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殺したいほど愛してる  作者: 雪梛


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あ、死んだわこれ

「では早速始めよう。一枚貰おうか」


「はいよ」



どっから出したのか知らないがいつのまにか持っていた桶に水を汲んで皮を入れた。



「あ?…やらかした…」


「え?」



まだほんの少ししか入れていなかった皮をものすごい勢いで水から離して皮を置いた。


桶の水を見てみるとあ、油が浮いているじゃん…


三人で魔王をジト目で見るが動じることなく水を地面に流した。



「ほら、ここいらで人間アピールしとかないと私人外説でちゃうじゃん!」


「何が私よ、じゃんよ。口調に動揺が出ているわよ」


「失礼、噛みました」


「違うわざとだ」


「かみまみた」


「わざとじゃない!?」



その後油の処理方法と洗い方を完璧に教わって私たちも作業にとりかかった。


四人でやったので二十分と経たずに終了して今は仕立て屋に向かっている。



「スピーディね。困惑されちゃうわよ?」


「誰にだよ…」


「ほう、これが仕立て屋というやつか。我も服自体は何度か作っているので気になるな」


「もしかして今着ているその真っ黒な上着のこと?」


「そうだ。これは非常にいいぞ。伸縮性の素材でありながら水を弾くわ破れにくいわで」



話をしながら扉を開けて中に入ると椅子に座っているようだ。



「お久ー。元気してたー?」


「元気すぎて死にそうなぐらいよ。あなたも変わらずね」


「いや服装が変わっているよ。身長は変わらないけど」


「もう服装が変わり続けるのが仕立て屋だから変わらずって認識だよ」


「それはそれでどうなんだ…」



呆れている仕立て屋をよそに皮をどさっと置いて室内を見た。


前よりもかなり装飾が施されているな、多分ここもエンジニアが手を入れたんだろうなぁ。



「二十八枚、相変わらずきっちりしているね」


「そりゃそうよ。みんなに不自由な思いさせるわけにはいかないからね」


「趣味さえ目を瞑ればただのいい奴なんだけどね」


「私たちから趣味を取り除いたら残るものがないよ…」



話をしながらも作業の準備をしているようで魔王がこいつが出してくる機材を見ているようだ。



「ほう、なかなか大きな機械を使うのだな。これはどういうものなのだ?」


「こいつに興味があるとは今時珍しいね。これは電動ミシンというやつさ。電源を入れて布だとかを挟んで下の方に伸びているペダルを踏むと高速で縫ってくれる。大まかなとこはこいつを使うかな」


「なるほど、それはまた面白い。我は全て手縫いだから少々遅いというわけか」


「あなたも服を作っているのね。もしかしてその上着かな?」


「ご名答だ。我の一応最高傑作だ」


「そりゃ凄そうだな。魔王さんの最高傑作を是非見せて欲しいんだけどいいかな?」


「すまないが今すぐは無理だ。この上着を脱ぐと少々面倒なのでな。本日の昼にパーティがあるからその時までに帰宅して用意しておこう」


「なるほど?まあいいや。じゃあ楽しみにしてるね!」


「ああ、では失礼するぞ」



あれ?魔王ってなんだっけ?他支部いったら絶対こんなに適応できてないよね?


仕立て屋を出ると魔王はではいってくるとか言ってゲートから降りずに吹っ飛んでった…ここ標高8000mぐらいあると思うんだけど…



「そういえば脱ぐと面倒って何かしらね?もしかしたら裸とか?」


「いやそんなことあるかよ…なんか力を封印しているとかじゃないの?」


「あながち冗談に聞こえないのが怖いわね…」



とりあえず仕事は終わったので大広場に行こうか。


ちょっと前にエンジニアが放送を入れたらしく既にそこそこの数が集まっているようだ。



「みんな久しぶりー。あれ?ちょっと前にあってたっけ?」


「今年は帰りのスパンが早いからあっているわね」



買い取り屋が笑顔を向けてきたので私も笑顔を返した。


はっはっは、私の笑顔のほうが輝いているであろう!


さて冗談はこのぐらいにして早速準備を開始しよう。


テーブルの準備はすでに終わっているらしく食器の準備もすでに終わっているらしく料理を運ぶ人たちもすでに決まっているらしく…やることなくね?



「大丈夫よ。あなたたちは肉を持ってきてくれたじゃない」


「いやでも準備はみんなでしないとじゃないの?」


「大丈夫よその気持ちだけで十分だわ」



大丈夫ということなので大丈夫であろう。


ちょっと申し訳ないがこの空いている時間に主要人物を集めて話し合いをしようじゃないか。


三人で手分けして即座に集めると全員話の内容がわかったようだ助かるねぇ。



「じゃあ想定通りの足りないものなんですか会議するよー。とりあえず言ってちょうだいな!」



いつものノリで始まった会議は五分と経たずに終わった。


ほむほむ…木材だけ…だと…


なんでもエンジニアが色々作りすぎてもはや地上に降りずに完結しそうなレベルらしい。


木材に関しては何でも土質や標高の問題で無理だったらしいが魔王がやればなんとかなるだろ。


つまりこれによって第一支部は他支部では考えることすらできない完結型に慣れてしまうというわけだ…


そんなこと考えていると支部の端っこから音がした。


何事かと思ってそこに移動すると魔王が端っこを掴んでいた。



「何してんの?」


「いやゲートを使用せずに登れるか試してみたのだ。上空に岩を何個がぶん投げてそれを足場にしつつ登ったのだがギリギリであった」


そう言いながらひょいっと身体を上空に浮かして着地しようとしている。


ん?今なら落とせるのでは?


どうやら三人がそう思ったらしく私と相棒が基礎体、雪は素のまま行動を開始した。



「やめておいた方がいいぞ。落ちたら死ぬんじゃないか?」


「そう言われてもやりたくなるのが乙女ってもんよ!」


「どっちかというと男じゃないのか?」



基礎体が最適な動きを導き出しながら魔王の身体を捉える。


そしてそのまま体重を乗せた攻撃を魔王に繰り出したのだがなんか受け流された!?


視界が歪んでいき気づいたら目の前から地面がなくなった。


あ、死んだわこれ。


その瞬間に相棒が身体を掴んでその相棒を雪が支部内に吹っ飛ばした。


うおー!危ねぇ死ぬかと思ったぜ…



「はっはっは、甘いな」


「死ぬかと思ったぜ、まじ死ぬかと思ったぜ…」



そんなイベントが終わって早々大広場には料理が運ばれ始めていた。



「もうそんな時間か、では行こうとしよう」



魔王についていくと流石のみんなもゲートなしで入ってきていることには驚いたようだ。


引いている人いないんだな…



「じゃあ始めるわよー!雪ちゃんおかえりー!そして魔王ちゃんようこそー!」



適当な挨拶も早々に全員が料理の蓋を開け始めた。


なんか見たことない料理ばっかりだな…なんだろうこれ。



「今回は私オリジナルの料理を大量に作成した。各自美味い料理があったら私に伝えてくれ。次回の参考にする」



そうわれて食べ始めたんだが全部美味いじゃねぇか!!!


案の定全員が料理人の方に行って全部美味かった!!!と言っていく。


どんどん賑やかになっていき食べながら話をする人の数がどんどん増えていつものパーティの雰囲気ができてきた。



「仕立て屋、これが我の作った上着だ。そいつは新品だからあげてもいいぞ?」


「ほんと。じゃあお返しにこっちも前に作ったこれを渡そう。てか手縫いなのこれ?精度高すぎて怖いんだけど…」


「そうか?いくつか連続で作っていたから速度重視でやったのだが」


「化け物だ…化け物がいるここに…」



私も見せてもらったのだが縫い目が均一でしかもまっすぐ、気持ち悪いぐらいまっすぐ縫われて怖かった…


料理と人が作った暖かな時間が新たなる人物を歓迎して空間の許容値を上げた。


日の光と共に輝く人々は灰色の世界に似つかわしくないように見えた。


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