もうダメなんですよ…あと一本が切れたら自殺ものです…だから!!!
ほうほう、まさかあの欲望を知らなかった梛木が魔王とは面白い展開じゃぁないか!!!
まさか知り合いが魔王になっているとは思わず顔が少々ニヤけた。
前回の魔王には歯が立たなかったからよぉ…ボコボコにしてやらぁ…
「なんだか殺気を感じるんですけど気のせいですよね!?」
「安心なさい梛木。魔王になったんだから自衛ぐらいできるわよね⭐︎」
「あ、この人助ける気ゼロだ…」
そんな茶番をしながらも部屋の内装を確認する。
前回からの変更点はほとんどなくところどころ飾られているものが違うぐらいだ。
この辺は個人の趣味による変化でないので問題はない、問題はあの試作品の武器庫だ。
雪梛の試作品が大量に残っていたりでもしたらそれこそ危ないぞ…
本人は適当に作ったとか言っていたがおそらく別世界での運用が難しいもの、面倒なものをこの世界で作っていたのだろう。
多分気づいていないだけで何回かすでに死んでたんだろうなぁ。
「そういえばこの建物には武器庫がなかったかしら?刀とか銃とかが飾ってある」
おお、いきなりぶっこむじゃねぇか相棒よぉ。
「うーん、そのようなものは見たことがありませんね。しかし一つだけ開かない部屋がありましたのでもしかしたらその場所かもしれません」
「ああ、わかったわ。急に話が変わるのだけれども少し手合わせ願ってもいいかしら?後ろの英語を稀に喋るアホがうずうずしてうるさいのよね」
「そこで私!?いや実際友達と戦いたくて戦いたくて仕方がないのだけれども」
というわけで戦場に移動した、まあとは言ってもこの部屋からほんの少ししか距離ないんだけどね。
全く変わらない鍛錬場を懐かしく思いつつ今回は珍しく初手雪からスタートのようだ。
「こうして間合いを取り合えうのも懐かしいですね。初めて会ったときを思い出します」
「そうねぇ。あんな小娘が今や魔王とは…贅沢な地位だね!」
「神隠しかっ!」
流石は無無だ、ツッコミを忘れない。
「相変わらずの雰囲気ですねふふ」
そう笑った瞬間に場の空気が一気に変化した。
流石の雪も真剣身を増して梛木を見ている…いやこれ欲望が発動している感じか?
「さあ、全力できなさい。大丈夫私たちは死んでも死なないから」
「では遠慮なく行かせていただきますよ…」
ほう、なかなかに面白いスタイルだなぁ。
携帯している刀を抜かず手のひらを雪に向けて身体を捻りながら拳を握る。
この時点で無無含めた全てのやつが梛木の行動を理解してしまった。
ああ、すまねぇ梛木…もしかしたら二番煎じってやつかもしれねぇ。
「はっ!」
気合いの入った声とともに予想通りすぎて拍子抜けしてしまいそうな空気弾が雪の顔目掛けて飛来して行った。
無論こんなものに当たるほど雪は甘ちゃんではない、それどころか何しようとしてんだあいつ…
いつのまにか溜めていた力を空気弾の下方向から突き上げて空気弾を上空に飛ばした、だめじゃね?
外であったら問題なかっただろうがここはあの魔王が作った戦闘部屋だ。
「ふぎゃ!?」
「え?え?えぇ…」
「はっはっは!!!何してんだよ雪はっはっは!!!」
もちろん天井に跳ね返されて脳天にぶち当たるだろなあははははははははは。
「いってぇ…すふぉいじゃないか梛木。このわらしに一撃ぶち込むなんて」
「の、脳にようやく異常が…」
「ようやくってどういう意味かしら!?」
「それは内容を簡潔的にわかりやすく説明したもので」
「要約じゃないわぁ!!!」
だめだ、こいつじゃ話にならん…
雪は早々に脱落(強制)させて頼んだぞ無無…
個人的にもこの無無の欲望は興味があるだがそれ以上に相棒に興味がある!!!
「かっこいいだろ刀、これはとあるバケモンにもらったもんだ」
「まさかあなたも戦えるようになったとは思いませんでした。でも実力は伴っているのですか?」
「もちろんだ。お前も知っているだろう?しぶとさに関しては雪にも負けんぞ?」
おお、なんか隠れ強キャラみたいでかっこいいな!
すでに間合いはとられており梛木は柄を握る。
よくいつもの表情でいられるよなぁこいつ、現状は絶望的だってのに。
気づいた時には梛木が無無の背後にいた、嘘だろ私も見えなかったんだが…
その瞬間に無無の胸が切り裂け血が吹き出したが一瞬で血が出なくなった!?
「はっ、それで殺したつもりかぁ?」
「ど、どういうことですか…」
そりゃ困惑だろあの斬り方されてなんで生きてんだよ…
「私の特技、忘れたとは言わせへんで」
ああ、あの超高速応急処置ってそんなことがあってたまるか!!!
多分切られた瞬間に止血やら包帯やら回したんだろう途中で瀕死になった瞬間に欲望が発動したと考えれば無理ではない…のか?
とりあえず欲望の発動が成功したようだねぇ。
「さて、まずは一本やってみよか」
そう告げながらどこからかナイフを取り出して投げの形をとった。
ほほう、投擲物を使用するなんて面白いねぇ。
身体をしならせて片足をあげ体重移動を行い溜めたエネルギーをん?上げた足に移動?
その足が着地したと同時に一気にエネルギーが開放されてなんか自分ごと飛んでいったんだけど!?
流石に体重移動の時点でバレていたのかこれには動じずにナイフの先端に刀の先端を合わせたようだ。
「だろうな」
「!?」
まさかこれをしてくるという確信があったというのか?だとしたらよほどの賭けだぞこれ…
ナイフという中継媒体から反作用というエネルギーが帰ってきた瞬間に体内でエネルギーの逆ベクトル変換を行なって抜刀を行い梛木の胴体を横薙ぎしはじめた。
面白いなぁあいつ、まあこれに対処できる梛木の欲望も気になるんだけど。
胴体をほんのり切られながらも反射を利用して切り抜け…まあこの程度か…
一度距離をとって両者の間に描写的な風が吹く。
「やっぱりみなさん強いですね。ほんと、なんでこんなに私はダメなんだか…」
「自虐か?魔王にまでなったのに?」
「なぜでしょう!なぜ私は中途半端しか得られないのでしょう!!!いつでもどこでも今でも!!!」
ん?流れ変わったぞ…
目がどんどん虚ろに…いやこれ泣いてるだけだろ…
新しい魔王が初戦で泣き始めるとか前代未聞だろいや魔王をボコボコにしようとしている私たちも大概だが。
「もうダメなんですよ…あと一本が切れたら自殺ものです…だから!!!」
「おうこいや全力で叩きのめしてコアにぶちこんでやるよ中心人物がよぉ!」
本領発揮といったところか…どういう条件の欲望だこれ?




