拳は大岩砕いたりクレーターを作り上げたりできるからな
き…綺麗だ…
死に際に微笑んでいるように見えたが恐らく気のせいではないだろう。
二輪の花が場を彩る。
デジタルアートのようにも、ステンドグラスのようにも見えてしまったこの風景。
あの一瞬がまるで時を止めてしまったと錯覚するほど私にはあの光景が見えている。
最近は色濃く感じることができなかった愛と言うものを再確認させるべく仕組まれたイベントであったのだろうか。
「互いが見ていた空間が 個体から液体へと変化を遂げた 固定的な視点 単一の次元からしか見えていなかった景色が 広がりてゆき侵食する 現実と虚実が混ざる一時 止められたかのような一時 動き始める広がる視野を あなたたちは どのようにして 現実へと引き戻すかな」
雪梛には一体何が見えたのだろうか。
つぶやくように紡ぎながら、虚空一点を見つめながらそんな詩のようなものを詠みあげた。
くそ、私にはあんまりにも難しすぎるのはわからねぇよ…
「大丈夫だよ。私達知的生命体には個人の考えが発生する。偏見でしかない主観的視点でしか見れないこれらに回答はあれど正解はあり得てはならない。まあ、思ったことが大切ってだけだよ」
なんだかよくわからないがとりあえずいいか。
「とりあえず開始しよーぜ。私達はどうせこっちのほうが性に合ってるだろ?」
当たり前だよなぁ。
ナイフを1本引き抜き、先程の光景で仕上がった欲望により基礎体を発動。
「すごいな。まさか羅刹を超えるレベルの潜伏が見れるとは」
「バトル開始だぁ。頼むから瞬殺されてくれるなよ?」
「たりめーよ」
さて、こいつは何をしてくるかな。
とはいえ様子見をするのは私のスタイルに合わないから初手から行くぞ。
まずはベクトル変更を待機させつつ平行移動を開始。
宙に力を放出させて微量のダメージでの平行移動を成功させたぜ。
見えにくいし当たってくれよ!
左の手のひらに斬撃だぁ!!!
先端が接触したタイミングで回避されたが当たればこっちのもんよ!
これにより欲望のトリガーがきられたため脳内がクリアになり背後から来ていた殴りを下方向に回避。
追撃の蹴りは左に回転して飛来してきた氷は弾いていく。
すっげぇ楽しすぎんだろ…!
徐々にに心拍が上がっていき血が回り始めたことによる速度上昇が発生。
とりあえず間合いとって様子見だな。
互いに不敵な笑みを浮かべ片方の目は輝き、もう片方の目は虚ろになっていた。
「怖すぎだろなんだその目は。サツに職質されるぞ?」
「そんな無邪気そうな目しながら殺しに来る奴に言われたくないわ」
「やっぱりいかなることでも童心って大切なんだよ」
「戦闘狂と子ども心をまぜんな少子高齢化まっしぐらだぞ」
見えない軸を中心に対角関係を維持しながらゆっくりと歩いて回る。
絶対まだまだ本気じゃないだろこいつ勘弁してくれこちとら全力もいいところだわ。
「せっかくだから私も羅刹に教わった魔法で攻めてみるか」
出たなファンタジーでも雪梛のやつ一回見てるからなぁ。
そう思っていたらなんか出てきたこれはわかるぞ!
「闇魔法。触れると死ぬぜ?」
「ふざけんな」
じゃあどうすればいいんだよ!!!
まてまて初手から何個飛ばしてんだこいつ!?
いきなり八個だしおっと…そうだよな避けても追尾するよなぁ。
追尾型即死みたいな魔法を当たり前みたいに飛ばすなよ…
試しで投げナイフ…ん?弾いたぞ?
「流石に闇はずるいからね。私の方で特性を固定させてもらったよ」
朗報:救世主現る
そうと分かれば接近してから…この角度じゃ!
八連鎖だぜ、ふぅ、きもちぃ!
「マジかよ連鎖決めやがったぞ」
「お返しだぁ。受け取れ」
投げナイフ1本からの空気弾、接近してから空気弾をもう一度撃って今だぁ!
限界まで姿勢を低くしてから足首もーらった。
予想通り反応が遅れてくれて骨の手前まで入ってくれたようだ。
「こちらお返しの拳です」
「は?」
どんな反応してんだよ!!!
足ぶっ刺したから多少は反応するかと思ったのにぐはぁ…
骨にひびが入る感覚とともにとてつもない吐き気が襲い掛かってきた。
てかどんな威力してんだよただの殴りだよな!?
なんとか離脱してナイフを二本持ち。
「おかしいなぁ、私の知っている拳はせいぜい内臓にダメージ与える程度なんだが…」
「そいつは認識を改めたほうがいいぞ。拳は大岩砕いたりクレーターを作り上げたりできるからな」
終わってんだろ…
「さて、遊びはこのぐらいでいいだろ?私も…俺も全力で行かせてもらう」
裏人格持ちとかまじで主人公キャラかライバルキャラじゃん。
「遅いぞ」
「は、ぐっはぁ!?」
いつ移動したんだよしかもその動きは私たちの十八番だぞ。
絶対骨二本ぐらい逝ったわなめやがって…
立ち上がった瞬間に追撃が上!
全速力で回避だ!!!
なんかドコーンとか拳から聞こえていい音とは思えない音鳴ってんだが異世界にでも転生したか私。
「さあ、お前の最大出力、ロマンを見せてみろ!!!」
「上等だぁ、やってやらぁ!!!」
立ち上がりながら脱力をして終わった瞬間に一瞬だけ力を入れて平行移動。
即座に脱力をしてよしきたこれで砕け散っとけあほがぁ!!!
『桜花乱れ裂き』
入った瞬間に手ごたえあったぞ…完全に砕いただろ。
こちらも半壊状態だが戦闘終了だはっはっはどうだみたかこの出力!!!
「はあ、はあ…」
「は?」
え?なんで生きてんだこいつ…
「危なかったぞ、今のは俺の状態じゃなければ死んでいた」
「あ、終わった」
「お前のロマンは見せてもらった。次は俺のロマンを見せてやろう」
なんでここ最近はこんな変人としか戦えねぇんだよ負けてたまるか動けよ身体ぁ!!!
なんか体ねじって力ためてるし、そうだまだあれあんじゃん!
痛む身体をなんとか無理やり動かし重心を低くしてナイフを握る。
「この拳にぃ、命をかけろぉぉぉぉ!!!」
「…一枚」
『プレスボム』
接近するごとに肌で感じられる威力 目で追えずとも感覚的に把握できる現状 肉体を酷使しながら突き進む私は 一体 何を求めていたんだ
「へ、へっへ、わたし、の、かち、だ…ぜ…」
もうちょっとまともなもんを挟んでくれ…




