あいつはテンプレを踏みやがった…
「開通だ。仕事が減るといいな」
あれから二日ほど経過して大都市の方に来ると文字通りゲートが開通していた。
設置位置は外周部のスラム街がある場所となっているがここから大都市の中心部に行くための道が整備されておりその際に撤退してもらった住民にはそこそこの額の金を配布したらしい。
ちなみにその人たちの家は技術部の謎技術で家ごと移動したらしい。
「これだけでかいと壮観だねぇ。支部四つ分あるんだから住宅街を通さずに上空に橋かければよかったんじゃないの?」
「私もそう思ったんだがどうやら安全面考えて却下されたんだ。天空城が破損しないと決まっているわけでもないしな」
大元が壊れる可能性か…それは確かに考えてなかったな…
現在は実験体として商人のみ使用を許可しているようだ。
期間は約一週間ほどで安全面が確認されれば一般向けにも開放するらしい。
ちなみに現在のゲート使用料は軽度のものとなっているので利用人数はかなりの量いるらしい。
まあ地上を通るよりは遥かにマシだろうからね。
ゲートには安全装置も設けられているしよっぽど運が悪くない限りは死なないだろう。
逆に死ぬ時は身体がバラバラに引きちぎれて死ぬんだけどね。
普段行かない支部からの商人がいっぱいいるので知らない顔ぶれが都市内に溢れていた。
治安悪化の件は問題ないだろう…新しく王がルールを設立していたからね。
「そういえばあのルールは浸透したの?ほぼ独断で決行していたけど」
「問題ないぞ。法的機関が納得してやると言ってくれた。あいつらは話しがわかるから助かるわ」
もう上役を配置する必要ないんじゃないの?
ルールの内容は至ってシンプルで自身の出身支部以外で法律違反行為を行った際、大都市含めた全ての支部への立ち入りが禁じられるという内容だ。
どうやってその犯罪個体を認識するのかというと技術部がそいつをスキャンしてゲートに情報を入れ込んでデータとして管理するようだ。
外見や身体的特徴のみの判断なため甘めの判定らしいがそれを掻い潜れるほど長生きできないだろうな。
そこら辺に何体か技術部の人間を見受けられるのでおそらく即時対応のために配備されたのだろう。
私たちの仕事量も大概だけどこいつらも同じぐらい忙しいよな…
趣味が重なり合いすぎてもはや仕事をしている気分ではないのだろうがブラックな大都市だぜ…
「じゃあゲートも見たしこいつの顔も見たし、そろそろ行くとしましょうか」
「後少ない休日だろうからゆっくり休んでくれ」
「これで仕事が減ればいいんだけどねぇ」
「こっちの方も騎士団強化を行っている。順調と言いたいんだが典型的な問題児が上に立っているからまだ時間かかりそうだ」
あれか、自分が一番強いとか思っているタバコのように害しか与えない存在か…
「どうせなら見に行こうか?そういうやつはボコせばなんとかなるでしょ」
「そうしてくれると助かる。案内しよう」
王に案内されながらクソガキのところへ向かっているが弱いものいじめとか気分乗らないなぁ。
まあ相棒に任せればいいでしょサディスト持ってるし。
もはや死神代行を脳内で行いながら案内された部屋に入った。
中に入ると兵隊かのようにピシッと並んで鍛錬をしていた。
「動きが甘い!実戦であれば反撃をもらっているぞ!」
おお、熱血だねぇ。
多分今声出しているあの嬢ちゃんがリーダーと言ったわけか…
「どこが問題なのかしら?いい人じゃない」
「小説とかでよくいるだろ?めっちゃ強いのに教えるセンス皆無なやつ。あいつはテンプレを踏みやがった…」
そっちのパターンなのね、私てっきり俺つえーやっているやつかと思ってたよ。
「初めまして。騎士団長を務めさせてもらっている梛木と申します。あなた方のことはもちろん存じ上げておりますよ」
こちらの気配…王に気づいてすぐきてくれたようだ。
立ち振る舞い、歩行時の余裕さ、まあこのぐらいが限界だよね。
「知ってたけど有名人なんだなぁ私たち。今日は王に案内してもらってどんな鍛錬してんのかなぁって感じで見にきたよ」
「そうですか。ではご自由に見てもらって構いません」
「ありがとうね」
とりあえず端っこに移動してすみっこぐら⚪︎して見学しようか。
室内の広さはかなりあってわかりやすくいうなれば小中学校の体育館程度であろう。
騎士団の人数的に余裕を持った広さで作成したのかそれとも死んだから広くなったのかわからないがそこそこに余裕がある広さだ。
木刀を使用しての試合や振り方の鍛錬を行う者、統一性はこのピッシリした並びのわりに皆無だが六割の人間が目的を持ってアクションを起こしている。
「どう思う?」
「まあ…人間としてはそれなりレベルじゃないのかしら?」
「いやそうではなく」
「ストレートに言うなれば弱い、甘い、私たちから見ればお遊びね」
「結構言うな」
「当たり前よ。この道にかけている感情が違うもの」
三人でそんな会話をしていると梛木がこちに歩いてきたようだ。
これはお決まりの展開もらっただろ。
「お話中失礼します。もしよろしければ私と手合わせ願いたいのですがよろしいですか?」
「いいよ。私も騎士団のレベルが気になってたからちょうどいい」
まあ今回は私がいこうか。
相棒に任せると万一でサディスト発動したらやばいからね。
あれ?もしかしなくても流血至高の方がやばい?
そんなことを考えながら私は素手、梛木は刀を構えて間合いをとった。
「素手でいいのですか?リーチの長さは有利不利になるかと思いますけど」
「甘いなぁ。一角の基礎を押さえて満足しているの?」
「…ではあなたは全ての武器が扱えるのですか?」
「その考え方が違うんだよ。こりゃあ随分と極端に駆動ヘルツ数が低いCPUだね」
ありゃ?伝わらなかったか?
疑問符を浮かべられたけど仕方ないかぁ。
先ほどまでの振動していた空間に水平が訪れて音という信号が消えた。
騎士団全員が見ている中二人の少女は動かずに、動かさずに待っている。




