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殺したいほど愛してる  作者: 雪梛


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happy new year

部屋に行くと雪梛が何やらものを取り出していた。



「なんだそれ?なんかの装置に見えるが」


「こいつは後でのお楽しみってやつだよ。さあ準備をして外に行こうか。夜空が綺麗に見えるいい場所があるんだよ」



ほう、つまり輝かしい星空に照らされながらこの子を撮影できるということね最高じゃないすごいわね大晦日。



「いやそれは大晦日関係ないと思うわよ?」


「何の話してるか知らんが時間がないらしいから早くいくぞ」



無無の言葉通り時計を見ると残り時間はあと二時間ほどとなっているようだ。


まあこんだけ時間あれば雪梛ならこの世界一周してきそうだけれどもね。


扉を開けて前にいる複数の背中から一つの背中に勝手に足が動いていきそのまま抱きついた。


柔らかい感触が全身を襲いああもう最高ね一生抱いていていいかしら?



「あったかくていいねぇ。そのまま背後からなら抱き着いててください最高です」


「あら?正面からはだめなのかしら?」


「何されるかわからないから恐ろしすぎるんだわ…」


「私たちも見せつけるしかないわ!」


「こっちみんな変態」



和やかな雰囲気の中建物から出て雪梛を先頭にとある場所に向かった。


思ったよりも冷えるわね、こうなったら伝説のあれをするしかないわ!!!


何でか今日はネックウォーマーではなくマフラーを巻いてきているのでそれを自然体を発動しながら瞬時にほどいて相棒に回す。


自然体の効果で触れているものの気配も消し去ることができるのでまんまと引っかかった相棒にぐるりと回しながら私もその円の中に入るわ!



「何事!?」



びっくりしてリアクションタイムが発動している今がチャンスだわ!


そのまま巻き終えてかわいらしいリボンの形に結び自然体を解除した。


頬がくっついていて最高過ぎるじゃないなんだこの娘は!?


流石に以前ほど赤くはならないようになったのかほんのりと接触部分から温かみをもらいながら私は表情を変えずにクール感を出していくわ。



「あ、あの、これはちょっと恥ずかしいんですが…」


「大丈夫よ。裸体で同じ布団に入っていたぐらいだし問題ないわ」


「え?そんなことしてたのか?」



あ、そういえばあれ誰にも現場見られずに済んでたんだったわ。


急に場の雰囲気が凍ってきてと思ったが案外全員納得しているような雰囲気を出してくれたようだ。


確かにそうね私とこの子の間に服などという緩衝材は不要よ!思いっきり素のままパッションをぶつけあえるような関係じゃない!



「いや裸で布団は言ってたのはだね?風呂場で変態に襲われて相打ちしたから雪梛に運ばれただけであってなにか特別な行為をするためにそのような事象をおこしたわけではない!!!」


「安心しろ。お前らならだれも不思議に思わないから」


「全然わかってないな!?」


「ほら着いたよ。あと雪眼の話は本当だよ」



さっきまで気にしていなかったあたりを見渡すと森と平原の境界線が出来上がっていてかなりいい空が見られそうだ。


てか天気が悪すぎるわね今にも雨降りそうじゃない…



「天気が悪いわね。どうするのかしら?」


「安心して。今回は私が一枚脱ごう」


「露出狂か?」


「一役買おうってことだよ」



付近からでかめの岩を選択するとそれを持ち上げてこちら側にもってきた。


雪のほうに雪梛が視線を向けると何を感じ取ったのか知らないが雪がその岩を持ち上げて上空に放り投げた。


な、なにがはじまるのかしら?


上昇を終えた岩がぐんぐんと雪梛のほうに落下していきエネルギー量を増やしていた。



「今から晴れるよ」


「え?」



雪梛が構えていた掌に岩が接触した瞬間にまるでそれが当然の法則化のように上空に高速で吹っ飛んでいった。


そして数舜後に上空の雲が一か所だけきれいに晴れていた。


雲に囲まれながら星たちがこちらをたたえるかのように光り輝きほんのりと空間の光度が増したような錯覚が発生した。



「すごいわね。てか手どころか腕までバキバキよね?」


「これが本当の粉骨砕身ってやつかな。蕎麦は無無に持たせているから早速食べようか」


「この中身って蕎麦だったんだな」



しょっていたリュックをおろして中からタッパーを人数分取り出した。


そして雪がいつの間にか持っていたシートを敷いて全員で仲良くそばの食事会となった。



「うまい…」


「うまいけど…」


「寒すぎるわ!!!」



あ、無無がつっこんだ。


とはいえこの温度帯だと寒いわねまあ私は相棒という暖房設備があるから問題ないけれども。



「こっち向いてー」



隣の相棒からそんなこと言われたら速攻向くしかないわよねそうに決まっているわ。


というわけで左側にいる相棒のほうを向いてその瞬間に顔がこっち向いているのを把握だけして理解を怠った。


そんなあいまいな状態だったのでとか言っている場合じゃないキスってことかしら!?急に積極的ね!!!


予想通り顔と顔が合わさって食事機能部分が接触を開始したのだがあれなんか入ってきているわよ!?


これはもしやゲームでよくみる口移しとかいっているばあいじゃなああああああああああああい!!!!!!??????


もはや感覚がすべて破壊されてしまい目を回してこのままダウンというわけね最高な人生の終わり方かもしれないわ…





よっしゃああ私の勝ちだぁあっはっはっはっは?


現状をいったん確認しよう何がおきんだ…マフラーで欲望値が徐々に上昇していき飽和状態に達してそのまま制御された基礎体はつどうその後の記憶はどうなっている!?


目を回した相棒、私の口の中に少々残っている蕎麦と相棒の唾液、これはあれだ…いわゆる口移しってやつだ…え?


ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!


何してんの私の基礎体!?


もはや今更感が半端ないが一気に顔が赤くなっていき心臓が破裂しそうなほど高鳴ってきた。


マフラーが緩くて助かった今もくっついていたら絶対基礎体がライン超えてただろ…



「お、お熱い二人ね…はは」


「たのむ!頼むからそんな冷めた目を向けないで!!!」



冷えているのは蕎麦だけだったはずとかいらん事言っている場合じゃない。


ああもう暑すぎるから一枚脱ごうそうしようそして冷やして落ち着こうじゃないか。


来ていたジャケットのジッパーを開けて脱いで立ち上がった。


吹き付けてくる風が非常に心地よくどんどん思考がクリアになっていく。


脳内を支配していた欲望もどんどん抜けていきよし平常まで戻ってきたな。


冷やし過ぎないようにするためにきなおそうかってどこ行った?


先ほどおいたジャケットがないので周囲を見回してみたところなんか相棒がいつの間にかかぶってんだが…


気絶状態でその行動ができるとかどんだけ私を求めてんだよ…悪い気は全くしないそれどころかいい気分だ。


だが寒いもんは寒いので冷え切る前に相棒から上着を奪取してきなおした。



「私が顔をうずめていた相棒が消えた!?」



あ、起きたな。


変なこと言いながら起き上がるとこちらを見てきたがいつもの表情を変えずに蕎麦を食べ始めた。



「そろそろ時間だよ。年が明ける瞬間だ」


「あと一時間後じゃないのか?時計通りならそのはずだが」


「あの時計一時間ずらしてんだよね。いたずらで」


「最悪すぎだろ…」



あと五分で年が明けるのか…こうして待つと案外楽しいもんだな。


五人の狂人が世界の変化の瞬間を同じ場所から同じように待っている。


思ったよりも雲の浸食が速いようでそろそろ完全に曇ってしまいそうだ。



「今年もいい年だったわね。あなたと恋人というかもっと深く歪んな何かになれたし」


「来年もよろしく頼むぜ相棒」


「もちろんよ。いとおしくてたまらない相棒」



時刻が流水のように流れていき雪梛が少々離れた位置に最初に触っていた装置を配置した。



「今年は様々な事象が起こったね。大都市どころか人類の大半の崩壊、気象の変動、そして欲望の変動。草木のすれる音が同じに聞こえてしかし確実に違う音だと感じるように、私たちの関係性も固定的な見た目で変動的なものとなっている。変動の先をどう操作するかは私たち次第ではあるがそれもまた面白味のあるゲームだね。終わらないようなこのゲーム、電源が切れるまで遊びつくそうじゃないか。というわけで年越し十秒前」



周囲から急に風が消えさり静寂をかいたような空間が急遽出来上がった。


あと三秒というところで雪梛が片腕を前に出して年越しの瞬間に指を鳴らした。



「happy new year」



そう告げた瞬間に背後では黒みがかっている赤色の花火が上がった。

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