通りでちょっとやりたくないというか」



私たちは別に雪梛のことを嫌っているわけではないのよねそれこそあれだけ素晴らしいものを持っている人を感心しないわけがないのだけれども。


でも人の仕組んだとおりに動かされたら嫌じゃない!しかも事前に予言されていた通りとか特に。


そこで私は一つの事実を思い出した。



「そういえばこの世界にも雪梛が配置されているのよね。どこにいるのかしら?」


「確かに」



考えてみればおかしな話よ私たちの最近の活動はかなり広範囲なものだったのに存在どころか痕跡すら見つからないなんて。


そうなると残すは地下、上空の二択…上空?


そうだ!あそこしかないわ!!!



「まさか場所が分かったの?」


「ええ、もし本当にいたらよっぽどの灯台下暗しよ」


「た、大正デモクラシーだって!?」


「全然違う」



とりあえず魔王城に帰還して全員の準備を終えた。



「どこへ向かうんだ?全く予想がつかないんだが」


「一人用のポットかしら?」


「私も射出させることできますよ」


「まあついてきなさい、多分すぐ分かるわ」


「すっげぇわかりやすい。はっきりわかんだね」



もはや感覚でも行ける場所なので地図も思い出さずに歩き出す。



「あぁ、なるほどね」



流石ね、行くわよ第一支部。


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