この思いが撃たれし時に あなたは 何を思うかな
負けるわけにはいかないんだよ!
対する王はなんだか余裕があるかのように笑みを浮かべてこちらの様子を伺っている。
「そんな装備で大丈夫か?」
「大丈夫だ、問題ない」
「…ハネぐらい持ってから言って」
「あ…」
さっきまでの張り詰めた空気が一気に抜けてしまい風船のように萎んでしまった。
雪梛からハネをもらい後ろに下がって準備をした。
「よし、いつでもこーい」
「いくわよー!」
高々と羽をあげて私も飛び上がり相手の脳天に斜め45°のストレートだぁ!
ラケットとハネが接触した瞬間に保有されていたエネルギーが移行を開始して装填されながら空を切り裂き脳天というただ一つの目標に向かって突き進んだ。
「はっ」
しかし慌てることなくきっちり対応して跳ね返してくれたようだ。
あれ?ちょっと痺れてそうに見えるのは気のせいかな?
取り合えず宙を舞っているハネを軽く打ってコートに返した。
「日頃のぉ、恨みぃ!!!」
「なんか気合いの入りようがすごい!?」
回転しながら飛び上がって回転時に発生するエネルギーを統一エネルギーに変換してラケットという媒体を通してハネに当てる。
面のど真ん中で捉えた弾が音を上げながらコートの端っこに進んでいく。
それで勝てると思っているのか?
「甘い」
「何!?」
ラケットを右手から左手に持ち替えて横に飛びながら回転して下にラケットが入るように調整しながら拾う。
これのおかげで上空に結構上がるから体勢を立て直す時間ができるんだよねぇ。
流石に短期決戦は無理だと思ったのか両者鋭い弾を射出してラリーを開始した。
意外とこいつも動けるなぁ。
かなり厳しいところもきっちり拾ってきているので宣言通り足元すくわれそうだな。
だがしかし、行動の最適化の割合量が違いすぎる。
「!?」
「もらった」
集中力か技量が足りなかったのかミスショットをしてしまいきたきたチャンスボールだよ!!!
「ティロ…」
「それはまずい!!!」
「フィナ⚪︎レ」
先ほどまでの速度とは格が違うものすごい威力を保有した弾がこいつの足元に着弾した。
破裂音と間違うほどの異様な音を響かせて戦場に試合終了の合図をしてくれた。
「いい戦いだった。勝てると思ったんだがな」
「いや思ったよりも強くて正直びびった。やっぱりおまえ一般人じゃないだろ…」
「はっはっは、まあこれでも元王だからな」
ハネを雪梛に渡して私たちは端っこにいるか…雪梛側にいるか。
もうこいつがどんなことするか大体わかったので避難しておいて損はないだろう。
あら?相棒が反対側行っちゃったわ…
ちょっとしょんぼりしながらコート内に入ったがその瞬間に理由が多分わかったわ。
殺し合いをするわけでもないのに死の危険性を多量に孕んだ目の前の人物がなんだかでっかく見えるわ…
「ただのスポーツ、遊びだと思った?…こいつは遊びじゃねぇぞ」
やばいと思ったその瞬間に雪にナイフを投げようと思ったのだがあいつ相棒の後ろ隠れてんじゃない!
アホでも学習することができると感心しているのも束の間既に雪梛が始めたくてうずうずしている。
絶対このバトミントンが好きだったのねじゃないとこの本気度は恐ろしすぎるし考えられないわ…
な、なんか詠みながら動き出したわ!?
「黒き世界に添えられて 希望が反転欲望前転 世界の異端に選ばれし五人が やがて笑顔にそして悲しみに 複雑に混ざり合っていく因果に抗い 解き組み直し絡ませゆく この思いが撃たれし時に あなたは 何を思うかな」
詠み終えると同時に放たれたサーブは自然体を発動していたにもかかわらず白い軌跡にしか見えずに私の横を突き抜けていったわ…
そして軽快な着地音が静寂と変化していた世界に音という表現を回帰させて時間を進め始めた。
誰もが聞き入っていた、見入っていたこの時間で、誰が何を伝えたかったのか、そして何が伝えられなかったのだろうか。
「こりゃミスったね。私をラスボス戦にすれば良かったか」
そんなことを言いながらボードの組み合わせを消して次の戦いを相棒と雪に書き換えていた。
「ほら、次は二人で楽しんで来な。私の真似してもいいよ」
「できんわ!あんないい感じの詩を詠めというか!」
いやそこじゃないでしょうよ…




