てめぇの血を見せろやぁ!!!
案内された部屋に入ると見ただけでわかるような特殊な壁で覆われた部屋が目に入った。
「この空間は我が日に日に研究して耐久性、剛性を重視して作っている。おそらく其方らが本気で戦っても壊れないであろう」
「ほうそれはなかなかってすごい技術すぎでしょ。私たちが本気で戦ったら地面ちょっと歪むレベルだよ?それに耐えられるってどうなってんだよ…」
そのうち魔王が本気出しても壊れない空間とかできそうで怖いんだけど。
とりあえず魔王が真ん中、私たちが等間隔で三人並んで間合いをとった。
雪は既に戦闘狂を発動して私と相棒はナイフを投げて互いに微量の切り傷をつけることにより基礎体を発動した。
ナイフを既に二つ構えて本気のモードに移行する。
少しでも甘さが出ると死にかける程度のダメージが瞬時に入ってくるのでこうしている。
まるで透き通ったひび割れた氷のような空間に一つの衝撃が入れられた。
砕け散り始めた瞬間にフィールドに新たな空間ができた。
私と相棒が魔王の両サイドからナイフを振って雪が真正面からナイフを振り下ろした。
タイミングや精度は完璧だったが当たり前のように回避をされた。
私たちのナイフが一点で交わり激しい火花を散らした。
「確かに成長しているな。我に一撃入れてみろ」
「上等、今日こそは一撃入れたらぁ」
ナイフがぶつかった際の反作用を利用して一度全員離脱を行い周囲の確認を開始した。
くそ、なんで基礎体じゃないのにどこいるかわからないんだよ。
三人が目を瞑りひたすらに反撃を構える。
肌では感じ取れる異様な気配だが肝心の居場所が全くと言っていいほど掴めない。
無数の星から無作為に選ばれた星を一発で当てることができないように、存在しているはずの気体を肌で感じ取れても座標で指定できないように。
不意に身体が…基礎体が背後にナイフを振った。
反射では反応できないであろう感覚を基礎体が掴んだようだ。
手応えがなかったため回避されたのだろうが関係ない。
私がナイフを振るった瞬間に雪と相棒がこちらにきてナイフを振っていたようだ。
「惜しかったな。我が身体をSの字に曲げなければ当たっていたぞ」
「あなたは軟体動物なのかしら?」
見えてたら絶対写真撮ったのに…
そんなことを考えた瞬間に足に刃が侵食する感覚が伝わってきた。
「!?」
咄嗟にナイフと同方向に回転を行いそのまま地面のほうにナイフを振った。
当然のようにから振って傷口を確認したところ軽傷であったようだ。
今度は相棒、雪と軽傷がどんどん気づかず内につけられていく。
うおお!!ヤケクソだぁ!!!
こうなったらなりふり構ってはいられない。
前回もこのフェーズで全滅だったから今回はせめて次まで行ってやらぁ!
「雪ぃ、お前ってタフだよなぁ?」
「嫌な予感しかしないのだけれども」
「てめぇの血を見せろやぁ!!!」
「いやぁ!!!!!」
魔王の攻撃を最小限に抑えながらも私は雪を追いかけて追い詰めた。
「どこへ行くんだ?」
「お前と一緒に避難する準備を」
「逃げられない戦場で?」
一人用の宇宙船ではなかったため握りつぶさずに雪の太ももをざっくり切り裂いた。
その瞬間に基礎体の精度が急上昇して魔王の片を感じ取ることができた。
戦線離脱の雪をさらに端っこに相棒が蹴っ飛ばした。
あ、相棒の基礎体もちょっと進化した。
雪という増強剤を摂取したことにより私たちのレベルが一段シフトした。
攻撃を喰らう回数を少し減らしていくつか反撃も入れ始められた。
既に赤く染まっている全身が目の赤さに塗りつぶされて狂気で染まった。
二人となったためバックツーバックを行いただひたすらに基礎体に導かれて黒き軌跡を作り続けた。
喰らい続けてようやく感覚が掴めたのか私のナイフが魔王のナイフに当たった。
よっしゃあ!ついにもらったっておっも!?
雪のナイフなど比べ物にならないほどのエネルギーを保有したナイフが私ごと吹っ飛ばした。
今までのどの攻撃よりも速く吹っ飛ばされて壁に激突して目玉と血液が飛び出しておしまいかなぁ。
そう思ってああ、いい人生だったぜとかいう生存フラグを立てて置いたら壁に当たった瞬間にものすごい変形が起こった。
「え?」
「すごいだろ。強度弱弱で剛性だけが激高だぞ」
でもこれ弾丸みたいに射出されない?
なんか自慢げに線上にいる魔王だがまあどうせ気づいているでしょ。
そう思いながら予想通り先ほどよりちょっと遅い程度で放たれた。
「あ?」
お前も道連れだぁ!
おそらく適当に動いて回避するつもりだったのだろうが最後まで私は諦めないぞ!
基礎体を発動して動きを最適化して魔王を捕まえるため両腕を開いて捕まえようとした。
「惜しかっt」
「捕まえた♡」
ぶっ倒れてた禍雪が魔王の足をつかんで動きを封じた。
「いまだぁ!」
「これは少々本気を出そうか」
その瞬間に一気に空間内の空気が変わって魔王が脱力か適度に力んでいるのかわからない構えをとった。
私はただひたすらにまっすぐ進むだけの弾なのでそのまま魔王と接触。
その瞬間に魔王の身体がものすごい震えながらも停滞をしていた。
「我の肉体制御技術を使用して極限的な脱力を行い体内にもらったエネルギーを保留させることが可能になったのだ」
は?…あれでもそれはダメじゃね?
「つまり?」
「時差で吹っ飛ぶというわけだ」
その瞬間に魔王が壁まで吹っ飛んでいった。
実力を無駄使いしすぎるあほがここにいた。
「流石にあそこまでやってもらったのに我が受け流しをするのも面白くないであろう?」
そんなことを言いながら吹っ飛んだ衝撃をきっちり分散させて壁にめり込まずに既に着地していた。
二刀スタイルですら追いつけないとはやはりこいつは頭と実力がいかれている。
血まみれになりながら満面の笑みを向けている少女とそれを見て即座に写真を撮る少女、とばっちりを食らった可哀そう…ではない少女と真のきちがいが空間の空気を平常の風に戻した。
「良い…戦いだったぜ…ガクッ」
「あなた何もしてなくないかしら?」




