人類が滅亡しても私とあなたと魔王は生きているわ
「今日はありがとねー。またくるからよろしくー」
「ああ、気をつけて帰るのだぞ。第一支部に」
なんか引っかかるなぁ…まあいいか。
魔王との連絡先の交換も終わってデバイスの操作方法も教えてもらったし十分だ。
現在位置から第一支部まではかなりの距離があり上級だったりの生息区域にかなり入り込んでいる感じだ。
しかしこの魔王さんは優秀なのでどうやって制御しているのか知らないが帰り道での魔物遭遇率を大幅に下げることができるのだ。
げんに何度か帰宅しているが一度も遭遇したことはない。
「楽しかったわね。私も強くならないと」
「安心しなさい。また蹴り飛ばしてあげるわ」
「今度は腹部を切ってあげるよ」
「待って流石にそれはシャレにならないわよ?」
日が登り始めてきており段々と明るさと暖かさが広まってきた。
包帯を所々巻いている少女たちが人間のいる場所へと帰り始めた。
まあこの世界でここにこれる人材なんて本当に私たち三人ぐらいしかいないからね。
そう思いながら歩いていると一瞬だけ何者かの気配をぼんやりと感じ取った。
「誰?」
「流石に人間はいないんじゃないかしら?」
こういう気配というものはたいてい当たるものなのだ。
ほらよく小説であるじゃん?こいつのかんはよく当たるんだよみたいな?
五秒ほど気配を探ってから臨戦態勢を解除してまた私たちは歩き始めた。
「今年はなかなかの当たり年だったねぇ」
「まあ、色々な意味でそうね」
「来年もまた楽しくなりそうね」
相棒の変化、異常傾向、特大戦、ゲート開発、雪との再会、魔王との再開と文面にしてみると忙しすぎやしないですかねぇ…
「楽しくなるだけならいいけどね…人類滅亡とか言わないでよ?」
「問題ないわ。人類が滅亡しても私とあなたと魔王は生きているわ」
「勝手に私を殺さないでちょうだい?ゴキブリなんかとは比べ物にならないしぶとさで生存するわよ?」
「あらそうなの?じゃあ後数億年は頑張ってちょうだい」
「失礼いたしましたゴキブリさん…」
そんな適当な会話をしながらずんずん進んでいくともうゲートについたようだ。
「そういえばエンジニア連れてこいって言ってたけど面倒じゃない?」
「まあいつでもいいんじゃないかしら?あいつほど寛大な奴なかなかいないし」
ぐんぐん上がっていく景色を見ながらふと先ほどの違和感を思い出した。
確かあいつ変な言い回ししてたよな…気をつけて帰るのだぞ。第一支部にって。
なぜ第一支部をわざわざ名指しで指定したのだろう。
そう思ってゲートから出て第一支部のいつもの景色が目に入ってきた。
そして一歩出ると急に私の首筋を何者かが触れてきた。
「よくぞ戻ったなぁ。さっきぶりだ」
「ひゃい!?」
びっくりした変な声出たじゃねえかよ!!!
お前の手冷たいすぎだろ絶対驚かすためだけにさっきまで氷ずけしてただろ!
というかそれは置いておくとしてなんでこいつがここにいるんだ?
「せっかく素晴らしい技術者がいるのにこっちに呼ぶのは申し訳ないというか人としてどうかというか」
「人をやめた何かが何言ってんのかしら?」
「では案内してくれ。久しぶりすぎてもうわからないのだ」
「やっぱりこの支部だけおかしいわね…」
世界最大勢力がここ第一支部に集結してしまったようだ。
「あら魔王ちゃんじゃない。元気してたかしら?」
「ああ、其方らこそ元気そうで何よりだ。健康は大切だからな」
「病気に気をつけて〜」
住民すらも魔王に適応しているしおそらく他の支部がこの光景を見たら脳がショートして気絶するであろう。




