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殺したいほど愛してる  作者: 雪梛


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実績なしから王に選出されんだぞ?このぐらいできて当然だ

「せっかくだから大都市の方に寄って行こうか」



休暇終了する前に王とちょっとだけ話をするため私たちは大都市のゲートに向かっているわ。


片付けをして既に下山はしており距離もないのですぐに着くであろう。


雪は別で用があるらしく第一支部で再集合という流れになった。



「そういえばさっきメールは返事きたかしら?」


「まだきてないねぇ。ちょっと気がかりだな」



フラグ立ったわね…


少し足早に私たちはゲートに向かっていった。


現場自体はすぐについたのだがこりゃまた荒れた現場になっているわね。


最近の平和さを一気に無に帰すほどの人間の死体がいっぱい転がっていた。


腐り具合からしてまだそこまで時間が経っていないようだ。



「これまさか梛樹じゃないよね?」


「流石にないわよ。というかこれだけ殺せるのは私たちレベルよ」


「そっかぁ、じゃあないな」



死体の数は数えるのが困難なほどで落ちている武具を見たところ騎士団も混じっていたようだ。


しかし積荷がないためこれは商人絡みではないと判断できるのだがだとしたら討伐ミスかしら?


考えられる可能性としては近頃の異常傾向の影響であろう。


おおかたゲート付近の任務であるから複数部隊を結成して分割撃破でも狙っていたのであろう。


そこで異常傾向によって予想外のでかい戦力が到来。


当然勝てるわけもなく全滅したってのが現状考察できる内容かしら。


とりあえず死体を眺めても仕方ないのでゲートに入って上に上がる。


ゲート自体は損傷を受けていないらしく問題なく機能するようだ。


程なくしてゲートが開くと多くの人間がゲート付近に集まっていた。



「おうおう有名人でもくるのかな?」


「どちらかというと怒気が多い気がするわよ」



ゲートから出るとこっちに王がすっ飛んできた。



「どこいってたんだ!…いやすまない急な事態で気が動転していた」


「とりあえず落ち着いて状況を説明してもらっていい?」



民衆からの野次を無視して私たちは王に話すよう促した。



「ゲート付近で中級中域の個体が発見されて騎士団で部隊結成して向かったんだ。そして目標の討伐完了、ここまでは順調だった。その直後に新たな魔物が出現してゲート付近であったことも関係して勝てないと分かりながら戦ったらしい。その結果があの有様だ。当然民衆は被害の面しか見ていないからあの判断をした騎士団を、そして現環境最高戦力であるお前らを非難しているというわけだ」


「まあ民衆なんてそんなものよ。イレギュラーな自体が発生して多大なる被害がでた時、当たりやすい対象にぶつかるものよ。どんなに良い行動をしようとも、前提知識すら持ち合わせていない対象にはその意味がわからない。そのくせして力だけは無駄に持ち合わせているのよ。自分の不満をあたかも民衆の総意、世論かのように正当化してぶつけてくる。もちろん個では対処しきれない。まあ要するにあなたたちが気にする必要はないわってことよ」



そう言って私と相棒は囲んでいる民衆の方に歩き始めた。


一層罵詈雑言が飛んで物なんかも飛んでくるが一定距離まで近づいて止まった。



「なあ、恥ずかしくないのか?」



その一言で民衆の動きが、音が止まった。


まだ狂気に飲み込まれ切ってはいないようね。


早期対処が可能なのであれば止めるのは容易よ。



「確かに今回の被害はイレギュラーだったからで済ませていいようなものではないのだろう。しかしそれを嘆いて何になるんだ?おそらく人数的にあの騎士団の家族、友達、親族などだったり騎士団に不信感を抱いた者が集まっただのだろう。だったら立て直す手伝いしてやれよ。これは別にお前らに悲しむなと言っているわけじゃない。感情があるなら悲しんだりなんだりするのはいいと思うし大事にしたほうがいいと思う。だからってそれを憎しみに転換して他者にぶつけんなよ。騎士団だって無策で戦ったわけじゃないし私たちだって今回は出先で用事があったんだ。冷静な判断を欠いて都市の崩壊を招きたいのか?文字通りの命がけで戦ってくれた奴らに対してお前らは感謝の念を伝えることもできないのか?こういう展開になるってわかっていながらあいつらは戦ったんだぞ。もしあそこで敗走してたらゲートから魔物が来る可能性だって無じゃないからな。ちょっとでも死んだ奴らを無駄にしたくないと思うなら王に指示を仰げ。どうすればこのような事態を事前に防げるのか民衆の意見を出してみてくれ。異常傾向だから仕方ないねで済ませられる事象でないと判断したから今回集まってきたんだろ?私からは以上だ」



さてこれでどう反応するかだって思ってたら早速老害みたいなジジイが来たねぇ。



「なんだお前は!黙って聞いていれば偉そうに!」


「別に偉そうには言ってないでしょ?それに黙って聞いてなかったじゃん」


「うるさいわ!ワシはこの大都市の財務管理を任されている者じゃぞ」


「権力持っているからどうしたのかしら?それを振りかざせば相手を操れるのかしら?てかあなたが王に無能とか言われる上役なのね」


「無能!?あの小娘が、王に選出されたからって調子に乗りおって」


「で?話って何?時間が悲しくて泣いているよ?お前みたいな同じ空気を吸う価値すらない存在に浪費されて」


「先ほどの話についてじゃ!そうやってすぐに騎士団だったりはこちらに非があるかのように詰めて詰めて、オールでそっちがわるいにきまっとるじゃろ!それにどいつもこいつも女ばっかりで…」


「ねえ、こいつって本当に財務管理できているのかしら?早いとこ辞めさせないとそのうち兌換紙幣発行しかねないわよ」


「この前もそうじゃ!スラムなんぞに金をかけおって、王は何をかn」


「てめぇは踏んではいけない地雷を踏んだ」



背後を見ると王がブチギレながらこっちに歩いてきていた。


てかこのジジイまともに会話できないじゃん、論点すり替えどころの話じゃなかったよ。



「お前はこの大都市のトップ層にたちながら!民の気持ちも考えずに発言してんじゃねぇよ!今までは前任者からの意思を肯定したかったからお前らみたいな産業廃棄物どころか感染性廃棄物超えの愚劣的生命体を配置していたがもうだめだ。お前ら全員きってやる」


「ワシら全員!?そしたらこの都市の政治をどう回すんじゃ!?」


「なぁ、なんで私みたいな年齢が若すぎる小娘が王に、民から選出されたと思う?」


「そんなのどうせ家系などに決まっておる!」



私も個人的に気になる。



「違う。私自身はその辺の平均年収程度の家系出身だ。選ばれた理由はてめぇらみたいな無能抱えても回せるぐらいのスキルがあるからだよ」



え?こいつ有能どころか必須だろ。


前のジジイは理解できなかったのかポカンとしているようだ。



「なあ雪眼、こいつ殺していいと思うか?」


「いいんじゃない?等しく無価値だし」



その瞬間に王が動き始めた。


こりゃあおしまいだなぁ。


接近した王は腹部に拳をめり込ませて相手を吹っ飛ばした。


面白いぐらい飛んでいきそこに王が投げナイフを飛ばした。


まあ一応補助でもするか。


私も投げナイフを飛ばして王のナイフを弾いてやった。



「流石のあなたでも殺人はちょっと面倒なんじゃないかしら?」


「それもそうだな。せっかくだからあの法律を使用してみるか」



そう言って王はジジイに近づいて大きめの声でいった。



「お前は金輪際大都市含め全ての支部から出禁とする。既にデータ登録は終えているから出たら地上で頑張れな」



うひゃー、恐ろしい法律だねぇ。


そう宣言された瞬間に先ほど取り囲んでいた民衆が一斉に動き出した。


はっはっは…恨み買いすぎだろあのジジイ…


瞬く間に流し出されて追放は即時完了となったようだ。


そして六割ほどの人間がこちらの方に来て先ほどのちょっとした演説にお礼を言ってくれた。


やっぱり話せばわかる分民衆は動かしやすいなぁ。



「とりあえず問題なしね。じゃあ王はこれから頑張りなさい」


「私の選出したメンバーでは無能は育てんぞ…多大なる仕事を押し付けたあの老害どもは絶対許さん!!!」


「そういえば王って何ができるの?」


「基本的になんでもできるぞ。財政管理はもちろん物流、防衛、民主政治の構成、インフラなどなどあげたら多分キリないぞ?」


「すげぇ、私、お前をただの無能だと思ってたぜ」


「実績なしから王に選出されんだぞ?このぐらいできて当然だ」


「もしそれが当然なら後500年ぐらいは出てこないわよ?」


「安心しろ。ラスト一個の寿命破壊薬を私が飲んだからな。支持される限りいつまでも続けてやるわ」


私たちはパッピーエンド?王は多忙に多忙が重ねられるということで一件落着だな。


荒れていたフィールドに温風が吹いてきて人々に区切りを伝えた。


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