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殺したいほど愛してる  作者: 雪梛


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月夜に照らされてコーヒーを嗜む少女たち

ようやく天空城についてゲートから肉を背負った私と相棒が出た。


疲れている様子はないのだが何やら相棒の様子が少々おかしい気がする。


私だからわかるような超超些細な変化だがそれでも心配だ。


最近戦闘続きで疲れているのだろうか。


相棒の心情を全く気づけなかった禍雪は肉の買い取り場所までついたようだ。



「遅くに失礼するわ。肉持ってきたわよ」



暗い室内にそう声をかけると明かりがついて一人の女性がニコニコしながら出てきた。



「あら禍雪ちゃんいらっしゃい。雪眼せつめちゃんは?」


「もちろんいるよ。こんばんはー」



相棒が後ろからひょっこり出てきた。



「元気そうで何よりだわ。じゃあ肉はここにおいてちょうだい」



いつも通りの量りの上に背負っていた肉をどすんとのせた。


メーターがくるくる回っていきようやく止まったようだ。



「えーと…80kg程度かしらね。いつも思うのだけれどどうやってそんな華奢な腕から力が出ているのかしら?」


「まあ力なんて使用効率の問題だから基礎値はあんまり関係ないわよ」



そんな感じでちょっと会話をしながら査定が終わったようだ。



「じゃあ今回は25万円で買い取るわ。現金はいつも通り口座に入れておくわね」


「助かるわ。じゃあいきましょう」


「ありがとねー」



店を出ると先ほどよりも少し涼しさが増しているようだ。


現在およそ午前の二時半と言ったところだろうか。


月の光に照らされている相棒がどことなくカッコよく感じた。


街頭が増えているためもう既に火は消しているが火を消すと少々肌寒いようだ。


歩いて一分程度で拠点に辿り着き早々に室内に入った。



「お疲れ様。3日目だし流石に寝ようか」



私たちは見ての通り多忙なため寝ずに二日間は動けるのだが3日目に入るとパフォーマンス低下が目立ってしまう。


なのでこの拠点に来て部屋の入り口に就寝中とかけて置いて寝ているのだ。


食事は先ほど肉を食べたためシャワーに入って支度をしてから寝る感じ。



「そうね。先にシャワー入ってきていいわよ。私はナイフの確認をしているから」



手持ちのナイフを取り出し机に並べて消耗の激しいものを選別していく。


金自体はさっきの買取の通りそこそこあるため結構使えそうなものも弾いていく。


本当に使えないものは捨ててまだ切れそうなものは自宅に置いておくようにしているのだ。


普段から持っている本数としては八本ほどで長期戦にも対応できるようにしているのだ。


ちなみにどうやって携帯しているのかというと太もも部分にナイフホルスターを装着してそこに刺している感じだ。


選別した結果今回は六本ほど交換が必要になったようだ。


立ち上がりクローゼットを開けると中には大量のナイフが置かれていた。


そこから何本か持って感覚的にいいと思ったものをとり素振りをした。


そこで相棒がシャワーから帰ってきたようだ。



「おお、やってるねぇ」


「使うものに抜かりがあったら困るもの。終わったらシャワー入るわね」


「はいよー」



ホルスターにナイフを装着していると相棒がこちらにきてクローゼットからナイフを取っている。


距離的には一メートルと言ったところだろうか。


白よりの肌、そして腰程度まで伸びているストレートな黒い髪が非常に美しく瞬時にシャッター音がならないカメラで撮影をしてアルバムにおさめた。


その時デバイスの画面に容量の警告が出てきたようだ。


今度また二TBのマイクロSDを買わないといけないらしい。


相棒はナイフを無作為にとると素振りもせずのホルスターにしまった。



「相変わらずすごいわね。個体差は気にならないのでしょう?」


「まあそうだね。私は基礎の動きで動いているからそこまで支障がないんだよ」



そういうとあくびをしながら寝室に向かっていった。


まあ寝室といっても少し薄めの敷き布団があるだけだがな。


私はホルスターを外してさっさとシャワーを浴びにいった。


脱衣所に入った時何者かの気配を感じたが部屋に入らずに帰ったらしい。


おそらく仕事の依頼をしにきたのだろうが就寝の看板をみて諦めたらしい。


服を脱ぎながらそんなことを考えていたがあの子の匂いがかすかに残っていてそんなことは頭から抜けていった。



「基礎主体の動き…私も習得しようかしら」



私は基本的に動作時は基礎の応用として動いている。


ナイフを突き刺す時は突きの時のみ使用する動作を行ったりとだ。


でも相棒の動きは全く違う。


一度だけ戦ったことがあるのでわかるが動きが自然すぎるのだ。


辺りの石ころを全て把握できないようにまるでそこにあるのが自然という感じの動きなのだ。


私の場合はもはや本能的感覚で捉えられるのだが普通の人間は気づかず体液をぶちまけられる。


相棒に追いつきたいのであればあの動きは必須であろう。


しかし前に聞いてみたのだがどうにも本人が無自覚でやっているようだ。


私はただ接近してナイフで楽しんでるだけと言われた時は流石としか感想が出なかったわね。


シャワー室に入りお湯が出てくるのを確認してから髪を濡らし始めた。


時刻的に少しだけ暗いこの空間が私の心情をほんの少しだけ描写しているような気がした。


お湯を顔にかけて切り替えると髪を洗いはじめた。


少し部屋で動いている気配がしているのでおそらく相棒が何かしているのだろう。


もし待っていたら悪いので少々手短にしかしそこそこ丁寧に洗ってシャワー室を出ると即座に拭いてドライヤーを開始した。


暖かな風が髪を靡かせてなんとなくの心地よさを感じる。


全て終わって部屋に戻ると相棒がお湯を沸かしていた。



「いいタイミングだね。ちょっと焦って出てきたでしょ」


「そんなことないわ」



おそらく普段とは差が三秒ほどであったが気づかれてしまったようだ。


すごいわねこの子こんな変化に気づけるなんてああもうほんと好きよ。


コーヒーのいい感じの香りがあたりを支配していて落ち着いた雰囲気が演出されているようだ。



「月夜に照らされてコーヒーを嗜む少女たち。なかなか絵になる描写じゃないのかしら?」


「いいねぇ。カーテンは開けられないから人工灯に照らされてだけどね」



カーテンを開けると起きていると判断されていつ仕事の依頼が来るのかわからない。


現在もろうそくよりは明るいランタン的なものを使用して灯りを灯しているのだ。


入れられたコーヒーを一口飲んでから一息ついた。



「やっぱりいい場所ねこの支部は」


「そうだね。私も仕事が終わったらここに暮らしたいよ」


「あらそうなの?もしかしたらあなたを超える誰かが現れるかもしれないわね」


「まだだめかな。まだ私にはやるべきことがあるんだよ」



ふっふっふと芝居的に笑いながらコーヒーを飲んでいるようだ。


やるべきことについて少々考えてみたが思い当たる節はなさそうなので気にせずコーヒーを飲む。


私がこの子の存在を超えていつかここで暮らしたいわね。


そんなことを考えながらこの時間を楽しんだ。








「まあそうだね。私は基礎の動きで動いているからそこまで支障がないんだよ」



すぐにホルスターに装着するとあくびが出てしまったようだ。


どうやら思ったよりは疲れているのかもしれないらしい。


とりあえず敷き布団を用意するために寝室に向かうとしようか。


丁寧に装備点検をしている相棒を見ていたいがあまり見ていてもやりずらいであろう。


寝室に行って布団を用意していると何やら人の気配がした。


まあ即座に気配を消したから入り口を見て帰っただろうけどね。


布団の準備を終えて寝室で待とうと思っていたが寝てしまったら嫌なためコーヒーを入れに行こう。


部屋に戻ってとりあえずコーヒー豆を取り出しコーヒーミルに入れてハンドルを回し始めた。


削る時のなんともいえぬ心地よさとコーヒーのいい匂いが広がり始めた。


そろそろ頃合いかと判断してヤカンに水を入れて沸かし始めた。


私は相棒のシャワーの時間を秒単位で感覚的に把握しているためおそらくピッタリであろう。


沸かしている間にその他の準備を済ませてナイフを一本取り出した。


ランタンの光に照らされて黒いナイフがより深みを増していていつまでも眺めていられるような不思議な魅力を感じた。


まあ相棒の方が比べるのもおこがましいレベルで魅力を感じるんだけどね。


そのうち流血至高が発動して禍雪を切らないかが心配なほど。


ナイフをしまってちょうどお湯が沸く寸前で相棒が部屋に入ってきた。


あれ?三秒早いな。



「いいタイミングだね。ちょっと焦って出てきたでしょ」


「そんなことないわ」



本当にそう思ってしまうような迷いのない口調で言って私の隣に来た。


シャンプーのいい香りがしていかにも風呂上がりといった感じだ。


私こんないい女と同棲してるんですよ羨ましいでしょそうでしょう。



「月夜に照らされてコーヒーを嗜む少女たち。なかなか絵になる描写じゃないのかしら?」



確かに相棒がそんなロケーションでコーヒー飲んでたらもうまた容量がなくなっちゃうよってレベルで写真撮るねぇ。



「いいねぇ。カーテンは開けられないから人工灯に照らされてだけどね」



そう言いながら用意しておいたステンレスのコップに注ぎ始めた。


湯気が立ち始めていよいよ秋の始まりを感じるような場面となった。


相棒がコップを取って一口飲むと一息ついてコップをおいた。



「やっぱりいい場所ねこの支部は」


「そうだね。私も仕事が終わったらここに暮らしたいよ」


「あらそうなの?もしかしたらあなたを超える誰かが現れるかもしれないわね」


「まだだめかな。まだ私にはやるべきことがあるんだよ」



流血至高でもない相棒にこの危険な仕事を任せるわけにはいかないからね。


私が主軸となってそこそこなものを禍雪に任せる。


もし相棒が死んだりしたら私はもう生きていけないだろうからね。


私という存在が生存するには相棒の存在が必要不可欠である。


そんなことを考えながらこの時間を楽しんだ。

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