こいや…目にもの見せてやらぁ…
「負けないわよ!いつもボコボコにされているけども」
「いやむしろここで負けてあいつと戦いたくないかもしれない…」
「まあ…わからんでもないわ…」
今回は雪がサーブだけどまあなんとかなるだろ。
「えーい」
気の抜けたような声を出しながら今までの戦いとは違い緩いサーブを打ってきた。
ちょっと困惑しながら私も同じぐらいの勢いでハネを返した。
「いまだぁ!!!」
「何事!?」
ニコニコしていた雪が急に重心を低くしてから斜め上に飛び上がり熱烈なスマッシュを撃ってきた。
安心しろ、少なくともさっきの雪梛超えの速度ではない。
自然体を発動して落下予測地点に瞬時に辿り着ききっちり返した。
「おかわりだぁ!!!」
叫びながら撃ってきているがそこには既に私がいる。
着実にスマッシュを全て打ち返していき一手を待ち続ける。
てかこいつ耐久性高すぎだろ何発か顔面当ててんのにまだダウンしないのかよ…
あ、ミスった。
こんなのの顔面を気にした瞬間に打ちやすい高さへと撃ってしまった。
「ボールを相手のゴールにシュュュュト!!!!」
「さぁせるかぁぁぁぁ!!!!」
雪の姿勢からスマッシュを撃ってくる位置を予測してそこに移動した瞬間にラケットを両手で持って一回転を開始した。
そして私のラケットがちょうど面を向けた時に雪が放った弾がそこに向けて飛んで来ていた。
もはや勝ちを確信しながらフルスイングの打撃を予定調和のように雪の顔面に飛ぶよう飛ばした。
「ぐはぁ!?」
「は?」
なんかおでこでいい感じのところに打ち返された…やるしかない!
「届け、私の思い!!!」
「届かないで!?」
気持ちが良すぎる一撃が私の触感を襲ったかと思うと雪の頬に一直線に進んでいった。
「うぎゃ!?」
まるで人をダメにする椅子みたいに沈み込んでいったかと思うとネットにハネが飛んでいった。
そしてころんと落っこちてこれで決着がついたようだ。
雪…お前はいい奴だったぜ…
「か、かろうじて、死んでないわ…がくっ」
「ユキー」
「そこは棒読みじゃダメでしょ!?」
なんだ、余裕じゃないかこいつ。
普通に立ち上がってきたと思うとすぐに部屋の端っこに移動した。
そして王の前に行くと、なんか一瞬で応急処置が済んだんだけど…
今の一瞬で確認、消毒、止血、包帯という四工程の四皇帝を済ませたというのか!
てか私がハネもっとけば問題なくない?
よしいい案だそうとなればハネを回収してサーブはこっちのもんだにすればよろしいというわけですね。
というわけで回収してさっきの場所に戻るとすでに雪梛が反対側で構えていた。
「全力できな。甘かったら殺してやる」
「対戦相手の殺意が高すぎなんだけど!?」
殺してやるだけトーン下げて言わないでもらえますか怖すぎて雪が漏らしますわよ!?
「誰が漏らすか!!!」
「あんなにボコボコにされたのに余裕そうね…」
まあとりあえずこいつらは無視しよう…勝負開始だ…
ハネを上空高くに投げてから斜め方向に回転するようにジャンプをしてエネルギーの増強を行いそのまま面のど真ん中で弾を捉えた。
カン高い音を響かせながら返せないだろと思うような場所に綺麗に飛んでいきそのまま着弾したかと思った。
「いいショットだね、これでこその戦いの幕開けって感じかな」
「こいや…目にもの見せてやらぁ…」
いつもの外見的瞬間移動で着弾予定地点に移動した雪梛が鋭い一打を返してきた。
コートアウトが無いため反応できなかった時点で試合…死合終了が決まる。
弾丸のようなハネを的確に自然体が感知して移動と共にラケットを振るう。
おっっも!!!
どんなエネルギー量してんだよ砲丸か!?
腕の力とスナップでは返せないので身体を捻って威力を高める。
同速で返してよしとか思ったら返してくるの早くない!?
速いのではなく早いのだ…いや私自身何言ってんのかわからんが…
とりあえずその状態で文字通り死にかけながらラリーをしていたんだがこれあれだわこいつ最前線で返してきてんな。
速度感から感覚的に計算したがおそらくそうで無いと辻褄が合わないだろう…
弾を撃った瞬間にもう既にどこかしらに返されているのでなんとか対策せねば…
上空にあげたらあのやばいスマッシュくるしかと言ってこいつからチャンスボールが来るわけがない…考えろ…!?
「アーミスッチャッター」
「きぃめぇてぇやらぁぁぁ!!!!!」
俺のラケットが真っ赤に燃える!!!
勝利を掴めと、轟き叫ぶ!!!
「ゴォォット、フィンガァァァ!!!!」
「そこは指なんだね…」
回転はせずにただひたすらに打ち込むことに集中したこのスマッシュを喰らえ!!!
弾が射出された瞬間に先ほどよりももっと高い音が鳴り響いて雪梛に飛んでいった。
もはや弾丸を超えている速度で!対象にひたすら真っ直ぐに突き進んでいき!!顔面にぶち当たってくれぇぇ!!!
「headshot」
「は?」
なんか飛んだと思ったら頭で打ち返してきたんだけど!?
「はーっはっはっはっは…」
雪うるさいわぁ!!!!
あまりの予想外すぎる展開に焦ってミスショットをしてしまった…
「アタックファンクション」
「まだ…まだ負けねぇぞ…」
上空に雪梛が飛び上がりラケットを縦向きに構えた。
「コスモスラッシ⚪︎」
「今だぁ!!クロ⚪︎カウンター!!!」
一瞬弾が切れたかと思ったがちゃんと飛んで来てくれたのでカウンターだぁ!!!
肩が外れるほどの衝撃を受けたが同速で跳ね返したぞ!!!
その瞬間に雪梛が笑ってラケットを上空に投げた。
そしてそのまま握りしめた拳を振り始めてあ、これ終わったわ…
「ゴット、レ⚪︎イエム」
弾が拳と接触した瞬間に私の髪の毛を少量散らしながら突き抜けていきそのまま地面にめり込んだ。
おそらく着弾時の摩擦で一瞬のみ発生したであろう火が白い煙をあげて敗北を知らせてきた。
地面にどんどん落下していく雪梛が笑いながらこっちを見ているがもうやばいわこいつ…
「ふぎゃ!?」
「え?」
着地した瞬間に崩れ落ちていきなんか仰向けに倒れた…
「ほ、骨が、終わった」
「は?」
どうやら両足の骨がバッキバキに折れてしまったようなので立てないようだ…なんでそこまで動けんだよ…
まあもう既に運ぶ人は決まっているし帰るとしようか。
雪が息を荒くしながら雪梛の方に高速移動すると覆い被さった。
「ちょっと待て誰か!この変態を気絶させろ!!!」
断末魔のように響いたその声は扉が閉まる音に上書きされてしまい音信号としてしか響かなかった。




